ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
39 巻, 6 号
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報文
  • 大山 俊幸, 本田 拓望, 川崎 明日香, 所 雄一郎
    原稿種別: 報文
    2018 年 39 巻 6 号 p. 260-266
    発行日: 2018/11/10
    公開日: 2020/03/18
    ジャーナル フリー

    一つの芳香環に複数のOH 基を有する多官能フェノールである2-methylresorcinol(2mr)およびpyrogallol(py)を酸性条件下においてリグニンと反応させることにより,フェノール化リグニン2mr-L およびpy-L を合成した。これらのフェノール化リグニンを硬化剤,1-cyanoethyl-2-ethyl-4-methylimidazole(2E4MZ-CN)を硬化促進剤として用いてビスフェノールA 型エポキシ樹脂(DGEBA)の硬化を行うことにより,硬化物(BA/2mr-L およびBA/py-L)を得た。これらの硬化物のガラス転移温度(Tg)は未改質リグニンを硬化剤として用いた硬化物(BA/L)と比較して向上し,特にBA/py-L ではBA/L と比較して79 ℃高い218 ℃であった。動的粘弾性測定の結果より,BA/2mr-L およびBA/py-L におけるTg の向上は硬化物の架橋密度の上昇に由来することが示唆され,リグニンへの多官能フェノール導入の効果が確認された。また,BA/2mr-L およびBA/py-L では熱重量分析(TGA)における800 ℃での残渣が30%以上となっており,難燃性の向上も示唆された。

  • 廣田 健, 大村 昌己, 中原 和彦, 梶 正史
    原稿種別: 報文
    2018 年 39 巻 6 号 p. 267-273
    発行日: 2018/11/10
    公開日: 2020/03/18
    ジャーナル フリー

    主鎖構造および側鎖に導入する芳香族置換基構造が異なるエポキシ樹脂を合成し,硬化物物性に与える影響について調査した。芳香族変性種として,スチレン,インデン,アセナフチレンを用いた。硬化物のDMA 測定の結果,芳香族置換基の導入により,ガラス転移温度(Tg)を維持しながら高温時の弾性率が低下することを確認した。また,難燃性試験の結果,芳香族置換基の導入により難燃性が改善しており,高温時の弾性率との関係性が示唆された。さらに,芳香族置換基の種類により流動性,耐熱性への影響が異なっていることから,主鎖構造,置換基構造およびその変性率を組合せることで,自由度の高い分子設計が期待できる。

  • 山中 翔太, 中田 政之, 宮野 靖, 松本 隆之
    原稿種別: 報文
    2018 年 39 巻 6 号 p. 274-280
    発行日: 2018/11/10
    公開日: 2020/03/18
    ジャーナル フリー

    本研究ではベンゾオキサジン樹脂を用いた擬似等方CFRP 積層板の有孔引張(OHT) の静的および疲労強度に及ぼす層間高靱化の影響を明らかにした。層間を高靱化したCFRP 積層板(Benzoxazine_Interlaminar Toughened : BXZ_ILT) と高靱化していないCFRP 積層板(BXZ) を取り上げ,OHT 静的および疲労試験を実施した。その結果,BXZ とBXZ_ILT の静的強度の差は認められなかった。一方,疲労強度ではBXZ_ILT のS-N 曲線の傾きがBXZ のそれより小さく,同じ応力に対する破断繰返し数は明らかに大きいものとなった。疲労負荷を受けた試験片の側面および円孔部の縁の層間はく離の発生および進展が層間高靱化層によって抑制されることが分かった。これによって層間高靱化CFRP 積層板の疲労強度が大幅に向上したと推測される。

総説
  • ー ベンゾオキサジン類 ─新しいベンゾオキサジン類の分子設計と重合プロセス─
    遠藤 剛, 須藤 篤
    原稿種別: 総説
    2018 年 39 巻 6 号 p. 281-289
    発行日: 2018/11/10
    公開日: 2020/03/18
    ジャーナル フリー

    1,3- ベンゾオキサジン類は,高性能ネットワークポリマーを合成するためのモノマーとして注目されている。 フェノール類,アミン類,およびホルムアルデヒド誘導体から簡便に合成可能であることから分子設計の自由度が高く,さらに,他のモノマーや反応剤との組み合わせによってさまざまな重合プロセスの構築が可能である。 本稿では,ベンゾオキサジン類の重合機構の解明と,それに基づく高反応性ベンゾオキサジン類の分子設計,および加熱を必要としないベンゾオキサジン類の反応系の開発について紹介する。

  • 鈴村 浩二
    原稿種別: 総説
    2018 年 39 巻 6 号 p. 290-298
    発行日: 2018/11/10
    公開日: 2020/03/18
    ジャーナル フリー

    自動車内装分野は,自動車関連用途の中でも,もっとも多くの接着剤が使用される分野である。使用される用途や求められる機能に応じて,溶剤系,水系,ホットメルト,反応性ホットメルト等のさまざまなタイプの接着剤が使われる。本報では,自動車内装用接着剤の中でも特に厳しい要求が求められるドア内装用接着剤を例に,求められる特性や接着剤の開発動向について述べる。また接着剤に求められるプロセス特性を評価する手法として,剛体振り子を用いた解析例を報告する。

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