絹の経時劣化と様々な人工劣化の機構についての研究をおこなっている.劣化絹の熱分析とアミノ酸分析をおこなったところ, 初めに経時劣化絹は劣化したものほど300℃付近にみられる熱分解温度が高温側に移動していく。また結晶領域のアミノ酸より非晶領域のアミノ酸のほうが大きく重量減少がおこり, 絹は経時にともない相対的に結晶化度が増える.また熱処理した絹フィブロインのアミノ酸分析より, γ線照射絹は熱分解温度が照射量の大きなものほど低温側に移動し, 結晶領域, 非晶領域の区別なしにランダムにアミノ酸の重量減少が起こる.そして空気中で処理した絹フィブロインは300℃付近で絹フィブロイン中のほとんどのアミノ酸は大きく重量減少がおこり, 窒素噴流中で熱処理したものの方が非晶領域中のチロシン・フェニルアラニンの減少が少なくなっていく.
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