目的 高LDLコレステロール(以下LDL-C)血症の男性労働者に対する対策のひとつとして,食事における脂肪酸バランスの改善があげられる。事業所の現場において実施可能な栄養指導プログラムを考案し,実現可能性と効果の検証を目的とした。
方法 A社従業員40~60歳の非喫煙男性で2016年定期健康診断においてLDL-C≧120 ㎎/dLであった40名を対象に,介入群と対照群に無作為に割付け,介入群に対して管理栄養士1名による30~40分の個別栄養指導1回と手紙による継続支援を行った。2017年健康診断の項目および食品摂取質問紙調査項目について,介入前後における変化を2群間で比較検討した。統計解析は対応のないt検定を用いた。
結果 対象者は49.7±5.3歳(mean±SD),BMIは22.5±1.8 kg/m2,腹囲は81.4±5.9 cmであった。介入群の18名全員が栄養指導プログラムを完了した。介入前後のLDL-C値は,介入群173.8±28.9 mg/dLから169.1±30.3 mg/dL(変化量-4.7 mg/dL)に低下,対照群161.6±27.0 mg/dLから165.5±28.6 mg/dL(変化量+3.9 mg/dL)に上昇した。LDL-C値の変化量の群間比較に,統計学的有意差は見られなかった(p=0.209)。食品摂取調査の群間比較ではフライに有意差が見られ(p=0.021),対照群で減少した。
結論 高LDL-C血症の男性労働者に脂肪酸バランスに重点をおいた栄養指導プログラムを実施し,介入群全員が完了でき事業場における実現可能性が示唆された。効果の検証のためには,より大規模な調査による検証が必要である。
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