大阪物療大学紀要
Online ISSN : 2433-4758
Print ISSN : 2187-6517
3 巻
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  • Spectral factor 分解の精度向上へ向けて
    岩元 新一郎, 山口 功
    原稿種別: 本文
    2015 年 3 巻 p. 1-10
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/03/08
    研究報告書・技術報告書 フリー
    重荷電粒子治療では、治療計画に必要な人体組織の質量阻止能を決定するために、 X 線 CT による組織パラメータ(実効原子番号と電子密度)の推定が不可欠である。近年の dual-energy CT の実用化により、高精度の組織パラメータ抽出技術の確立に放射線治療分野は期待を寄せている。Brooks らは 1977 年に spectral factor と呼ばれる線質係数を用いた巧妙な組織パラメータ抽出法(spectral factor decompositoin, SFD)を提唱している。しかし、1983 年の Jackson らによるエネルギー依存性の問題点が明らかになって以来、SFD による組織パラメータ推定に関する報告はない。本研究では、Brooks らの提唱する SFD の簡便性と実用性に着目し、SFD のコンピュータシミュレーション実験を行い、組織パラメータの異なる種々の人体模擬組織に対する SFD 推定誤差の程度を調査した。実験結果から、エネルギー依存性に起因する推定誤差は、実効原子番号 10 以上の人体組織に対して、電子密度が 4.5%以上、実効原子番号が 2.5%以上であることが確認できた。しかし、spectral factor のキャリブレーション値に伴うビームハードニングの影響が、SFD のエネルギー依存性に起因する推定誤差をキャンセルすることで、電子密度の推定誤差が Lung を除き±0.5%以下、実効原子番号の推定誤差が、Lung と Adipose を除き±2%以下と非常に精度のよい推定が可能であることが明らかになった。
  • 有用性と評価の問題点
    山口 功, 武下 正憲, 山田 淳子, 野口 敦司, 小縣 裕二, 小水 満
    原稿種別: 本文
    2015 年 3 巻 p. 11-17
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/03/08
    研究報告書・技術報告書 フリー
    診療放射線技師教育課程における臨床実習は、学生が医療チームの一員として参加する参加型臨床実習であることが望ましい。しかし、現状では見学型または模擬診療型臨床実習である場合がほとんどである。効率よく参加型臨床実習を行うためには、技能、態度、知識を総合的に教育するシステムとそれらを適正に評価することが重要となる。大阪物療大学保健医療学部診療放射線技術学科では平成 26 年度より客観的臨床能力試験(OSCE)の前段階として臨床実習前に臨床技能(知識、技能、態度)を総合的に教育指導することを目的に臨床技能教育プログラムの実施を開始した。本研究では、臨床技能教育を受けた学生へのアンケート調査より臨床技能教育プログラムの有用性と問題点について検討すること、また、臨床実習開始前の臨床技能習得度評価より評価に関する問題点を検 討した。学生へのアンケート調査では 81.7%の学生が有用と回答した。習得度評価では、質的評価において評価者間の平均得点および実施項目ごとの平均得点に有意差を認めた。臨床技能教育プログラムの有用性は示されたが、評価基準の不明確さが明らかになり、今後の改善が必要と考えられる。
  • 野口 敦司, 國下 皓平, 堀之内 隆
    原稿種別: 本文
    2015 年 3 巻 p. 19-24
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/03/08
    研究報告書・技術報告書 フリー
    放射性医薬品の 201Tl-chloride と 123I-metaiodobenzylguanine を使用した 2 核種同時心電図同期 SPECT の画像再構成はフィルタ補正逆投影法(FBP)で行われている。しかし、心機能低下などの要因により放射性医薬品の心筋への集積が少ない場合、心筋の輪郭抽出が不完全になり解析結果が不良となる。これを改善するため画像再構成に逐次近似再構成法であるFlash3D の導入を計画した。本研究では、201Tl-chlorideと 123I-metaiodobenzylguanine を注入した心臓肝臓ファントムを使用し Flash3D の 再 構 成 パ ラ メー タ を 検 討 し 、201Tl-chloride では subset 数 2、iteration 30、Gaussian filter 10 mm、123I-metaiodobenzylguanine では subset 数 4、iteration 30、Gaussian filter 15 mm で良好な画像が得られた。
  • 金光 秀晃
    原稿種別: 本文
    2015 年 3 巻 p. 25-29
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/03/08
    研究報告書・技術報告書 フリー
    ウイルス動脈輪は脳底部にある脳血管により構成される輪のような構造である。これまでは、その機能は内頸動脈や椎骨動脈の閉塞または狭窄の場合において血流の補償メカニズムとして役立つとみなされてきた。最近、この理論に対して、クロアチアの研究者たちが異議を唱えている。ウイルス動脈輪、すなわち、それを構成する交通動脈は、拍動による血行力学的ストレスから脳動脈と血液脳関門を保護する役割があるという仮説を唱えている。これらの論文を通してウイルス動脈輪の重要性について述べる。
  • 高井 逸史, 杉山 正晃, 生田 英輔, 森 一彦
    原稿種別: 本文
    2015 年 3 巻 p. 41-47
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/03/08
    研究報告書・技術報告書 フリー
    丘陵地帯である泉北ニュータウンに居住する高齢者を対象に、身体活動量を強度別に分類し、日常生活機能との関連性を検討した。対象者は 32 名(男性 21 名、女性 11 名、平均年齢74.5±5.0歳)、24時間の身体活動量を計測し、強度別に 1METs程度の不活動、3METs未満の低強度、3METs 以上の中強度の 3 パターンに分類し活動時間を計測した。自記式および聞き取りにより生活行動を記録した。老研式活動能力指標(以下、老研式)を用い、老研式と下位尺度それぞれについて、満点を「維持群」、未満点を「低下群」に分類した。外出頻度などの健康状況調査と体脂肪率測定、などの身体機能測定も実施した。両群を比較した結果、低強度活動、疾病の数、体脂肪率、TUG にそれぞれ有意差が認められた。多重線型回帰分析の結果、老研式ならびに社会的役割に寄与する独立要因として低強度活動が有意に抽出された。知的能動性に寄与する独立要因として歩数が有意な説明変数として抽出された。
  • 串崎 正輝, 田中 博司, 高井 逸史
    原稿種別: 本文
    2015 年 3 巻 p. 49-51
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/03/08
    研究報告書・技術報告書 フリー
    顎関節症などにより開口障害を訴える人は多い、顎関節の関節包は側頭骨にあるが、関節包は緩く多少の変位は影響しないように思われる、しかし少しの変位が痛みや開口障害となって現れている。現在の理学療法としては痛みに対する物理療法が主流であるが、脳卒中の患者に対して手技療法を実施した結果、1 回の治療で重度の開口障害が劇的に改善したので報告する。
  • 大西 健広
    原稿種別: 本文
    2015 年 3 巻 p. 53-56
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/03/08
    研究報告書・技術報告書 フリー
    USB 接続赤外線リモコンキットを用いたクリッカーシステムを試作した。このシステムは、USB に接続する赤外線受信部、テレビ用の汎用型リモコン、ソフトウェアからなる。USB 接続赤外線リモコンに完成品を用いると、赤外線信号の受信設定とソフトウェアの作成のみで、クリッカーシステムを構築することができる。大人数が大教室で同時に回答をするような状況での使用は難しいが、ゼミ等、少人数での使用には十分の性能と思われる。
  • 李 強, 田中 良晴, 田中 博司, 三羽 信比古
    原稿種別: 本文
    2015 年 3 巻 p. 31-40
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/03/08
    研究報告書・技術報告書 フリー
    水素は、自然界にも生体にも最も豊富に存在するかつ最も単純な元素である。2007年、日本医科大学太田成男教授らは水素が抗酸化、抗アポトーシスの特性を有し、脳虚血及び再灌流障害を惹起させた動物実験においてショックに伴って生成するヒドロキシルラジカルから選択的に保護できることを見出していたので、治療用医療ガスや水素ナノバブル水は話題となった。この発見によって、水素医学分野は 2007 年以来急速に形成されてきた。本研究は、ビブリオメトリックスの研究手法を用い、2007 年 1 月〜2014 年 10 月に発表された 357 報 SCI(Science Citation Index)水素医学論文を分析して、論文の時系列的な質と量の趨勢を明らかにした。結果としては、基礎研究が占めた割合は多かったが、糖尿病、動脈硬化、高血圧、悪性腫瘍のような 70 種類以上に及ぶ疾患も研究対象となっていたことが分かった。臨床実験では 2013 年、大阪物療大学李と三羽らは、22 名褥瘡患者に一日 600 mL の水素ナノバブル水を経管胃内投与した結果、褥瘡サイズ縮小と患者の早期治癒退院平均日数を見出し、経管栄養法を介した水素水の摂取による臨床有効性は明らかにした。これから、有望な水素医学は様々な疾病の治療オプションの 1 つとして、基礎から臨床まで広範に研究されていくことが期待できる。
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