この報告の目的は破裂脳動脈瘤に対する瘤内コイル塞栓術の最近の成績を示すことである. 1996年5月より1997年3月までに99破裂脳動脈瘤を経験しそのうち82例に対してGDCによる瘤内塞栓術が行われた. 症例は男性32例,女性50例,年齢は26から78歳 (平均50.1歳) であった. 動脈瘤の部位は A-com 28例, ACA 4例, ICA 21例, MCA 14例, VA 6例, BA 6例, その他3例であった. 動脈瘤のサイズは63例が small size (2-7mm), 15例が medium size (8-14mm), 4例が large size (15-20mm) であった. Hunt & Hess grades は23例が Grade I, 25例が Grade II, 23例が Grade III, 7例が Grade IV, 4例が Grade V であった. 11例は動脈瘤の形態の問題で, 6例が血腫を伴っていたために直達術を行った. Glasgow outcome scale (GOS) 判定は2から5ヵ月後に行い, good recovery 44例 (54%), moderate disability 17例 (21%), severe disability 12例 (14%), vegetative 1例 (1.2%), death 8例 (9.8%) であった. GOSは入院時の重症度に相関し, 48例のgrade I or IIのうち44例 (91.7%) が良好な成績であった (GR 36例, MD 8例). 動脈瘤の部位による予後の違いはみられなかったが, 脳血管攣縮は13.9%にみられ予後に影響を与えていた.
以上のことから破裂脳動脈瘤に対するGDC塞栓術の早期臨床成績はクリッピング術に比較しても十分満足のいくものであると思われた.
抄録全体を表示