日本クリティカルケア看護学会誌
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10 巻, 3 号
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原著
  • 中神 克之, 杉崎 一美, 後藤 由紀, 小寺 直美, 橋爪 永子
    2014 年 10 巻 3 号 p. 1-9
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
    【目的】急性期型病院に勤務する女性看護師の職業性ストレスやストレス・コーピング特性,他者のサポート状況などのうち,消化器症状の出現に影響する要因の特定とその影響度合いを測定すること.
    【方法】急性期型病院に勤務する女性看護師366名から得られたデータを基に,単変量解析で職業性ストレスやコーピング特性などから説明変数を選定し,消化器症状の出現により困った経験を目的変数としロジスティック回帰分析を行った.
    【結果】職業性ストレス要因の「心理的な仕事の負担量(高い)」と「心理的な仕事の負担質(高い)」,「自覚的な身体的負担度(高い)」,「あなたの技能の活用度(低い)」,「あなたが感じている仕事の適性度(低い)」,コーピング特性の「回避と抑制」が消化器症状の出現リスクを高めた.逆に,年齢と「配偶者・家族・友人等(頼りにしている)」がリスクを低下させた.
    【結論】急性ストレス反応としての消化器症状は,職業性ストレス要因だけでなく,コーピング特性や年齢からも影響を受けていた.
  • 伊藤 真理, 栗原 早苗, 榑松 久美子, 多田 昌代, 戸田 美和子
    2014 年 10 巻 3 号 p. 11-21
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,集中治療室で終末期に至った患者に対し,急性・重症患者看護専門看護師(以下,CCNS )が,どのような倫理調整を行っているかを明らかにすることである.10 名のCCNS を対象に半構造化面接を行い,質的帰納的手法で分析した.分析した結果,【終末期に至る予測と積極的治療の限界を見極める】【患者の意思確認が難しい状況でもあきらめずに意思をくみ取る】【一人で意思決定しなければならない家族の重荷を分かち合う】【代理意思決定をする家族の後悔を最小限にする】【患者の命をあきらめきれない家族の苦悩を引き受ける】【集中治療の延長線上で可能な限り望ましい看取りを行う】【困難な決断をしなければならない医師の重責を理解し対立を避ける】【患者を失う医療者のやるせない気持ちに対処する】など,13 カテゴリーが抽出された.
     CCNS は,患者を対象とした権利擁護,家族を対象とした代理意思決定支援と悲嘆ケア,患者と家族を対象とした望ましい死への援助,医療チームを対象とした終末期ケアにチームで取り組む土壌作りを担っていたと考えられる.
研究報告
  • 立野 淳子, 山勢 博彰, 田戸 朝美, 藤田 直子
    2014 年 10 巻 3 号 p. 23-33
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
    【目的】わが国のICU における終末期ケアの現状と医療者の認識を全国調査から明らかにすること.【方法】集中治療に携わる医療者2,000 名を対象に,平成24 年10 月~11 月に,終末期ケアの実施状況,終末期ケアに対する認識,組織的支援体制について質問紙を用いた郵送調査を実施した.【結果】医師214 名,看護師661 名,看護管理者60 名から回答を得た.終末期の判断は,「複数の医師で判断」で行われることが最も多かった.ICU における終末期の方針に関する意思決定は,患者の意向に基づき,家族の同意を得ながら決定していた.6 ~7 割の医療者は,患者の苦痛を定期的に評価しており,患者の苦痛軽減のための症状管理は,ICU における終末期ケアの質を向上するために必要なことと認識していた.8 割以上の医療者が,ICU での終末期ケアに困難性を感じ,特に意思決定支援について困難に感じる傾向があった.【考察】本調査の結果は,わが国のICU における終末期ケアの現状の一端を示す貴重な資料といえる.今後は,医療者が特にケアへの困難感を感じている意思決定支援のあり方について検討していくことが課題である.
  • 山本 奈央, 遠藤 みどり, 井川 由貴
    2014 年 10 巻 3 号 p. 35-44
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
     本研究は,外科系病棟看護師が捉える術後疼痛管理における問題を明らかにすることを目的とした.医療機関の外科系病棟に勤務する看護師を対象に,調査票を用いて回答を求めた.201名から得られた自由記述データを分析した結果,24のサブカテゴリーと,【鎮痛管理の限界と困難感】,【医療者の疼痛管理の認識不足】,【緩和ケア不足とジレンマ】,【医療者の協働不足】,【疼痛管理システムの未整備】の5カテゴリーが抽出された.効果的な術後疼痛管理を実践するためには,看護師自身が術後疼痛および薬理学を含む疼痛管理に関する幅広い知識を持ち,多様な個別状況に対応できる疼痛管理の判断力と実践力を高める必要がある.さらに,積極的に鎮痛緩和が図れるよう医療者の認識を高めていく必要があり,術後疼痛管理に関する組織的な基準整備とともに,多職種チームによる情報共有や検討機会の拡充,医療者への術後疼痛管理に関する教育体制の確立が急務である.
  • 蓬田 淳, 中川 温美
    2014 年 10 巻 3 号 p. 45-53
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,初発心筋梗塞を発症した患者の身体に関する状況認知を明らかにし,看護支援の検討をすることである.研究参加者5名に対して,半構成的面接を用いてデータ収集を行い,分析を行った.分析の結果,心筋梗塞患者は,身体に関する状況認知に必要な情報である症状及び,自己の経験,言語コミュニケーション,提供される医療,療養環境を,その時々で使用しながら身体に関する状況認知である〈確信される異変〉〈直面する危機〉〈曖昧な実感〉〈未知への順応〉という4つのカテゴリーを辿っていたことが明らかとなった.また,心筋梗塞患者は,状況認知から予測を行っていたが,予測と実際の状況には差異があるため,差異を縮めることができることで,状況把握の程度を明確にしていた.従って,心筋梗塞を発症した患者の状況認知に合わせた看護支援の必要性が示唆された.
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