健康日本人男性71名から得られた腎臓および肝臓中の21元素の濃度を機器的放射化分析法を用いて決定し、乾燥および湿重量換算で表した。以下の結果が得られた。1) 多くの元素が腎臓および肝臓で検出された。その濃度は健康人の臓器の選択および採取部位を一定化したことにより、先の文献値と異なり、その幅は狭いものとなった。2) Cdは先の文献値より高く、日本人はいまだ増加傾向にあるといえる。3) As, Cd, Cs, La, Mo, Sb, Scなどの夾雑性元素は外部環境要因に影響され対数正規分布となり、Br, Ca, Cl, Fe, K, Mn, Na, Rb, Se, Znなどの必須元素は外部環境要因に左右されず正規分布となった。4) 年齢と元素および元素間において、有意で強い相関関係は腎臓より肝臓に多く示された。
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