慢性閉塞性肺疾患,chronic obstructive pulmonary disease(以下 COPD とする)患者の急性増悪後の回復期における患者 5 名を対象とし,一連の入浴過程における循環動態,呼吸機能および呼吸困難感を明らかにするため,専用リフトによる全介助入浴を行い,水位の相違による検討をした.剣状突起レベルの水位における入浴では,PRP が入浴直後に一時的に有意な増加をきたし,その後入浴中は有意な増加を認めなかった.SpO
2は入浴中に一時的に下降したが,出浴までに回復した.また,ETCO
2は入浴直後に下降し,入浴中は低値のまま推移したが,出浴とともに回復し,RR は入浴中わずかに増加した.腋窩レベルの水位における入浴では,PRP は入浴直後に増加したのち,入浴中はその数値を維持し,出浴時に下降した.SpO
2は入浴中に顕著な下降を認め,剣状突起群に比べ有意であった.ETCO
2は,剣状突起群同様に入浴中は有意な下降傾向を示した.COPD 患者の剣状突起レベルの水位における入浴は,PRP,酸素化能を著明に悪化させることなく,また,炭酸ガス排泄能を改善し安全であることが判明した.入浴に関するケアにおいては,患者に対し呼吸負荷がかからず,快適であるように常に配慮することが大切である.
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