日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌
Online ISSN : 2424-1776
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ISSN-L : 1880-2133
47 巻, 2 号
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  • 堂山 宗一郎, 江口 祐輔, 上田 弘則, 植竹 勝治, 田中 智夫
    原稿種別: 本文
    2011 年 47 巻 2 号 p. 75-81
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    イノシシの学習能力を測定するために、迷路学習実験を行なった。実験装置としてT字迷路を2つ組み合わせた複合迷路を作製した。実験には飼育イノシシ5頭を供試した。迷路内の一部を利用した馴致および訓練の後、本試験を行なった。本試験は6試行/セッション、1セッション/日とし、連続4日間行なった。迷路のゴール地点には報酬を設置し、供試個体がそこに到達するまでの時間(到達時間)、袋小路になっているエラーエリアへの侵入回数(エラー回数)およびスタート方向へ逆走した回数(逆走回数)を記録した。到達時間は、セッションを重ねるごとに短縮した。エラー回数は、セッションを重ねるごとに減少し、セッション4ではエラーが無くなった。これらの結果を家畜における迷路実験と比較すると、イノシシが家畜と同等もしくはそれ以上の学習能力を持つことが示された。そして、イノシシにおいても到達時間とエラー回数が、齧歯類の迷路実験と同様に学習能力を測定する指標として有用であることも示唆された。逆走回数はセッションを重ねるごとに減少した。スタート地点は、供試個体にとって安全で非常に慣れた場所であったため、逆走回数の減少がイノシシの新奇環境に対する慣れと関連していることが考えられた。
  • 豊田 英人, 江口 祐輔, 古谷 益朗, 植竹 勝治, 田中 智夫
    原稿種別: 本文
    2011 年 47 巻 2 号 p. 82-88
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    近年、ハクビシン(Paguma larvata)による様々な被害が日本各地で問題となっている。夜間に発生する鳥獣被害への対策の一つとして、照明装置が広く利用されており、夜行性動物であるハクビシンの被害に対しても応用されている。しかしながら、これまでハクビシンに対する光照射の忌避効果について科学的に裏付けた研究は報告されていない。本研究では、鳥獣被害対策としての光照射の効果を検証するため、3方向(正面、側面、頭上)からの光照射に対する飼育下ハクビシンの光照射時の反応と消灯後の行動変化について調査を行った。光照射は各供試個体に対して、1条件につき1回行い、照射時間は10秒とした。光照射時には、頭上照射条件で1個体が弱い驚愕反応を示したが、各照射条件で無視、接近、探査が観察された。消灯後の行動には照射条件間で変化がなく、空間利用時間の割合は光源に近いエリアで増加した。本研究の結果から、ハクビシンは光照射を忌避せず、むしろ興味を持つ可能性が示唆された。よって、ハクビシン被害対策として照明装置を利用することは、効果的な対策とはいえないことが示された。
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