本研究はカーボン繊維粉体入り塗膜が鋼板の耐食性に及ぼす影響について研究したものである.カーボン繊維をボールミルにて平均粒子径で約1~3μmに粉砕し, アルキッド樹脂中に分散した.本樹脂塗料を冷間圧延鋼板上に塗装, 焼き付け後塩水噴霧試験48時間にて耐食性評価を行った.その結果カーボン繊維の製造条件によって耐食性に大きな違いが現れた.この大きな違いはカーボン繊維粉体の比表面積とカーボン繊維粉体を含有する塗膜の表面抵抗に関係し, 同じカーボン繊維含有量の場合, 塗膜の表面抵抗が高いカーボン繊維粉体程良好な耐食性を示した.また, 電子顕微鏡写真において, 導電性カーボンブラックに見られる連鎖構造の度合いが少ない方が, 耐食性は良好であった.このような結果は, 導電性カーボンと同じ傾向であった.
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