本研究では、コミュニケーション中断(communication breakdown, 以下CB)場面における聴覚障害児の使用する訂正方略(repair strategy, 以下RS)を検討することを目的とした。聴覚障害のある4 歳児4 名、5 歳児5 名を対象とした。分析にあたって、先行研究のRS分類を「繰り返し」「付加」「置換」「応答」「その他」の5 項目に整理した。まず、従来と同様の手法でRS分類を用い、CB場面における対象児の反応を分析した。次に、非言語行動の視点から「その他」に分類された反応について検討し、その後、RS分類を用いて「その他」に含まれた非言語行動による反応を分析した。 分析した結果、対象児の使用したRSは「付加」「繰り返し」「置換」「応答」の順に多いことが確認された。「その他」に分類された反応が20回であり、うち、非言語行動が14回であった。これら14回の反応をRS分類で分析した結果、「付加」が1 回で、「応答」が12回で、「その他」が1 回であった。この結果から、聴覚障害児がCBを修復する際、非言語行動も使用することが確認され、今後、非言語行動を分析に取り入れる必要性が示唆された。
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