日本食品低温保蔵学会誌
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13 巻, 4 号
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  • 吉田 博, 菅原 龍幸, 林 淳三
    1987 年 13 巻 4 号 p. 119-125
    発行日: 1987/12/18
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    ヒラタケ子実体の収穫後の生理・化学的特性の基礎資料を得るべく, 有機酸の6貯蔵温度区 (-20, 0, 5, 10, 20, 30℃) における経時的変化および真空凍結乾燥工程に伴う変化を菌傘部, 菌柄部, 菌柄部基部について検討した。
    (1) 菌傘部, 菌柄部, 菌柄部基部より11種類の有機酸 (ギ酸, 酢酸, 乳酸, グリコール酸, シュウ酸, コハク酸, フマル酸, リンゴ酸, α-ケトグルタル酸, ピログルタミン酸, クエン酸) が同定され, 菌傘部, 菌柄部の主要有機酸はリンゴ酸, ピログルタミン酸, クエン酸, コハク酸, フマル酸の5成分であり, 菌柄部基部はクエン酸を除いた4成分であり, その組成パターンは子実体各部位で異なっていた。
    (2) 子実体各部位の有機酸含量は貯蔵日数の経過ならびに貯蔵温度の上昇に伴い顕著に増加した。しかし, 貯蔵中における有機酸組成のパターンには顕著な変化はなかった。
    (3) 真空凍結乾燥工程に伴う有機酸含量は生鮮物と顕著な差異はなく, 真空凍結乾燥法はヒラタケの有効な品質保持法であることが知られた。
  • 吉田 博, 菅原 龍幸, 林 淳三
    1987 年 13 巻 4 号 p. 126-132
    発行日: 1987/12/18
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    シイタケ子実体の収穫後の生理・化学的特性の基礎資料を得るべく, 有機酸の6貯蔵温度区 (-20, 0, 5, 10, 20, 30℃) における経時的変化ならびに真空凍結乾燥工程に伴う変化を菌傘部, 菌柄部について検討した。
    (1) 菌傘部, 菌柄部より11種類の有機酸 (ギ酸, 酢酸, 乳酸, シュウ酸, コハク酸, フマル酸, リンゴ酸, α-ケトグルタル酸, 酒石酸, ピログルタミン酸, クエン酸) が同定され, 菌傘部の主要有機酸はリンゴ酸, クエン酸, ピログルタミン酸, 酒石酸, フマル酸の5成分, 菌柄部は酒石酸を除いた4成分であり, その組成パターンは菌傘部と菌柄部で異なっていた。
    (2) 20℃温度区の15日間貯蔵における総有機酸含量は, 乾物重量1009当たり, 菌傘部で1.4~3.29, 菌柄部で1.1~2.09であり, 両部位ともに貯蔵初日から3日目にかけて増加し, 以後, 15日目まで減少した。各貯蔵温度区における総有機酸含量も20℃貯蔵温度区と同様の変動パターンを示したが, 貯蔵温度の低下に伴いその変化は緩慢となった。
    (3) フマル酸, ピログルタミン酸およびクエン酸の3成分は商品性限界時まで増加し, 以後は減少する変動パターンをとり, 貯蔵初日より減少する他の8種類の有機酸類とその挙動を異にした。
    (4) 熱風乾燥工程および真空凍結乾燥工程に伴う有機酸含量は生鮮物と比べ顕著な差異はなく, これら乾燥法はシイタケの有効な品質保持法であることが知られた。
  • 郭 信子, 上田 悦範, 福長 信吾
    1987 年 13 巻 4 号 p. 133-138
    発行日: 1987/12/18
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    貯蔵温州ミカンの異臭とエタノールおよび揮発性イオウ化合物の関係をしらべた。
    中生温州ミヵン (杉山系) を1℃, 6℃,,室温 (10±2℃) および20℃に貯蔵し, また1カ月ごとにその1部をポリエチレン袋に密封 (0.03mm) し, 昇温 (20℃へ) 処理を行った。果汁のエタノール含量は貯蔵3カ月後に多少増大し, また密封・昇温時に急増したが, 温州ミカンの貯蔵臭とは明らかな関係がなかった。ミカン果実空隙内および果汁を密封した容器のヘッドスペース中の揮発性イオウ化合物をFlame Photometric Detectorを装備したガスクロマトグラフィーで分析したところ, ただ1つのピークがみられ, ジメチルサルファイド (DMS) と推定された。
    果実空隙中のDMSの蓄積は, 貯蔵1カ月後, 20℃貯蔵区で最も高く, 貯蔵温度の低いほど少なかった。20℃および室温区は, 2カ月~3カ月貯蔵にともないDMS濃度は減少傾向になったが, 6℃は上昇をつづけた。DMSがある程度以上 (約0.5ppm) 蓄積すると, 果皮を剥皮した時に異臭として感じられた。
    貯蔵果実を密封あるいは非密封で昇温するとDMSの濃度はいずれも急増した。この場合1℃貯蔵の果実ではDMS濃度の増加が少なく, 特に貯蔵期間の長い果実でそのことが顕著であった。
  • 宇田 文昭, 内山 均
    1987 年 13 巻 4 号 p. 139-145
    発行日: 1987/12/18
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    陰イオン交換樹脂 (AG 1×4) カラムおよび塩酸一塩化ナトリウム系の連続濃度勾配法を用いたATP関連化合物の迅速定量法について検討し, 以下の結果を得た。
    (1) AG1×4, -400mesh, Cl型カラムの短縮 (φ5mm×20mm) により, 市販のペリスタ・ミニポンプを用い, 3ml/minの流速を得ることができた。これにより, 3槽式あるいは2槽式の濃度勾配装置を用い, ATP関連化合物を約25分でHxR+Hx, AMP, IMP, ADPおよひATPに分画することができた。分析はカラムの再生を含め約40分で完了した。なお, 流速を2ml/minにすると分析時間は約60分とやや長くはなるが, 各成分の分離がより良好となった。
    (2) ATP関連化合物の標準物質での回収率は97.3~100.9%であった。
    (3) 本法はHPLCに比べ2~3倍の分析時間を要するが, 一般の機器のみで分析できる利点があり, ヌクレオチド組成を確認する簡易, 迅速なカラムクロマトグラフィーとして広く経済的に利用できることを確認した。
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