後頭蓋窩の未破裂脳動脈瘤の自然経過と治療成績について検討した. また一部ではテント上のそれらとも対比し後頭蓋窩未破裂脳動脈瘤の特徴を明らかにした. 対象: 昭和54年4月から平成4年10月までに経験した未破裂脳動脈瘤135例 (166個) のうち, 後頭蓋窩の27例 (男16例, 女11例; 8~72歳, 平均54.4歳) 28個を対象とした. 結果: 発生部位は BA top 13個, BA・SCA 8個, VA・PICA 3個, PCA (P
1,2)3個, VA1個であった. 大きさは2~32mm (平均11.4mm) であった. 発見の動機は, SAH の多発性として (1群) 7例7個, 他疾患に合併して (2群) 4例4個, 症候性 (3群) 7例7個, スクリーニングされたもの (4群) 9例10個であった. 非手術例の17例では5例 (29.4%) が経過観察中 (平均36.6か月) 破裂により死亡した. 部位は BA top 2例, BA・SCA 1例, VA・PICA 1例, PCA 1例であり大きさは5mmが2例で, 13, 18, 30mmが各々1例であった. 群別では1群2例, 3群2例, 4群1例であった. テント上の非手術例39例の破裂率は15.4%で後頭蓋窩が高い破裂率であった. 手術は10例10個 (clipping 6例, ligation 1例, coating 1例, 瘤塞栓術2例) に行われた. mortality はなかったが, morbidity は一過性2例 (動眼神経麻痺), 永久的2例 (意識障害, 片麻痺および視力障害) であり, テント上の69例の8.7%に対し高かった. 後者の1例は72歳例で32mmの動脈瘤の neck ligation 後 PCA と穿通枝の閉塞をきたし, 他の1例は8歳女児で経26mmの一部血栓化動脈瘤で超低体温体外循環下に clipping が行われた例であった.
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