形態・機能
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14 巻, 2 号
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総説
  • 川真田 聖一, 黒瀬 智之, 小澤 淳也, 榊間 春利
    2016 年 14 巻 2 号 p. 62-74
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/08
    ジャーナル フリー
    骨格筋の起始と停止から作用を理解する考え方を、初修者向けに説明した。筋は基本的に、力を出すとき収縮して短くなり、筋の停止が起始に向かって引かれる。その際、筋の作用は、起始と停止の間にある関節で起こるので、関節の可動性によって制約を受ける。筋の作用はしばしば3次元で起こるため、屈曲/伸展、内転/外転、内旋/外旋の3種類の運動に分けて、テコの原理にもとづいて理解すると分かりやすい。簡単に言えば、筋の作用は、3次元的に起始と停止間の距離が最も短くなるような運動である。したがって、起始と停止の位置関係を知り、その間にある関節の可動性が分かれば、筋の作用を合理的に推測できる。具体的に説明するため、棘上筋、棘下筋、広背筋、肩甲挙筋、前鋸筋と中・小殿筋を取り上げ、起始と停止から筋の作用を理解する考え方を説明した。また、全身の各部位には機能が似た筋が集まって存在する傾向があり、これらの筋を筋群と呼ぶ。同じ筋群に属する筋は、起始あるいは停止が共通な場合や、支配神経が同じであることも多い(例:前腕前面の筋、下腿後面の筋、ハムストリングス、内転筋群)。そのため、筋の起始、停止、作用と支配神経を学習する場合、全身には多くの筋があるので、はじめは全身の筋を筋群に分けて大まかに把握し、各筋群に共通する特徴を理解した後に、個別の筋を理解するのが良いと思われる。
原著論文
  • 向井 加奈恵, 小松 恵美, 中島 由加里, 浦井 珠恵, 浅野 きみ, 中谷 壽男
    2016 年 14 巻 2 号 p. 75-83
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/08
    ジャーナル フリー
    目的と方法:布メジャーで距離を計測する方法(布メジャー法)と比べて器具を使用する方法(器具法)が、ご遺体を用いた三角筋筋肉内注射部位の想定に有効であることを我々は報告した。しかしながら、生体における両方法の比較は未実施であり、さらに両方法を熟知している者と未経験者間の判断部位に違いがあるかどうかは不明である。そこで今回は両方法を熟知している研究者1名と両方法未経験の看護学生24名に、被験者1名での両方法の三角筋筋肉内注射部位決定を依頼し、両者間の結果を比較した。結果:看護学生の位置は、布メジャー法で肩峰外側端のa点は0.2±1.0cm、前後腋窩線b点は1.9±1.2cm、腋窩神経が位置する下1/3ab点は1.4±0.8cm、器具法ではa点は0.7±1.0cm、b点は0.3±0.8cm、下1/3ab点は0.9±0.7cmそれぞれ研究者の位置よりも中枢側に位置していた。下1/3ab点とb点で有意に器具法の方が布メジャー法よりも研究者の測定値と看護学生の測定値の距離の差が小さかった(順にp<0.05、p<0.01)。看護学生が測定に要した時間は、布メジャー法で117.4±31.9秒、器具法で115.6±29.5秒であり、有意な差を認めなかった。考察・結論:三角筋筋肉内注射部位を決定する上で重要な部位決定に関して、肩峰外側端は両方法とも看護学生の位置が研究者の位置と比べて1.0cm未満の差となり比較的近かった。一方前後腋窩線は、器具法の方が布メジャー法よりも研究者の測定値と看護学生の測定値の距離の差が有意に小さかった。これは未経験者でも器具を用いた方が熟練者と同じような測定ができる可能性を示唆している。つまり、器具を用いた方が測定に慣れていない看護学生でも熟練した研究者と同じような三角筋筋肉内注射部位決定ができる可能性が考えられる。
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