形態・機能
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8 巻, 1 号
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原著論文
  • 酒見 博之, 西村 尚子, 山口 暁子, 高橋 敬
    2009 年 8 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2009年
    公開日: 2015/03/16
    ジャーナル フリー
    我々は前回の研究6)でカドミウムや熱に影響されて凝集塊を形成した非線維的な変性フィブリンをフラクタル幾何学的に解析し、血液の凝固機能に悪影響を及ぼす可能性を示した。  一般に写真をイメージ・スキャンすると、x 軸に対するy 軸の濃淡の変化はデジタル量(グレースケール、振動量)として表すことができる。本研究はフィブリンの重合によって形成されたネットワーク構造の濃淡変化に周期性があることをFFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)によって明らかにし、カドミウムによる変性フィブリンのそれと比較検討することを目的にした。1)セルラ・オートマトン(cellular automaton)によって得られた各種の画像をモデルとして解析した結果、パワースペクトルに見いだされた空間周波数は1/fo、1/f1/2、1/f の3つの“ゆらぎ”成分からなり、サイクリック空間(cyclic space)は1/f の他に1/f1/7、1/f1/5が検出された。2)カルシウム、マグネシウム、亜鉛によるフィブリン・ネットワークはサイクリック空間と同じゆらぎ成分から成り立っていた。しかしながら、3)カドミウムに暴露されたフィブリン・ネットワークには1/f1/7成分に密度の低いもう一つのパワースペクトルが見いだされた。すなわち低周波成分を特徴とし、非線維的な異常フィブリン塊が析出した結果であることが示唆された。
  • 大瀧 亮二, 佐藤 寿晃, 長沼 誠, 鈴木 克彦, 成田 亜矢, 佐藤 麻人, 宮坂 卓治, 藤井 浩美, 内藤 輝
    2009 年 8 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2009年
    公開日: 2015/03/30
    ジャーナル フリー
    ヒトでは、橈側手根屈筋(FCR)は前腕の回内、橈側手根伸筋(ECR)は回外に作用する。本研究では、健常者8名を対象に、手根の屈曲と伸展が前腕の回外力に及ぼす効果について調べた。前腕回内90°(回内)、60°、30°、0°(中間)位で、手根の力を抜いた状態、最大屈曲および伸展した状態で等尺性収縮による回外(それぞれ回外単独、屈曲回外、伸展回外とする)の最大力を計測し、FCR、ECR、上腕二頭筋(BB)の筋電図を記録した。筋電図では、回外前の屈曲でFCR、伸展でECR の活動が認められた。回外時には、回外力の増加に伴ってみられるBB の活動が、回外単独と屈曲回外に比べ伸展回外で増大、屈曲回外ではBBの活動に一致してFCR の活動が減少しECR の活動が増加するのが認められた。回外力は、 回外単独、屈曲および伸展回外の何れも回内位から中間位になるにつれ小さくなった。回内、回内60°、30°、中間位のそれぞれで回外単独の回外力を100%とすると、伸展回外は163±20%(平均±標準偏差)、142±17%、134±15%、118±23%、屈曲回外は81±7%、90±14%、78±13%80±10%となり、どの肢位でも伸展回外で増加、屈曲回外で減少、伸展回外の増加率は中間位になるにつれ小さくなった。以上、回外力は回内位から中間位になるにつれ減少すること、回内位から中間位までのどの肢位でも回外力は手根の伸展により増強、屈曲により減弱、伸展による増強効果は中間位になるにつれ漸減することが示された。 ヒトでは、FCR とECR の間に抑制、ECRからBB に促通、BB からFCR に抑制の脊髄反射がある。筋電図の結果は、今回示した効果が筋の作用だけでなく、反射の活動も反映していることを示唆するものである。
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