Dental Medicine Research
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29 巻 , 2 号
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原著
  • 玉置 潤一郎, 鶴岡 正吉, 王 丹, 前田 昌子, 林 文祥, 井上 富雄
    2009 年 29 巻 2 号 p. 115-118
    発行日: 2009/07/31
    公開日: 2013/08/07
    ジャーナル フリー
    著者らは, 咀嚼筋の慢性疼痛と比較しうる脊髄神経領域の慢性筋痛動物モデルを探している. 足引っ込め反射は防御反射のひとつで, 最近, 慢性筋痛の動物モデルにおける痛みの行動学的指標として用いられている. 本研究の目的は, 麻酔動物において機械的圧刺激に対する足引っ込め反射時の屈筋活動が電気生理学的な痛みの指標となるか否かを検討することであった. ハローセン麻酔下 (0.9~1.1%) でSD系ラット (250~350 g) の後肢に機械的圧刺激を加え, 前頚骨筋から筋電図を記録した. 筋電図を全波整流積分した値 (筋活動量) を痛みの指標の候補とみなして検討した. 刺激の強さと筋活動量との関係を調べたところ, 両対数グラフにおいて筋活動量は刺激の強さの増大とともに直線的な増加を示す“ベキ関数”部分が存在した. 筋活動量はモルヒネの腹腔内投与 (0.1, 0.5, 1.0 mg/kg) によって濃度依存的に有意に減少した. 本実験結果は足引っ込め反射が痛みの感覚と密接に関連し, 圧刺激による筋活動量が痛みの電気生理学的指標となり得ることを示唆する.
  • 村岡 正弘, 北川 昇, 佐藤 裕二, 河野 真紀子, 椎名 美和子
    2009 年 29 巻 2 号 p. 119-127
    発行日: 2009/07/31
    公開日: 2013/08/07
    ジャーナル フリー
    高齢者人口が21%を突破した本邦において, 質の高い義歯治療を行うためには, 術者と患者の義歯に対する評価を適切に把握することが重要である. そこで, 新義歯の治療過程における旧義歯の調整が, 術者と患者の評価の経時的変化にどのように影響するかを明らかにすることを目的とした. 新義歯製作を希望し, 治療を行った65歳以上の上下無歯顎全部床義歯症例の患者20名 (男性6名・女性14名, 平均年齢78歳) の旧義歯を評価した. 義歯治療のテクノロジーアセスメントとして義歯の状態 (総義歯評価) ・顎堤状態の評価・咀嚼機能評価・満足度評価・QOL評価を用い, そのスコアを算出した. 検査時期を, ①初診時と, ②新義歯装着直前の旧義歯使用時 (旧義歯調整後, 以後, 直前と略す) の2時期とし, 両時期間での評価の変化を検討した. 各評価のスコアは2時期間において様々な変化が見られた. とくに満足度評価は, 経時的に上昇した (p<0.05). しかしながら, 一部の患者では低下した場合もあった. 総義歯評価・咀嚼機能評価・満足度評価では,「 初診時のスコア」と「初診時から直前のスコアの変動(差)」間に有意な負の相関が認められ (p<0.01), 初診時の評価が低いほど直前でのスコアが大きく上昇することが示された. したがって, 状態の悪い旧義歯ほど, その状態が改善しやすい傾向があると考えられた. 術者評価と患者評価には各時期の評価, 評価の変動のどちらにも有意な関連性が認められなかった. 旧義歯の調整により, 満足度が上昇したが, 中には評価が低下する場合もあり, 術者評価ではとらえきれない患者評価の低下が示された. したがって, 旧義歯の調整においては, 術者の評価だけで判断せず, 患者の評価を調整に反映する重要性が示唆された.
  • 柳田 英穂, Nurul ISLAM, 佐藤 裕二, 北川 昇, 内田 圭一郎
    2009 年 29 巻 2 号 p. 128-133
    発行日: 2009/07/31
    公開日: 2013/08/07
    ジャーナル フリー
    近年, 様々な直径の歯科インプラントが臨床で用いられている. インプラントの直径が大きいほど大きな咬合荷重を負担できると考えられるが, 定量的には明らかとなってはいない. そこで上部構造に咬合荷重が加わり, 補綴用スクリューおよびアバットメントスクリューが破壊される際の荷重を最大耐荷重とし, 引張試験によって各スクリューの破折強度を求め, 幾何学解析を用いて, インプラントの直径が最大耐荷重におよぼす影響を明らかとすることを目的とした. チタン合金と金合金の補綴用スクリューとチタン合金のアバットメントスクリュー (ノーベルバイオケアおよび3i) の破折強度を万能試験機により計測した. 次にインプラントの上部構造 (咬頭傾斜角度30°) を想定し, 計測した破折強度を用いて幾何学解析を行い, インプラントの直径, ナロー (NP), レギュラー (RP), ワイド (WP) が最大耐荷重におよぼす影響を解析した. その結果, スクリューの破折強度は, スクリューの断面積が大きくなるのにともない増加し, 補綴用スクリューにおいてはチタン合金が金合金よりも大きかった. 補綴用スクリューの最大耐荷重は, アバットメント上面の直径が大きくなるのにともない増加し, チタン合金が金合金よりも大きかった. アバットメントスクリューの最大耐荷重は, インプラント体上面の直径が大きくなるのにともない増加し, アバットメントの高さが高くなるのにともない減少した. またノーベルバイオケアのNPではアバットメントの高さが1 mm以上, RP, WPでは2 mm以上の場合において, 補綴用スクリューの最大耐荷重よりもアバットメントスクリューの最大耐荷重の方が小さかった.
  • Toshiko INOUE, Masato YAMAMOTO, Kazuhiro DEBARI, Keitatsu KOU, Makoto ...
    2009 年 29 巻 2 号 p. 134-138
    発行日: 2009/07/31
    公開日: 2013/08/07
    ジャーナル フリー
    This study investigated chemical components of coronal and radicular dentin using Fourier transform infrared spectroscopy. Five bovine teeth were divided into coronal and radicular portions, and coronal and radicular dentin slabs were prepared horizontally. The area intensities of amide I, amide II, amide III and phosphate of the coronal and radicular dentin were evaluated by Fourier transform infrared spectroscopy at two locations per tooth. The mean area intensities were compared statistically by one-way ANOVA and Fisher's PLSD tests. The amide I area intensity of coronal dentin was 8.67±2.20 and that of radicular dentin was 12.29±2.47. The amide II area intensity of coronal dentin was 0.84±0.25 and that of radicular dentin was 1.94±0.45. The amide III area intensity of coronal dentin was 0.17±0.03 and that of radicular dentin was 0.50±0.10. Additionally, the phosphate area intensity of coronal dentin was 24.45±9.23 and that of radicular dentin was 42.05±3.67. All of the area intensities of coronal dentin were lower than those of radicular dentin.
  • 相田 能輝, 張 祖太, 八木 哲, 玉置 幸道
    2009 年 29 巻 2 号 p. 139-147
    発行日: 2009/07/31
    公開日: 2013/08/07
    ジャーナル フリー
    歯科技工作業では鋳造は欠かせぬ技術であるが, 鋳造後の鋳型材は産業廃棄物となる. 本研究では産業廃棄物の軽減を目的とした再利用可能な歯科鋳造用埋没材の開発を目指した. ビーカーやシリンダーを粉砕したガラス粉末を準備した. ガラスの成分と加熱による変化を調べた後に, クリストバライト粉末に重量比でガラス粉末を5, 10, 15, 20%と添加し (略号G-0, G-5, G-10, G-15, G-20), 試作再利用型埋没材を作製した. これらを混水比0.3で練和し, 900℃まで加熱した際の加熱膨張と加熱後の圧縮強さを測定した. また, これらの埋没材により板状の試験片とMODインレー型のクラウンを鋳造し, 表面粗さと適合性を評価した. コントロールとして, 市販の石膏系埋没材を用いて比較検討した. 試作埋没材は試験後に回収しボールミルにより再度粉体として, 同様な実験を繰り返した. ガラスは約800℃で溶融することが確認され, 加熱膨張の測定でも特に添加量の多いG-15, G-20で同温度での顕著な収縮が認められた. 膨張量はガラスの添加量が増えるにつれて減少する傾向が認められたが, いずれの割合でもコントロールよりも大きな値であった. 一方, 加熱後の圧縮強さはガラスの添加量が多い方が大きな値を示した. 基礎実験のデータから鋳造性と鋳造体の表面粗さについてG-0, G-10, G-20で鋳造実験を行ったところ, G-10, G-20はコントロールと比べ差が認められなかった. 適合性ではコントロールに比べて加熱膨張が大きいG-10, G-20がともに大きな浮き上がり量を示した. MODインレー型のキャップをはずした状態での計測ではG-10, G-20ともに改善が認められ, 特にG-10で顕著であり, MODキャップを着けた状態でのG-10, G-20から得られた鋳造体の不適合は過膨張が原因であると考えられた. 以上のことから再利用ガラスを結合材に用いた試作クリストバライト埋没材は鋳造後の再利用が可能であると考えられ, G-10をベースに, さらに組成の改良をすることにより実用性があると考えられる.
症例報告
  • 富田 史彦, 平出 隆俊, 槇 宏太郎
    2009 年 29 巻 2 号 p. 148-152
    発行日: 2009/07/31
    公開日: 2013/08/07
    ジャーナル フリー
    舌突出癖を伴う開咬の矯正治療は, 難しい垂直的な歯の移動や保定時の咬合の安定度などから治療内容が煩雑でかつ治療難易度が高いと報告されている1). 症例は初診時年齢16歳5か月の女性, 骨格性Ⅲ級, 上顎左側第二小臼歯先天欠如を伴う大臼歯右側Ⅲ級左側Ⅱ級, 舌突出癖を伴う開咬である. 治療計画は口腔容積の減少を考慮し, 非抜歯によるマルチブラケット治療で上顎歯列の拡大, 舌突出癖に対する口腔筋機能療法 (MFT) とした. 保定2年経過した時点において安定した個性正常咬合が維持されている. 本症例より舌突出癖に対し非抜歯治療による口腔容積の減少回避, 左右非対称の大臼歯咬合関係の安定においての有益性が示唆された.
  • 中山 真由子, 久保田 雅人, 槇 宏太郎
    2009 年 29 巻 2 号 p. 153-161
    発行日: 2009/07/31
    公開日: 2013/08/07
    ジャーナル フリー
    成長期における矯正治療は, 成長予測が重要となってくる. 本症例は成長期である11歳5か月時に骨格性上顎前突傾向を呈していたため, 他院にて上顎両側第一小臼歯抜去を行い, マルチブラケット装置にて矯正治療を開始した. 13歳10か月で動的治療終了 (動的治療期間2年5か月) となり保定装置による経過観察を行っていた. しかし経過観察中に, 成長に伴い顎位の変化が認められたため当科を紹介され受診した. 当科初診時における診断は, 骨格性下顎前突症傾向を示す下顎左方偏位であり, 左側下顎頸部の下顎骨内側内面方向への変形および下顎頭の変形を伴っていた. 治療方針は外科的矯正治療を前提とし, 顎の成長終了まで経過観察を行った. 成長の経過観察終了後に, 上顎は既に抜歯されていたことと下顎両側犬歯が先天性欠如であることから, 上下顎非抜歯にて外科的矯正治療併用した咬合の改善を行った.我々は, 本症例の成長期および動的治療における変化の様相と保定期間中の咬合の維持についての考察を報告する.
  • 西能 幸子, 渋澤 龍之, 鄭 勝榮, 槇 宏太郎
    2009 年 29 巻 2 号 p. 162-167
    発行日: 2009/07/31
    公開日: 2013/08/07
    ジャーナル フリー
    患者は初診時年齢18歳6か月の女性で, 口元の突出感, および歯並びの不正を主訴に来院した. 叢生を伴う著しい上下顎前突症例で, 上下顎両側第一小臼歯および上顎両側第一大臼歯を抜去し, エッジワイズ装置による治療を行った. 叢生を伴う上下顎前突症例の歯科矯正治療では, 叢生の解消ならびに上下前歯歯軸の改善のため, 小臼歯抜去にて治療を行う場合や, 大臼歯の遠心移動が必要となることがある. 本症例では, 上顎右側第一大臼歯に施された不適切な根管治療, 上顎左側第一大臼歯には二次齲蝕が認められた. したがって, 長期的な予後をふまえ, 上顎第一大臼歯を抜去し, 第三大臼歯を利用することにより上顎では加強固定装置を使用せずに, 叢生の除去, 歯軸の改善, 大臼歯関係の改善, および良好な側貌を得ることができた.
クリニカル・テクノロジー
  • 長谷川 篤司, 木下 潤一朗
    2009 年 29 巻 2 号 p. 169-175
    発行日: 2009/07/31
    公開日: 2013/08/07
    ジャーナル フリー
    良好な根管治療予後のためは, 治療過程のすべてのステップで根管内無菌化のための努力がもとめられている. これらのステップのうち, 根管壁の化学的清掃, すなわち根管洗浄には, 従来から次亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素水による交互洗浄が用いられてきた. また, 近年ではEDTAの使用や, 超音波発生装置の併用などが取り上げられている. では従来からの根管洗浄法の問題点は何か. 新たな薬剤や器材によって何がどう改善され, どのような効果が見られるのか. これらを導入する際には, 臨床上どのようなことに配慮すべきか. 現状でどの程度の臨床現場で使用されているのかなどを簡単に解説した.
臨床講座
  • 尾関 雅彦
    2009 年 29 巻 2 号 p. 177-182
    発行日: 2009/07/31
    公開日: 2013/08/07
    ジャーナル フリー
    インプラント手術にともなう外科的侵襲をできるだけ小さくすることにより, 患者の肉体的苦痛や経済的負担を軽減するだけでなく, 手術の手間や偶発症のリスクを回避し, 最終補綴処置までの治療期間を短縮することは, 患者と術者の双方にとって非常に望ましい治療法である. このような観点から, 歯科インプラントの最新の潮流として, 埋入手術から最終補綴までのインプラント治療を低侵襲にしようとする試みがある. 本稿で紹介した自家骨移植を回避するための数々の手法や, インプラント埋入本数の少数化の試み, あるいは最新のコンピューターガイドを併用したFlapless surgery (Non-flap surgery) によるインプラント治療は, 臨床的に非常に有用であり, 今後ますます普及すると思われる.
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