加速器による単色中性子源は、加速器施設の設計や遮蔽のための核データ測定、宇宙線起因の中性子による半導体ソフトエラー試験、中性子線量計の較正等に不可欠である。しかしながら、20 MeV以上のエネルギー領域において、最も単色性のよい7Li(p,n)中性子源の場合でも二体反応チャンネルの他に、多体崩壊反応チャンネルが開き、ピーク成分以外にエネルギー連続テイル成分が伴って純粋に単色ではない。そのために、中性子照射実験では、実験結果が低エネルギー連続成分に大きく左右されてしまい、信頼性が低いという問題が存在する。又、このエネルギー領域では、中性子束強度も十分ではない。そのため、20 MeV以降の中性子照射に関するデータは、質・量ともに乏しいのが現状である。この現状を改善するには、中性子源の強度を高めるとともに、単色性を高めるための工夫が不可欠である。本研究では、7Li(p,n)反応と9Be(p,n)反応のピーク成分が非常に強い前方性を持ち低エネルギー連続成分が等方に近いことを利用して、0度方向の準単色中性子に対する結果から、後方角度に対する結果を差し引くことで、データを得るための設備の設計を行う[1]*[1]J.M.Sisterson et al,:Nucl. Instrum.Methods, B240(2005)617-624
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