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21 巻, 2 号
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原著論文
  • 高橋 大樹, 伊藤 忠, 伊藤 祐史, 松永 直道, 顧 英之, 則竹 耕治, 越知 信彦, 杉浦 英志
    2023 年 21 巻 2 号 p. 32-39
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/03
    ジャーナル フリー

    児童において、靴底の摩耗部位における足角の違いが明らかになれば、足関節捻挫や足部外傷のリハビリテーションに役立つ情報となると考え、本研究では児童を対象とした靴底の摩耗部位における歩行時の足角の違いを検討することを目的とした。

    児童運動器健診に参加した普通学級に通う小学校1年生から6年生の児童172名を対象とした。それらを踵部の靴底の摩耗部位の評価によって、正常群、内側群、外側群の3群に分け、群間比較を行った。評価指標として、三次元動作解析装置を用いて算出した時空間パラメータ、初期接地時と立脚期の足角の値を算出した。また、整形外科医による視診及び問診、触診を基に足部異常の有無を指標に加えた。

    靴底の内側が摩耗している児は、初期接地時、立脚期の足角が内旋偏位しており、足部異常を有している割合が高かった。このことから、靴底の摩耗の評価に加えて、三次元歩行分析による足角の評価も行うことの重要性が示唆された。

  • 廣瀬 美和, 石田 陽子, 齋藤 慎二
    2023 年 21 巻 2 号 p. 40-47
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/03
    ジャーナル フリー

    管理栄養士養成施設には、総合的に栄養管理を人体の視点からとらえることができる能力を身につける人財育成が求められている。本研究は、管理栄養士養成施設の効果的な解剖生理学教育に対する示唆を得るために、解剖生理学教育に関する文献とシラバスを調査した。文献は、医学中央雑誌とCiNii Articlesに公表された解剖生理学教育に関する11論文を対象とした。シラバスは、令和2年度厚生労働省の管理栄養士養成施設定員一覧に掲載されている152施設のうち職業実践専門課程もしくは専修学校専門課程を除いた145大学として調査した。シラバスからは、科目名・開講年次・開講時期・単位数・科目担当者の属性・授業内容の情報を抽出した。科目責任者と科目担当者については、インターネットを用いて各大学ホームページの教員情報、またはresearchmapより情報を抽出し、大学および科目ごとに単純集計を行った。文献検討の結果、人体解剖見学、標本見学、動物解剖等の教育的意義や一部の大学のシラバス調査について報告がされていた。シラバス調査の結果、人体解剖見学の記載があった大学は1割にみたなかったが、動物解剖の実施が記載されていた大学は47.6%であった。科目責任者が医師であったのは45.2%、医師以外であったのは22.8%、不明32.0%であり、このうち科目責任者が管理栄養士・栄養士資格を有する、または栄養学科卒業と明示されていたのは、18科目(10大学)であり1割に満たなかった。

    以上より、解剖生理学教育の質の向上には、管理栄養士養成施設で解剖生理学の教育に携わる教員同士が動物解剖と解剖見学等の学修効果を共有することが重要である。また、解剖生理学を担当している教員のバックグラウンドは多様であるため、管理栄養士の資格を有する教員と協働して解剖生理学教育を充実させることが求められる。

  • 島田 和幸, 易 勤
    2023 年 21 巻 2 号 p. 48-56
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/03
    ジャーナル フリー

    足立文太郎博士に関しては国内外を問わず、数名の研究者により報告がなされているが、その報告の主たる内容は軟部組織に生じる人種間の差、いわゆる軟部人類学的な考えからもたらされた「日本人の血管系」に関する業績に関する報告事項がすべてである。今回、著者らはこれらの先行報告を踏まえて、足立の研究に対する姿勢、思考の結果作成された書籍、論文とその様な論文を作成するに至る足立の人物像について述べた。特に人生をかけて作成された「日本人の血管系」の所見報告が、世界中の研究者や解剖教科書の中で、足立の書に典拠を求めるに至ったかについてのその要因については以下の様にまとめることができる。

    ①当時の医学の主流であるドイツ語で書かれている。

    ②広く全世界の医系の大学に外務省在外公館の協力のもとで謹呈されたので、現在でも世界の医系の大学図書館に所蔵されている。

    ③当時の著名な海外の解剖学者にも個人的に謹呈されているので、血管系の研究で足立の業績を引用している。

    ④我が国においても医学部や医科大学図書館に謹呈されており、容易に調べることができる。

    ⑤小金井良精(こがねいよしきよ)による多大な足立への援助により、世界の足立へと海外に名を知らせることができた。

    以上よりこれまでの報告では触れていなかった足立文太郎博士に関する人物像、研究業績、日本人の脈管系の研究書の出版に関する逸話、などについて、今回、京都大学に保存されている資料を基にこれまでの先行報告に追加して報告した。

  • 林 恵里子, 田中 美智子
    2023 年 21 巻 2 号 p. 57-65
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/03
    ジャーナル フリー

    看護学部2年次生の解剖学標本示説実習のレポートを分析し、学びの内容および生体の内部構造に関する看護学生の視点・思考過程の特徴を明らかにすることを目的とした。「解剖学標本示説実習に向けて」(前)と「解剖学標本示説実習を終えて」(後)のレポートを分析対象とし、対象者には自由意思であり同意の撤回が可能である事などを伝え、203人中169人の同意を得た(回収率83.3%)。KH-Coderを用いて記述内容を年度やグループごとに整理し、頻出語、共起ネットワーク、対応分析を行い構造化した。前後の対応分析では、時間軸と個別な体験等に基づく語句が特徴づけられた。実習後のレポート分析から【実際に臓器を見る・触れる・感じることによる理解の深まり】【各臓器の形状や位置が明確にわかり、臓器のイメージを修正し、学生自身が捉えている臓器の状態と実際の違いに驚き、対象での違いがあることがわかる】【看護師の臨床推論などの思考過程を育む】【御献体者やその御家族への感謝】【感謝と共に看護学の原点の再確認をし、看護師としての責任や自覚を強固にする】という学びが抽出された。さらに、看護学教員が解剖学標本示説実習を担当する際に取り組むべき教授法と課題についても検討した。

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