シリコンにNd:YAGレーザを単結晶内部に集光してパルス照射すると,内部にボイドと多結晶層が形成される.これは,本来なら透過するNd:YAGレーザが,吸収係数の温度依存性により集光点近傍で局所的に吸収されるために,ボイドや溶融凝固層が形成されると考えられる.そこで,まず,単結晶シリコンの吸収係数の温度依存性を測定した.この結果に基づいて,パルス照射中の温度分布を計算すると,まずボイド形成部が2×10^4 K以上の超高温となること,直後に高温部がレーザ照射側に熱衝撃波として伝播すること,この高温部は高圧領域となり,瞬時の溶融を抑制すること,パルスが終了するにつれて急速冷却が起こり,高温部が溶融,再凝固することが明らかとなり,実験結果をよく説明できた.
抄録全体を表示