本研究の目的は, 日本の中学校理科教科書において, 探究活動の各段階で設定される問いの傾向を見いだすことである。これは, 日本の中学理科における探究活動の特徴的な姿を知るために設定した研究目的である。そのため, 中学校理科教科書に書かれている「問い」を抽出してデータセットを作成し, 問いの種類と場面についてのクロス集計を行い, その結果を考察した。そこから, (1)探究過程の前半部分と後半部分で似たような問いが設定される, (2)観察や実験よりも後の部分では, 得られた事実によって可能になる一層具体的な問いが設定される, (3)自然の仕組みや規則性を明らかにするための問いと, 得られた科学的知識を用いて自然事象を説明するための問いがあり, 探究の場面によって使い分けられる, (4)内容領域によって異なる問いの立て方がある, などの傾向が明らかになった。
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