平成3年 (1991年) 11月, 国際連合において流し網漁業の禁止が決議された.その背景の一つとして, 外洋を漂流する廃棄漁網の流失起源は全て日本の漁船だとする外国の主張があった.そのため漂流網の流失起源・流失期間等の識別方法を確立することが緊急の課題となった.本報告は, 漁網主材であるポリエチレンの赤外線吸収スペクトルの中で, 1379cm
-1の位置に側鎖メチル基対称変角振動による吸収が認められることに着目して, 漁網同定の可能性について検討を行ったものである.実験を行った結果, その側鎖メチル基の分岐度はメーカーによって差があることが判ったので, ポリエチレン製漁網の鑑別には極めて有効であると思われる.
抄録全体を表示