日本クリティカルケア看護学会誌
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9 巻, 3 号
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原著
  • 瀧口 千枝, 井上 智子, 佐々木 吉子
    2013 年 9 巻 3 号 p. 1-12
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/05
    ジャーナル フリー
    本研究は,人工呼吸管理において看護師が担っている多職種チーム調整機能の構造を明らかにすることを目的とした.急性期の人工呼吸管理に携わる看護師34名,他職種6名を対象に参加観察と半構成的面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチに基づき分析した.
    その結果,人工呼吸管理における看護師の多職種チーム調整機能は,多職種チーム内における看護師の《離脱促進への看護の強みの明示》を基盤にして発揮されており,患者・家族とチーム構成職種との間に存在する看護師の《患者とチームを適合させるハブ》としての機能を介して機能していた.看護師は《患者とチームを適合させるハブ》として,チームの情報拠点となって人工呼吸管理の全体像を把握し,患者とチーム活動の状況に応じて《他職種機能の采配と強化》をしつつ,《多職種機能の統合》を図ることで,チーム構成職種の持てる機能を患者に結集していた.さらに,《個別性の反映》《日常性最大化への挑戦》により,個別性と日常性の最大化された人工呼吸管理へとチーム活動を導いていた.
研究報告
  • 板東 孝枝, 當目 雅代
    2013 年 9 巻 3 号 p. 13-23
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/05
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,手術室看護師の視点から,全身麻酔で手術を受ける患者の手術前日と,手術後1週間以内の心理状態を明らかにすることであった.全身麻酔で手術を受ける患者10名に,半構成的面接を行い,グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析した結果,コアカテゴリー『複数の交錯する揺れる思い』と10個のカテゴリーが抽出された.手術前日と手術後1週間以内の『複数の交錯する揺れる思い』は,手術前日は4つ,手術後1週間以内は5つの併存する思いに“揺れ”を生じるプロセスと,その“揺れ”に対して揺れを鎮めようとするプロセスが明らかになった.ライフイベントの中でも大きなストレスとなる手術時に,一番身近で援助を担う手術室看護師が,患者の術前術後の心理的特徴を知り,手術室看護師の立場を有効に活用し看護介入を行うことで患者の複数の交錯する思いに生じる不必要な“揺れ”を取り除き,生じた“揺れ”を鎮めるよう働きかけることが可能であることが示唆された.
  • -マルチレベルモデルを用いたデータの分析-
    井川 由貴, 遠藤 みどり, 山本 奈央
    2013 年 9 巻 3 号 p. 24-33
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/05
    ジャーナル フリー
    研究目的:外科系看護師の疼痛体験や学習経験が,看護師の術後疼痛管理の実践に及ぼす影響を明らかにする.
    研究方法:49施設の外科系看護師1253名にアンケートを行った.術後疼痛管理の実践スコアを目的変数,施設背景,臨床経験年数,最終学歴,過去の疼痛体験と,疼痛関連の学習経験を説明変数とするマルチレベル分析を実施した.
    結果:術後疼痛管理に関する施設背景を考慮しても,看護師自身の「強い疼痛体験(β=0.617, p=0.005)」や「術後疼痛に関連した学生時代の授業(β=1.593, p<0.001),および卒後の研修会受講等の学習経験(β=1.771, p<0.001)」が, 看護師の術後疼痛管理の実践に強く影響していた.
    結論:術後疼痛管理における看護師教育には, 患者の主観的感覚をより客観的に理解できるような学習内容と,術後疼痛に焦点を絞った基礎教育からの継続的な学習が必要である.
  • 溝部 佳代
    2013 年 9 巻 3 号 p. 34-41
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/05
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,手術中待機している家族のコーピングの実態および属性・看護介入によるコーピングの差異を明らかにすることである.研究参加者は,A病院にて全身麻酔下で手術を受ける患者の家族62名(回収率76.5%)である.方法は,自記式質問紙法による量的記述的研究で,質問項目は1)属性,2)看護介入,3)神村らの3次元モデルにもとづく対処方略尺度24項目とした.結果より,待機中の家族のコーピングは肯定的解釈,気晴らしの順に多かった.また,待機人数,手術時間超過の有無,家族の年齢により,コーピングに有意差が見られた(p<.05).そして,手術中待機している家族へのケアとして,1人で待機する家族,手術時間が予定時間を超過する場合には,特に介入が必要であり,手術に関する情報提供あるいは肯定的な気持ちで待てるような情動的支援が重要であると示唆された.
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