本研究は,手術室におけるExpert Nursesの言動を分析し,何を考え,何を判断し,何を実践しているのか,術中の看護実践を明らかにすることを目的とした.研究参加者は8名で,手術中の参加観察とインタビューによりデータを収集し,J.P.Spradleyの示す手法を参考にして分析を行った.
分析の結果,手術室におけるExpert Nursesの術中の看護実践は≪手術の進行を操る≫≪患者の人間としての尊厳を保つ≫≪患者の安全を確保する≫≪センスを働かせて場を捉える≫≪新人・後輩看護師を育む≫≪リーダーシップを発揮する≫≪病院の経営に貢献する≫≪手術看護の発展に寄与する≫が見いだされた.それは手術を受ける患者を取り巻く総合的な状況から患者の問題を導き,経験と感性を活かした判断と行動が繰り返されて成り立つホリスティックな看護実践であった.手術室看護師がExpert Nursesの看護実践ひとつひとつの知見を議論し経験を深めることができれば,経験と感性を活かした判断と行動を伴う看護実践に発展するのではないかと考える.
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