東アジアへの視点
Online ISSN : 1348-091X
25 巻 , 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 今井 健一
    2014 年 25 巻 2 号 p. 1-14
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/05/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    エコシティ(eco-city)とは,エコロジー(ecology:生態学)のエコとシティ(city:都市)を組み合わせた言葉であると一般的には理解されているが,いつ,どの国で,そして,どのような背景の下で,この用語が最初に使われ始めたのかは明らかでない。その日本語訳としては,多くの文献において環境共生都市という用語が使われている。この用語が意味するところは,分かりやすくいうならば,環境に配慮をした都市である。よって,環境共生都市が目指すところは,環境への負荷が少ない都市づくりであり,具体的には,汚染物質あるいは二酸化炭素を含む温室効果ガスを極力排出しない,資源を有効に使う,そして自然と共生するといった様々な面において環境への負荷が少ない都市づくりである。日本においては,1993 年に建設省(現在の国土交通省)が開始した環境共生モデル都市事業において環境共生都市が提唱されており,その「環境共生モデル都市制度要綱」(1993 年7 月8 日)には,「環境負荷の軽減,自然との 共生,アメニティ(amenity:快適環境)の創出等による良好な都市環境の形成の推進を図る」と謳われている。現在では,環境共生モデル都市事業は継続されていないようであるが,2000年以降,政府は環境モデル都市事業,環境未来都市事業,あるいはスマートシティ事業など環境に配慮をした都市づくりに向けた様々な事業をスタートさせている。これらの事業は名称こそ異なるものの,基本的には環境に配慮をした都市づくり事業であることから,エコシティ関連事業として括ることとが出来る。本稿では,日本政府によるエコシティ推進のための各種事業,そして日本の自治体による先駆的かつ意欲的なエコシティ推進に向けた具体的取り組みを通して,日本のエコシティ推進における特徴の一端を浮き彫りにすると共にその課題について考察する。 本稿の構成は,次のとおりである。まず,第2 節では,日本政府が推進する様々なエコシティ関連事業をそれらのビジョン,すなわち,どのようなまちづくりをするのかについての構想に基づいて分類し,エコシティ関連事業の全体像を俯瞰する。第3 節では,日本のエコシティ推進において重要かつ今後さらに関心が高まるであろう循環型社会,コンパクトシティ,エネルギーの地産地消といった3 つのテーマにおける北九州市(循環型社会),富山市(コンパクト シティ),飯田市(エネルギーの地産地消)の先駆的かつ意欲的な取り組み事例を通して,日本のエコシティ推進における特徴の一端を浮き彫りにする。そして,第4 節では,日本のエコシティ推進における課題を3 つの視点,具体的には,人口減少・高齢化社会への対応,インフラのスクラップ・アンド・ビルド,そして地域の自然資源を活かしたエネルギーの地産地消の視点から論じる。最後に,本稿の内容をまとめてむすびとする。
  • 坂本 博
    2014 年 25 巻 2 号 p. 15-25
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/05/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    日中関係は,政治を中心にかつてない難しい状況に立たされている。しかしながら,それでも中国の経済成長は続き,成長率こそ減速したものの,2013 年のGDP の総額は日本円換算で1,000 兆円に近付いている。これは「アベノミクス」により復活が期待される日本のGDP の約2 倍である。もちろん,人口が日本の10 倍以上の中国において,GDP を人口1 人当たりで換算すると,日本の優位性はまだ失われていないといえる。しかし,依然として成長余力のある中国と,イノベーションをはじめとした新しいものが出現しない限り成長がおぼつかない日本とでは,優位性の差が縮まるのは時間の問題であろう。 もっとも,中国の成長の「質」に目を向けると,必ずしも成功だとはいえない。例えば,PM2.5 をはじめとする環境破壊があげられる。ただし,これは日本も過去に経験済みなので,中国を厳しく批判することはできない。成長時の資金調達に利用されてきた「影の銀行」の破綻問題も中央政府の対応次第では世界経済を震撼させるかもしれない。一方で,地域間格差の問題が依然残っている。これまでは市場経済を通じて東部沿海地域に労働や資本が集中するシ ステムを構築してきた。これにより中国全体の経済発展が助長されることになるが,市場経済に取り残された地域(主に内陸部ならびに西部)との地域間格差を拡大させることになった。これは,社会主義を標榜している中国にとっては非常に問題であると考えられている。 この問題に対して,2000 年から「西部大開発」と呼ばれる大きな政策が実施された。この西部大開発により,資本の流れの一部が中西部に向かうようになった。これにより成長機会をえた地域は高成長を遂げるようになったといわれている。また,労働者の移動も,都市部・東部集中傾向は続くものの,中西部の成長地域にとどまる可能性が生じてきている。その結果,省間所得格差はどう変化したのか。本研究は,本誌2005 年6 月号に掲載した拙稿「中国の省 間所得格差-動向を知る-」を直近のデータまで延長させて再検討したものである。拙稿では今後の展望として,西部大開発の動向と労働者の移動を取り上げている(p.16)。本研究では,その後の動向の変化を分析することで,上記の2 点について検討を試みるが,あわせて改革開放後の動きを概観した上で,簡単なシミュレーションによる将来予測にも取り組んでいる(注1)。
  • 今井 健一, 岸本 千佳司, 田村 一軌
    2014 年 25 巻 2 号 p. 26-38
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/05/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
  • 片山 憲一
    2014 年 25 巻 2 号 p. 39-52
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/05/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
  • 鳥丸 聡
    2014 年 25 巻 2 号 p. 53-61
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/05/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    2014 年4 月1 日,17 年ぶりに消費税増税が実施された。みずほ総合研究所の試算によると,夫婦と子ども2 人,年収500 万円の世帯で増税による2014 年度の負担増は8 万3,482 円に達し,経済対策による子育て世帯向けの現金給付を考慮しても,年間7 万円程度の実質負担増になるという。新年度の家計防衛の観点から「駆け込み需要」が活発化したのも道理である。2013 年末までの「駆込み需要」と言えば,百貨店で100 万円もする高級腕時計が月に100 個以上売れたとか,大都市圏で億ション着工が活発化しているとか,高級輸入車販売が活況を呈しているといった富裕層のバブリーな話題ばかりが目立っていたが,増税目前となった2014 年入り後は,公共料金や鉄道,路線バス,高速バス,都市高速料金,はたまた福岡市営渡船や三瀬トンネル通行料金等々の値上げが発表・検討されているというニュースを見聞きするようになって,定期券や回数券,トイレットペーパーに代表される日用消耗品のまとめ買いなどが見られるようになり慌ただしくなった。3 月上旬に,駆け込み需要とは縁がないように思える「甲冑」生産全国シェア9 割を誇る「丸武産業」(鹿児島県薩摩川内市)を訪ねたら,2 月下旬から端午の節句用の兜の受注が例年以上に増えたという。NHK 大河ドラマ「軍師 官兵衛」関連のイベント用甲冑も「GWの博多どんたくで着用したいが,増税前の3 月中に納品して欲しい」といった注文まで舞い込んで大童だった。ハンドメイドで受注生産する伝統工芸品は,熟練職人の数に限りがあるため,駆け込み需要への対応には限界がある。このような駆け込み需要は,様々な中小企業に影響を与えたようだ。 しかし,これらの駆け込み需要は,何れも「需要の先食い」に違いはない。新年度に消費税率が物価に上乗せされる(一般には「増税率-1%ポイント」程度のインフレになると予想されている)ので,賃上げが小幅にとどまる場合は,駆け込み需要の反動に加えて物価高による需要の低迷によって,再びデフレ時代に逆戻りすることも十分考えられる。
  • 南 博
    2014 年 25 巻 2 号 p. 62-65
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/05/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
  • 田村 一軌
    2014 年 25 巻 2 号 p. 66-73
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/05/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年,地球温暖化問題への関心の高まりとともに,温室効果ガスの排出量を削減するための取り組みが広く行われるようになった。このような動きの背景の1 つである,1997 年に採択された「京都議定書」では,日本は温室効果ガスの排出量を1990 年に比べて6%削減するという具体的な数値目標が掲げられている。また2011 年の東日本大震災以降,エネルギーの生産および消費のあり方に対する関心も急速に高まり,再生可能エネルギーの利用拡大やエネルギー利用の効率化が短期および長期の目標として議論されている。 政策においても,それらの目標実現のために様々なものが展開されているが,その1 つが「地球温暖化対策地域推進計画」の策定である。これは,地方公共団体にそれぞれの地域の実情に基づいた地球温暖化対策計画の策定と実施を求めるもので,法律的には地球温暖化対策推進法(第20 条)に基づいている。この背景には,温室効果ガス削減における地方自治体の役割の重要さがある。つまり,地域を一定の規模ごとに分割してそれぞれの地域ごとのエネルギー消費や温室効果ガス排出の実態を把握することによって,消費量や排出量の効率的かつ具体的な削減や改善への取り組みにつなげることが可能となる。その際に,地域分割として新たな仕組みを導入するよりも既存の地方自治体を利用することが合理的だと考えられる。このように,地球温暖化自体は地球規模の問題であるのだが,その対策においては自治体レベルでの実態把握やそれにもとづく施策の実施などの取り組みがとても重要である。  そのような状況を鑑み,本稿では九州・沖縄・山口の計9 県を対象として,県別のエネルギー消費量についての定量的な分析と考察を加える。
  • 伊佐 勝秀
    2014 年 25 巻 2 号 p. 74-79
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/05/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    このエッセイも3 回目になるが,諸般の事情で前回(2013 年6 月号)から1 年も間が空いてしまった。まずは筆者の怠慢を関係者にお詫び申し上げたい。今回は「香港で困ったこと」と題して,(1)ビザ(2)住居(3)銀行の3 点について書きたい。なお筆者はすでに2013 年秋に帰国しており,このエッセイは日本で当時のことを思い起こしながら書いている。
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