日本と韓国の間を結ぶ日韓コンテナ航路(日韓航路)は,日韓貿易を支える重要な役割を
担っている。また,九州地方含む日本の地方港にとって,釡山港との航路は重要な国際航路
であり,釡山港は外国との貿易に際して通過するチェックポイントとなっている。
本稿では改めて日韓航路の基本的な動向と現状について確認する。主な内容としては,概
して,九州地方が日韓航路を通じてアジア地域との経済的結びつきを強めていることがあげ
られる。ほかの地方より九州地方が韓国向け輸出貨物を集めている一方で,博多港以外で日
韓航路の便数が少なくなっていることも確認された。
また,日韓航路は10 社以上の中小韓国船社が大きなシェアを占めている。これらの会社は
再編の可能性もときおりささやかれており,日韓航路に参入する船社間で再編が見られれば,
日本の荷主にとってコスト上昇要因になる可能性がある。
さらに,本稿では日本発着貨物が釡山トランシップへの依存度を高めている傾向も指摘し
ている。今後はサプライチェーンの強靭化に資する形でコンテナ港湾の利用を考えること,
九州におけるコンテナ輸送の在り方を考えることが重要になる。
貿易の主要な手段であるコンテナ輸送を,地方で活発化させる意義は大きい。九州地方を
はじめ日本の多くの地方港について「実入りコンテナの輸出量を増やすこと」は共通した課
題である。地方の雇用を促進し,経済の活発化を促すためにも輸出促進の試みが期待される。
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