粉砕
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61 巻
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〈表紙〉
  • 2018 年 61 巻 論文ID: 2018001
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2018/03/24
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    石臼発見 -ホソカワミクロンのはじまり-

    創業者である細川永一の生家は淡路島の洲本にあり、今は田んぼになっています。そこを訪れた細川悦男社長が、田んぼの片隅に転がっている『石臼』を見つけました。石臼の年代は定かではありませんが、そのあたりに水車小屋があったらしいので、きっと永一が幼いころに遊んだ水車小屋で粉を挽いていた石臼に違いありません。この石臼は大阪事業所に引き取って展示されています。この石臼をご覧になって、悠久の粉砕の歴史と、百数十年の石臼の歴史に思いを馳せて下さい。
〈編集委員会〉
〈目次〉
〈巻頭言〉
〈特集〉 先端材料創成に求められる粉体技術
  • 阿尻 雅文, 笘居 高明, 北條 大介, 相田 努, 成 基明, 横 哲
    2018 年 61 巻 p. 3-13
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2018/03/24
    ジャーナル オープンアクセス

    超臨界水中では, 室温と比較して金属塩のイオンが不安定化するため, 金属酸化物を生成しやすい。したがって, 金属塩を急速に超臨界状態にまで昇温すれば, 金属酸化物ナノ粒子を合成する場として最適である。その急速昇温を, 流通式反応プロセスを用い, 金属塩と高温水を急速混合させることで達成した。ナノ粒子の応用は, 多くの場合, 高分子や溶媒に高濃度で分散させ, 成形加工に求められる流動性を確保しなければならない。そのためには, ナノ粒子の表面を有機修飾する必要がある。超臨界場では, 有機分子と水が均一相を形成するため, ナノ粒子合成を行いつつ, 有機分子を表面に強結合させたナノ材料を合成できる。本材料製造技術により, ナノ粒子高分子ハイブリッド材料, ナノ触媒への応用も可能となる。

  • 入谷 英司
    2018 年 61 巻 p. 14-20
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2018/03/24
    ジャーナル オープンアクセス

    濾過, 圧搾, 遠心分離などの固液分離操作では, その高性能化への要求がますます厳しくなり, 分離膜の利用など, 新たな展開も見られる。本稿では, 固液分離技術に関する最近の話題をいくつか紹介する。一回だけのデッドエンド濾過試験からナノコロイドの濾過ケークの特性を推測する手法や分析用遠心機を用いて行った遠心沈降試験から濾過特性を推算する手法を述べた。次に, 膜構造の違いによる膜ファウリング挙動を説明できる並列および直列モデルに言及するとともに, 僅かなデータから膜ファウリングの機構と量を同時に, かつ, 個別に推算する手法についても概説した。さらに, 可逆凝集を利用した超高圧圧搾により難脱水性汚泥の高速低含水率化が可能なこと, また汚泥の破砕と塩添加の相乗効果によって沈降速度が飛躍的に増大することも明らかにした。これらの結果は, 今後, 固液分離技術の発展に大きく寄与するものと考えられる。

  • 菰田 悦之
    2018 年 61 巻 p. 21-27
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2018/03/24
    ジャーナル オープンアクセス

    粒子分散液を塗布・乾燥して薄膜を得る場合, 乾燥後の内部構造が膜性能に大きな影響を及ぼすことが少なくない。従って, 塗布直後から溶媒が完全に蒸発するまでの乾燥過程において, 粒子分散液がどのように濃縮され, それに伴って粒子がどのように充填されるのかを知ることは, 膜構造制御において欠かせない。多くの粒子分散液は内部で粒子が凝集構造を形成するが, これが塗布時にどのように変化するのかを理解するにはレオロジー評価が有用である。また, 乾燥中の塗布膜厚さと重量の変化を比較することで, 分散液の濃縮と粒子層の充填・圧密化を分けて理解することができる。加えて, 塗布膜表面でのレーザー光の散乱挙動は局所的な粒子凝集状態の変化を反映している。本稿では, これらの指標を組み合わせて, 塗布時に印加されたせん断ひずみに応じて内部構造が破壊もしくは保持された粒子分散液塗布膜の乾燥過程について解説する。

  • ~Opusgran®の創製と評価~
    落合 康
    2018 年 61 巻 p. 28-34
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2018/03/24
    ジャーナル オープンアクセス

    固形医薬製剤の粒子設計において, 機能性を付与するために高含量の薬物を真球度の高い, 微細な球形粒子とする技術が望まれている。しかしながら, 未だ汎用性と簡便性を兼ね備えた技術は確立されていない。我々は簡便でかつ汎用性の高い高含量で高真球度の微細な機能性球形粒子の製造方法を見出した。この新規な高含量球形中空粒子Opusgran®は使用する薬物と高分子によらず製造可能で, また使用する高分子の機能をOpusgran®に付与することができた。例えば, 難溶性化合物と徐放性高分子を使用して高含量にも関わらず, 24時間にわたって放出制御可能な微細な球形粒子を得, この粒子を打錠することで放出制御錠剤を簡便に得ることができた。将来, この技術のみで様々な機能を持つほとんどすべての固形製剤が製造可能になるものと思われる。

  • 林 晃敏, 作田 敦, 辰巳砂 昌弘
    2018 年 61 巻 p. 35-41
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2018/03/24
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    無機固体電解質を用いる全固体電池は, 安全性, 信頼性の高い究極の電池形態として広く認識されている。この電池を実現するためのキーマテリアルは固体電解質である。遊星型ボールミル装置を用いたメカノケミカル法を用いて, リチウムイオンもしくはナトリウムイオンを高濃度に含むガラスが得られ, 高い導電率と優れた成形性を両立したガラス系固体電解質が開発されている。また本手法では, 微粒子状のガラスが直接得られるため, 電極-電解質間の固体界面を形成しやすいという特長がある。またメカノケミカル法を用いて作製したアモルファス正極活物質は, 高容量と優れたサイクル特性を示す。本稿では, メカノケミカル法による硫化物系および酸化物系アモルファスベースの固体電解質および正極活物質の最近の開発状況について述べる。

  • 渡辺 晃
    2018 年 61 巻 p. 42-48
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2018/03/24
    ジャーナル オープンアクセス

    エネルギー分野や電子材料分野に代表される各種製品の高機能化や省エネルギー化, 小型化などに伴い, 我々が扱う「粉」の分野においてもより細かい粒子や均一な粒子径分布, あるいは粉体自体の高機能化に対する要求が年々増してきている。我々も, このような市場の要望に対応すべく, 「粉砕」や「分級」などの各単位操作に対応した粉体装置の開発を日々行っている。ここでは, 最近我々が開発した装置を単位操作別にその特徴や原理について紹介する。

    Editor's pick

    エネルギー分野や電子材料分野に代表される各種製品の高機能化や省エネルギー化、小型化などに伴い、粉体処理技術分野においても、より細かい粒子や均一な粒子径分布、あるいは粉体自体の高機能化に対する要求が年々増してきている。本稿では、このような市場の要求に対応すべく、最近我々が開発した粉砕機や分級機などの新型装置の特徴や原理等について、粉体単位操作別に紹介する。

〈解説〉
  • 丹羽 敏幸
    2018 年 61 巻 p. 49-54
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2018/03/24
    ジャーナル オープンアクセス

    機械的せん断処理装置を用いた新規な乾式粉砕技術, “球形粉砕法”を開発した。100 μm以上の粒子径を持つ薬物結晶が, コーンスターチ(CS)粒と一緒に処理することにより効率的に微細化されることを見い出した。形態観察と粒度測定により, 処理品はCS核粒に薬物結晶が被覆したオーダードミクスチャー様の複合粒子を形成していることが示された。この結果は, 薬物結晶のみが選択的に微細化され, 未粉砕のCS粒表面に付着・固定化されたことを指示している。インデンテーション試験より得た応力特性より, 弾性体であるCS粒に取り囲まれた薬物結晶が, せん断応力下, 脆性破壊されたものと推察した。複合粒子からの薬物溶出性は劇的に改善され, これは水相中で薬物粒子が速やかにCS粒表面から離脱し, 微細粒子となって分散する挙動に起因していることを明らかにした。これらの知見は, 粉砕ボールやビーズを使用しないコンタミレス乾式粉砕法を提案するものである。

  • 土橋 律
    2018 年 61 巻 p. 55-61
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2018/03/24
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    粉じん爆発の危険性とその対策について概説した。可燃性粉じんは, 空気中に分散されてある条件が揃うと粉じん爆発を起こす危険性がある。粉じんは固体であるので, ガス爆発のような完全な予混合燃焼が起こるわけではいないが, 高速の火炎伝ぱが発生し爆発現象となる。粉じん爆発で起こっているのは燃焼現象であるため, 粉じん爆発発生には燃焼の3要素と呼ばれる, ①粉じん雲(燃料), ②着火源, ③酸素が必須となり, この点が粉じん爆発防止対策を考える基本となる。粉じん爆発危険性評価に用いられる主要な特性値(爆発下限界濃度, 最小着火エネルギー, 限界酸素濃度, 最大爆発圧力, 圧力上昇速度)について説明した。特性値は, リスク評価の観点から, 爆発発生特性(発生可能性)と爆発強度特性(被害の大きさ)を表すものに大別される。また, 爆発防止・被害軽減措置のいくつかの例を説明した。

〈テクニカルノート〉
  • 上村 富彦
    2018 年 61 巻 p. 62-66
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2018/03/24
    ジャーナル オープンアクセス

    空気輸送, 粉砕機の製品捕集など, 従来, 円筒型フィルタが用いられてきた高濃度での使用を目的として開発した, 新プリーツ型パルスジェットコレクタについて説明する。このパルスジェットコレクタは, 新設計のプリーツ型フィルタを用いることにより, 従来の円筒型フィルタを使用した集じん機と比較して大幅に小型化された。新設計のフィルタは, 従来と同じ外径で最大の有効面積が得られる形状にした。また有効面積の増加に対応して, ベンチュリ形状や圧縮空気を噴射するブローノズルの形状を再検討し, 逆洗部の強化を行った。さらに配置される各フィルタに対する逆洗力を均一化し, 集じん機入口は機内流れを考慮した設計を行った。その結果, 代表的な粉体の実粉試験で円筒型フィルタと同様に, 高濃度での運転が可能な事を確認した。

  • 佐野 敦
    2018 年 61 巻 p. 67-72
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2018/03/24
    ジャーナル オープンアクセス

    昨年労働安全衛生法が改正され, 一定の危険有害性のある化学物質についてリスクアセスメントの実施が義務づけられ, 各ユーザーの製造現場ではリスクの把握とともに, その軽減措置を講じなければならない。当社においても特殊材料によるテスト実施時や, 当社粉体機器が使用される現場にて環境改善を検討するケースが増えている。今回は環境改善に使用する封じ込め技術をまとめ, 関連機器を紹介する。

  • 清水 健司, 河原 正佳
    2018 年 61 巻 p. 73-76
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2018/03/24
    ジャーナル オープンアクセス

    CRS分級ロータは, 高速回転する分級ロータにより, ロータ内部に発生した半自由渦の効果を最大限に利用し, 超微粉分級を可能にした構造で, また, 分解洗浄, メンテナンス性が従来型のCR分級ロータより大幅に向上している。このCRS分級ロータをカウンタジェットミルに搭載したAFG-CRSは, サブミクロン領域の粉砕が可能な流動層式対向型ジェットミルである。

  • 塚田 雄亮, 辻本 広行, 三羽 信比古, 山本 浩充, 川嶋 嘉明
    2018 年 61 巻 p. 77-83
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2018/03/24
    ジャーナル オープンアクセス

    微粒子を用いる薬物送達システム(DDS: Drug Delivery System)の研究が盛んに行われている。著者らは, 生体適合性であり生体吸収性でもある乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA: Poly-Lactide-co-Glycolide Acid)ナノ粒子を薬物キャリアとして用いる医薬品製剤や医療デバイス, 機能性化粧品等の研究開発を進めてきた。PLGAナノ粒子の実用化に際しては, 著者らの粉体技術である機械的粒子複合化法を適用することによって, それまでPLGAナノ粒子の実用化に向けた課題であった凝集性やハンドリング性を克服できた。PLGAナノ粒子は種々の投与ルートで多様な有用性が確認されており, 最近では幾つかの製剤や医療デバイスが国内で臨床試験されるに至った。また, 封入薬剤の皮膚浸透性ならびに毛包深部への送達性を顕著に高めることも見出し, それらのエビデンスを基に機能性化粧品や育毛剤用の基剤として実用化を果たしてもいる。

  • 杉井 祐太, 笹井 愛子, 辻本 広行
    2018 年 61 巻 p. 84-87
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2018/03/24
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    育毛剤を通じて有用な成分を頭皮に塗布することは一般的であるが, このように体の外から有効成分を塗布しても効果には個人差が見られ, また, 中には効果を実感できない場合もある. その一因には, 毛細血管の血流によって毛乳頭, 毛母細胞へ届けられる毛髪産生成分の不足が挙げられるが, これを通常の育毛剤の塗布により改善していくことは難しいと考えられる.

    本報では外側からの育毛ケアだけではなく, 毛細血管の血流改善を考慮した内面からの育毛ケアを組合わせた「内外育毛ケア」の重要性と効果実例を紹介したい。

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