日本PDA学術誌 GMPとバリデーション
Online ISSN : 1881-1728
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24 巻, 2 号
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解説
  • 伊藤 伽奈子, 髙橋 志保, 北村 梨帆, 高松 紗絵子, 寶田 哲仁, 鳴瀬 諒子, 鹿野 真弓, 櫻井 信豪
    2022 年 24 巻 2 号 p. 23-31
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/27
    ジャーナル フリー

    背景:国内では,先般,医薬品の不正製造に関する問題が頻発した。これら不正製造問題の原因の一つとして,製品ライフサイクルを通した知識の共有及び活用が十分に行われていないことが挙げられる。また,2021年には,改正GMP省令が施行され,医薬品製造業者は,「医薬品品質システム(Pharmaceutical Quality System:PQS)」を実効的に構築し,運用することが求められている。PQSの「達成のための手法(Enablers)」の一つである知識管理(Knowledge Management)は,PQSを実践するにあたり活用されるべき基礎的な概念であるとされており,PQSの導入と運用には,医薬品のライフサイクルの全般にわたり適用される「知識管理」の理解が有用である。

    方法:国内製薬企業における知識管理の現状を把握し,課題を明らかにすることを目的として,アンケート調査を実施し,課題の抽出や結果の分析,考察を行った。

    結果:得られた395回答から,知識管理そのものの考え方や目的に関しての理解は進んでいる一方で,知識管理の実践方法などに課題があることが明らかになった。また,技術移転時の知識の共有にも課題があり,これらが先般の不正製造問題にも関わっているのではないかと考察された。

    結論:改正GMP省令への対応や不正製造問題の解決のためにも,各企業には実効的な知識管理の実践が求められている。そのためには個人レベルから組織レベルに知識を増大する体制が必要であるとともに,部門間を意識した知識共有のための知識伝達のプロセスを整備することが重要である。

  • 早川 睦, 和田 唯子, 山元 志記, 村上 順一, 井上 能考
    2022 年 24 巻 2 号 p. 32-40
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/27
    ジャーナル フリー

    本稿では,PETボトル無菌充填システムにおける非加熱滅菌システムの構築について解説する。現在,低酸性飲料向けPETボトル無菌充填システムでは,孔径0.2 μmのろ過滅菌フィルターはフィルターを通過する菌のリスクがあるため殆ど採用されていない。そこで,我々は12種のフィルター通過菌とBacillus atrophaeus胞子に対する紫外線(UV)感受性試験を行った。その結果,最もUV耐性が高かったのはBrevundimonas vesicularisであり,6LRVのUV照射量(254 nm)はB.atrophaeus胞子の約半分(67 mJ/cm2)であった。また低圧と中圧UVランプの殺菌性能を比較した結果,供した全ての菌株に対して,中圧ランプの方が高い殺菌効果を示した。次に中圧ランプを搭載したアトランティウム社のUV照射装置を用いて,指標菌B.atrophaeus胞子に対する滅菌性能を検証した。流量18 m3/h,UV照射量80 mJ/cm2の条件で試験した結果,指標菌に対し7LRV以上の滅菌効果が認められた。本結果より,中圧ランプとろ過滅菌フィルターを組み合わせた非加熱滅菌システム(呼称:グリーンアセプティック)を考案した。中圧ランプでフィルター通過菌を死滅させた後,ろ過滅菌フィルターを通過させることで加熱滅菌機と同等の無菌水を作製できる可能性が示唆された。液処理設備の脱炭素化が期待される。

  • 坂本 知昭
    2022 年 24 巻 2 号 p. 41-44
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/27
    ジャーナル フリー

    This article describes progress of revision work of the ICH Q9 (Quality Risk Management: QRM) guideline and training materials. The first version of the ICH Q9 guideline reached Step 5 in September 2006 and has been in use in various countries for over 15 years. In the revision work, feedback from experiences after QRM implementation up to now, and ideas of ICH Q10, Q12, Q14, etc. will be reflected to promote commonality of QRM concepts among regulations and industries, and additional training will be provided.

  • 原 賢太郎
    2022 年 24 巻 2 号 p. 45-56
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/27
    ジャーナル フリー

    筆者は2022年1月にPIC/S Executive Bureau Memberに就任し、PIC/Sの運営に携わっている。本稿では、最近のPIC/Sの動向を紹介するとともに、筆者がPIC/Sの組織運営に携わる中で感じたGMP基準の国際調和の現状、PIC/Sが直面している課題及び解決策を解説したい。あわせて、PIC/S加盟から今日までのPMDA医薬品品質管理部の約8年間の歩みを振り返りながら、今後のPIC/Sの発展の中で、PMDAによるGMP調査手法がどのような変化を遂げていくべきか考察したい。

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