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朝戸 裕, 向井 美和子, 篠原 央, 下山 豊, 古田 一徳, 西堀 英樹, 栗原 直人, 土橋 誠一郎, 壁島 康郎
医療
1998年
52 巻
6 号
372-375
発行日: 1998/06/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
乳房の
顆粒
細胞腫は比較的まれな腫瘍である. 我々はその1例を経験したので報告する. 症例は32歳の女性, 右乳房に腫瘤を自覚し1年後に増大傾向を認めたため受診, 右乳房外上(C)領域に2×2cm大の皮膚の陥凹を伴う硬結を1個触知したが, 所属リンパ節は触知しなかった. 乳腺超音波検査では乳癌を疑われた. 穿刺吸引細胞診を施行し異型細胞を認めなかったが, 乳癌が否定できず腫瘤摘出術を行った.
ヘマトキシリンエオジン(以後H. E.)染色で腫瘍は胞体の豊富な大型の細胞よりなり, PAS陽性の
顆粒
を持ち, 核分裂像は認められず, 異型性も無かった. 胞体内の
顆粒
はS-100蛋白, neuron specific enolaseが陽性であり, 良性
顆粒
細胞腫と診断された, 術後経過は良好で, 12年間再発も無く健在である. 乳房の
顆粒
細胞腫はまれな疾患であるが, 文献的にも術前の臨床的診断で乳癌を疑われている例が多く注意が必要である. また良性例が大部分を占めるが少数の悪性や遠隔転移を起こした症例も報告されている.
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下山 雅朗, 酒井 靖夫, 高久 秀哉, 瀧井 康公, 岡本 春彦, 須田 武保, 畠山 勝義
日本消化器内視鏡学会雑誌
1999年
41 巻
7 号
1330-1335
発行日: 1999/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
顆粒
細胞腫は皮膚,食道,舌に好発するが,大腸での報告例は稀である.われわれは盲腸に発生した多発
顆粒
細胞腫の1例を経験したので報告する.症例は44歳女性,大腸内視鏡検査にて盲腸に2個の粘膜下腫瘍を認め,腹腔鏡下に切除した.腫瘍細胞は好酸性の
顆粒
を含む胞体を有し,その
顆粒
はPAS染色陽性であり,ジアスターゼ消化に抵抗性であった.免疫組織学的染色ではS-100蛋白陽1生であり,
顆粒
細胞腫と診断した.
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加藤 元彦, 西田 勉, 森井 英一, 堀 由美子, 林 義人, 山本 俊祐, 飯島 英樹, 筒井 秀作, 辻井 正彦, 竹原 徹郎
日本消化器内視鏡学会雑誌
2012年
54 巻
6 号
1819-1826
発行日: 2012年
公開日: 2012/07/03
ジャーナル
フリー
46歳女性.胃体上部大弯後壁に径15mmの粘膜下腫瘍を指摘され,生検にて
顆粒
細胞腫と診断された.30カ月の経過中に緩徐な増大傾向を認めたに増大し,径20mm弱となった.超音波内視鏡では病変は第2・3層の境界に中間エコーの腫瘤として描出された.病変深層に粘膜下層が保たれていたためESDにて一括切除した.切除標本の病理ではα-SMA(-),KIT(-),CD34(-),S-100(+),PAS染色(+)で,MIB-1 index 5%程度で,胃の良性
顆粒
細胞腫と診断した.まれな胃の
顆粒
細胞腫の一例を経験した.内視鏡所見を経時的に追うことができた貴重な症例と考えられたので,文献的考察を含めて報告する.
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小澤 俊文, 和知 栄子
日本消化器内視鏡学会雑誌
2011年
53 巻
10 号
3286-3294
発行日: 2011年
公開日: 2011/11/30
ジャーナル
フリー
症例は56歳の男性.胃体上部小彎後壁にSMTを認めた.ラジアル式EUSでの観察では第3層に主座を置く均一低エコー腫瘤で,第4層と連続することから平滑筋腫として経過観察された.2年後の細径プローブによる観察では腫瘤径に変化なく,辺縁は不整かつ境界やや不明瞭で第4層より高エコー輝度を示したことより,筋原性腫瘍に矛盾するためボーリング生検を施行し
顆粒
細胞腫と診断した.固有筋層と連続する胃
顆粒
細胞腫は20%にみられた.
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大野 健次, 平沢 好武, 清光 義則, 白崎 良明, 袖本 幸男
日本消化器内視鏡学会雑誌
1996年
38 巻
1 号
59-63_1
発行日: 1996/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例1は59歳男性.盲腸に約10mm大のカルチノイド類似の内視鏡像を示す粘膜下腫瘤を認めた.症例2は64歳男性.盲腸に約5mm大の粘膜下腫瘍様病変を認めた.組織学的に2例とも粘膜下層から粘膜固有層に
顆粒
細胞腫がみられ,組織標本上,それぞれ7mm大,2.5mm大であった.大腸
顆粒
細胞腫はある大きさに至るとカルチノイド類似の内視鏡像を示すこと,また2.5mm大の腫瘍の組織像より,この腫瘍の発生の場は粘膜筋板近傍(カルチノイドの如く粘膜固有層の最深層からもしくは粘膜下層の最上層または粘膜筋板)にある可能性が示唆された.
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勝島 慎二, 西原 謙, 木村 利幸, 猪熊 哲朗, 永島 美樹, 山東 剛裕, 谷口 敏雄
日本消化器内視鏡学会雑誌
2003年
45 巻
8 号
1232-1237
発行日: 2003/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は55歳,男性.45歳時の健診では異常無く,50歳時に初めて径12mm大の粘膜下腫瘍を指摘,4年後に丈の増高が疑われて超音波内視鏡検査を施行.腫瘍は粘膜下層に限局した低エコー腫瘤であった.高ガストリン血症やA型胃炎がなく,散発性カルチノイドを疑ったが,生検では診断できず,完全生検目的で内視鏡的吸引粘膜切除法を施行.組織学的に好酸性
顆粒
を含む豊かな胞体を有する多角形細胞の増殖が見られ,S100抗体陽性で
顆粒
細胞腫と診断した.今後粘膜下層の低エコー腫瘤を認めた場合,カルチノイドの他に
顆粒
細胞腫も考慮し,生検で組織診が得られない場合で腫瘍径2cm以下の場合は完全生検目的で内視鏡的切除を、試みるべきと考えられた.
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河野 敦子, 伊藤 裕啓, 谷野 朋子, 伊藤 大, 蘆田 潔, 樋田 信幸, 杉本 憲治
日本消化器内視鏡学会雑誌
2010年
52 巻
10 号
2967-2973
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/03
ジャーナル
フリー
大腸
顆粒
細胞腫は,多数の症例報告の結果,近年広く認知されるようになった.しかしながら,実地医家における頻度的検討がなされたことはほとんどない.われわれの施設において2004年6月から2007年5月までの3年間に2例(0.03%),4病変の大腸
顆粒
細胞腫症例を経験した.同じ時期に経験した大腸カルチノイド腫瘍症例は13例(0.24%)で,大腸カルチノイド腫瘍:大腸
顆粒
細胞腫比は13:2であった.
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東海林 理, 泉澤 充, 佐藤 仁, 星野 正行, 高橋 徳明, 六本木 基, 松本 直子, 武田 泰典, 小豆嶋 正典
岩手医科大学歯学雑誌
2018年
42 巻
3 号
120-126
発行日: 2018/02/09
公開日: 2018/03/11
ジャーナル
フリー
左顎下部に発生した極めてまれな
顆粒
細胞腫について報告する.患者は38 歳の女性で左の顎下部の腫脹を主訴に来院した.病変は弾性硬で初診時に直径が約30 mm であった.圧痛は示さなかった.超音波検査,CT,MRI から顎下腺に形成された多形腺腫か悪性腫瘍を疑った.全身麻酔下で病変の切除が施行された.病理学的には好酸性
顆粒
を持つ細胞の充実性な増殖が認められた.免疫組織科学的に腫瘍細胞の細胞質内
顆粒
はS-100 蛋白質と神経特異エノラーゼ(NSE)が陽性であった.Ki-67 の陽性率が2%以下であった.内部に顎下腺の組織が見られなかったことから,顎下部に発生した
顆粒
細胞腫との病理組織学的診断を得た.術後2年5か月が経過したが,再発の所見は認められていない.
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北畑 翔吾, 壷内 栄治, 二宮 朋之, 岩﨑 竜一朗, 富田 英臣, 森 健一郎, 熊木 天児, 杉田 敦郎, 日浅 陽一, 道堯 浩二郎
日本消化器内視鏡学会雑誌
2020年
62 巻
7 号
764-770
発行日: 2020年
公開日: 2020/07/20
ジャーナル
フリー
HTML
59歳女性.2年前より嚥下困難を認め,当院を受診.精査により頸部食道に40mm大の粘膜下腫瘍を認め,腫瘍の圧排による食道狭窄を認めた.粘膜面にびらんや潰瘍を認めず,粘膜切開生検による組織検査にて
顆粒
細胞腫と診断した.病理学的に悪性所見は認めなかったものの,通過障害に伴う嚥下困難感が強いために胸腔鏡下腹腔鏡下食道亜全摘を施行した.腫瘍は気管膜様部に浸潤し,本症例は病理学的に良性であるが,悪性
顆粒
細胞腫の診断基準を満たした.食道
顆粒
細胞腫は本例のように病理組織学的に良性でも深部浸潤をきたす症例があり,腫瘍径が大きい症例や周囲臓器への浸潤を認める症例,自覚症状を伴う症例は外科加療を考慮すべきである.
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浦野 薫, 長嶋 厚樹, 島田 〓介, 佐竹 儀治, 片平 俊彦, 光谷 利幸
日本消化器内視鏡学会雑誌
1996年
38 巻
8 号
1968-1973
発行日: 1996/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
顆粒
細胞腫は,皮膚・舌などに好発するが,消化管における発生は少なく,特に大腸に発生することは稀である.われわれは盲腸,上行結腸に発生し内視鏡的に切除しえた多発
顆粒
細胞腫の一例を経験したので報告する.症例は45歳男性.時折みられる腹痛精査のため大腸内視鏡検査を施行し,盲腸に7×7mm I sp型,上行結腸に8×7mm Is型の表面平滑な粘膜下腫瘍がみられ,内視鏡的ポリペクトミーを施行した.組織学的には粘膜下層に限局する充実性の腫瘍で,完全切除されていた.腫瘍細胞は好酸性の
顆粒
を含む豊富な胞体を有し,その
顆粒
はPAS染色陽性でジアスターゼにて消化されず,免疫組織学的染色ではS-100蛋白,NSE陽性であり
顆粒
細胞腫と診断した.本邦での報告例は,自験例を含め19例であり,うち多発例は自験例を含め2例であった.
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氷室 直哉, 鈴木 隆, 南方 孝夫, 大島 穣, 田澤 咲子, 門倉 光隆
肺癌
2018年
58 巻
4 号
271-274
発行日: 2018/08/20
公開日: 2018/09/04
ジャーナル
オープンアクセス
背景.極めて稀である,肺炎像を伴う気管支原発の
顆粒
細胞腫を経験したので報告する.
症例.40歳男性.健康診断で胸部異常陰影を指摘された.胸部CTでは右肺S
6に境界不明瞭な最大径31 mmの腫瘍を認め,その周囲にはconsolidationを伴っていた.気管支鏡検査を施行したが診断は得られず,診断・治療目的に胸腔鏡補助下右肺下葉切除術を施行した.病理組織検査では腫瘍細胞は類円形・卵円形に増殖し,好酸性で
顆粒
状の豊富な細胞質を有していた.免疫染色ではS-100蛋白が陽性で,
顆粒
細胞腫と診断した.
結論.顆粒
細胞腫は一般的に良性腫瘍とされているが,一部には悪性のものや再発の報告もあり,術式も含めた治療方針の決定は慎重に行うべきである.
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岡本 豊, 佐々木 義雄, 八木橋 法登, 山居 聖典, 佐藤 和則, 千葉 裕樹, 珍田 大輔, 齋藤 正人, 鈴木 英章, 八森 久, 川部 汎康, 福田 眞作
日本消化器内視鏡学会雑誌
2010年
52 巻
8 号
1857-1865
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/03
ジャーナル
フリー
症例は59歳,男性.食道ポリープの精査のため近医から紹介となった.上部消化管内視鏡で胸部中部食道に直径12mm大の黄白色調の大臼歯様の粘膜下腫瘍を認めた.生検では
顆粒
細胞腫であり,超音波内視鏡では粘膜固有層を主座とするやや低エコーな腫瘍として描出され,最深部で粘膜下層浅層に及んでいた.内視鏡的粘膜下層剥離術を施行し,安全かつ垂直断端も陰性で完全切除できた.食道
顆粒
細胞腫に対し内視鏡的粘膜下層剥離術が有用であったのでここに報告する.
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岡田 光生, 北岡 真由子, 榮枝 弘司, 青野 礼, 佐竹 朋美, 大川 良洋, 梅下 仁, 矢野 慶太郎, 田島 萌夢, 中島 絢子
日本消化器内視鏡学会雑誌
2024年
66 巻
1 号
29-35
発行日: 2024年
公開日: 2024/01/22
ジャーナル
フリー
HTML
症例は58歳,女性.嚥下困難の精査のためEGDを施行した.上部食道に約10mm大の黄白色調の臼歯様の隆起性病変を認め,生検にて食道
顆粒
細胞腫と診断した.また,食道全域に1~2mm大の小陥凹が多発し,食道壁内偽憩室症と診断した.食道
顆粒
細胞腫を内視鏡的に切除したが,食道壁内偽憩室症による食道粘膜下層の線維化が予想されたため,EMRによる切除は困難と判断し,ESDにより切除を行った.当初の予想通り粘膜下層は線維化を伴っており,粘膜下局注による病変の挙上は不良であったが,一括切除し得た.本症例は食道
顆粒
細胞腫に食道壁内偽憩室症を合併した点,さらに,食道壁内偽憩室症に併存した腫瘍を内視鏡的に切除し得た点が興味深いと思われたため報告する.
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岩田 英治, 長谷川 巧実, 南川 勉, 渋谷 恭之, 古森 孝英
日本口腔診断学会雑誌
2014年
27 巻
3 号
253-256
発行日: 2014/10/01
公開日: 2014/10/31
ジャーナル
フリー
We herein report a case of a granular cell tumor arising from the dorsal side of the tongue in a 45-year-old female. The patient had noticed a mass on the left dorsal side of the tongue seven months earlier, but had ignored it as it was painless. The lesion exhibited a hard, elastic, clear boundary measuring approximately 15 × 15 mm on the left side of the back of the tongue. A biopsy was performed, and the lesion was diagnosed as a granular cell tumor. The tumor was resected, including the surrounding normal tissue. Histopathologically, it consisted of uniform cells with many eosinophilic granules in the cytoplasm and pseudoepitheliomatous hyperplasia. On immunohistochemistry, the cytoplasm and nucleus displayed immunoreactivity for S-100 protein and CD68. No evidence of any local recurrence was observed during the one-year follow-up period.
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日野 聖慧, 岩本 修, 喜久田 翔伍, 轟 圭太, 古場 朗洋, 楠川 仁悟
日本口腔診断学会雑誌
2020年
33 巻
2 号
160-165
発行日: 2020年
公開日: 2020/07/22
ジャーナル
フリー
A granular cell tumor is a relatively rare benign tumor arising in various soft tissues of the body. In the oral region, it commonly occurs in the tongue. We report three cases of granular cell tumor arising in the tongue and the floor of the mouth.
Case 1: A 33-year-old woman had an elastic-hard mass of 18×13mm in the left lateral border of the tongue. The tumor was excised with a 3-mm margin under general anesthesia.
Case 2: A 35-year-old man complained of a small mass at the left lateral border of the tongue. The tumor was excised with a 3-mm margin under local anesthesia.
Case 3: A 62-year-old woman had a small submucosal mass of 7×7mm at the left sublingual caruncle. The tumor was excised with a 3-mm margin under local anesthesia. In all cases, histopathologic examinations revealed granular cell tumor. There was no distinct capsule around the tumor. Tumor cells had intracytoplasmic granules immunostained with S-100 protein, NSE, CD68, Vimentin, and Galectin3. In cases 2 and 3, tumor cells were positive for Calretinin, suggesting neurogenic origin. We searched and discuss 130 cases of granular cell tumor reported in Japan.
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佐藤 賢一郎
道南医学会ジャーナル
2024年
7 巻
1 号
117-123
発行日: 2024年
公開日: 2024/06/03
ジャーナル
フリー
今回、53歳、閉経後の恥丘部に発生した
顆粒
細胞腫の稀な1例を経験した。従来、
顆粒
細胞腫は特徴的な臨床所見がなく術前診断は生検以外では困難とされていたが、自験例よりMRI検査が診断に役立つ可能性が示唆された。T1およびT2強調像で低〜ごく軽度高信号(筋層と同程度)、拡散強調像で高信号、ADC値が低値を示す場合には
顆粒
細胞腫の可能性を考慮し、手術方法を慎重に検討すべきであると考えられた。
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田辺 美樹子, 河野 敏郎, 小林 俊介, 笠岡 千孝, 嶋田 紘
日本臨床外科学会雑誌
2003年
64 巻
12 号
2999-3003
発行日: 2003/12/25
公開日: 2009/03/31
ジャーナル
フリー
比較的稀な乳腺
顆粒
細胞腫の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は68歳,女性.左乳房腫瘤を自覚したため受診した.左乳房C領域に, 1×0.8cmの表面平滑,弾性硬,境界不明瞭の腫瘤を触知した.マンモグラフィ,超音波検査およびMRIでは悪性を疑った.穿刺吸引細胞診ではClass IIであった.後日,一部大胸筋に浸潤していた部位も含めて腫瘤摘出術を施行した.術中迅速病理診断では,組織型の確定は困難であったが良性腫瘍と診断され,手術を終了した.固定後の病理組織学的所見は胞体に好酸性の
顆粒
を有する大型の細胞が胞巣を形成し,大胸筋,脂肪組織に浸潤し,免疫組織学的にはS-100蛋白が陽性であった.以上より
顆粒
細胞腫と診断された.本疾患は理学所見,画像所見が乳癌に類似し,穿刺吸引細胞診,術中迅速診断でも診断は必ずしも容易ではないため,治療方針を決定する際注意が必要である.
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澤本 学, 池田 香織, 小田 香織, 熊本 貴之, 磯貝 理恵子, 中山 剛之, 山田 秀和
皮膚の科学
2008年
7 巻
2 号
222-225
発行日: 2008年
公開日: 2010/12/06
ジャーナル
認証あり
50歳,女性。約10年前から,腹部に皮下腫瘍が出現。徐々に大きくなってきたため,当院受診。受診時,腹部に直径7cmの皮下腫瘍を触知し,下床との可動性は無く,弾性硬。CT上,臍部やや右寄りに長径7cmのhigh densityな腫瘍性病変を認め,腹直筋部は肥厚していた。生検を施行し,
顆粒
細胞腫と診断した。腫瘍摘出術を施行した。術中,腹膜への浸潤を認めたが,肉眼上,腹腔内臓器との癒着は無かったため,腹膜まででの切除とした。病理組織上,腹膜の全層が腫瘍細胞で置き換わっている部位も認めた。術後10ヵ月で再発を認めた。Fanburg-Smithらの組織学的悪性の診断基準を満たさないため組織学的異型であるが,腹膜への浸潤を認めることや,術後に再発していることから臨床的悪性と診断した。
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上原 正弘, 藤井 宏二, 竹中 温
日本臨床外科学会雑誌
2001年
62 巻
5 号
1141-1145
発行日: 2001/05/25
公開日: 2009/08/24
ジャーナル
フリー
顆粒
細胞腫はSchwann細胞由来の腫瘍とされ,乳腺での発生率は
顆粒
細胞腫全体の4.6~14%で,本邦では自験例をあわせ30例の報告がある.理学所見および画像所見から乳癌との鑑別は困難で,報告例のうち73.3%は癌と術前診断しており,病理学的検索を行わず定型的乳房切除術が施行され,その後良性と判明した例もある.穿刺吸引細胞診または腫瘤摘出術にて的確に診断する事が重要と思われた.
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浜島 英司, 鈴木 敏行, 吉岡 宣夫, 小川 裕, 谷川 誠, 中村 聡一, 吉川 俊之, 横井 太紀雄, 芳金 弘昭
日本消化器病学会雑誌
1997年
94 巻
1 号
27-32
発行日: 1997/01/05
公開日: 2011/06/17
ジャーナル
フリー