1℃284貯蔵期間中のイチゴ果実の品質の変化に及ぼす貯蔵前の高温処理 (30℃-4hr, 8hr, 24hr, 35℃-4hr, 8hr, 24hr, 40℃-4hr, 45℃-4hr) の影響を調べた。
1. 高温処理直後の果実の外観には明らかな変化が見られなかった。高温処理は果実の貯蔵期間中の腐敗進展の防止に有効であった。特に, 高い温度では, 腐敗が明らかに抑制され, 35℃-24hrおよび45℃-4hr処理した果実は, 貯蔵期間を通して, まったく腐敗は見られなかった.
2. ホワイト培地を用いたイチゴ果実の微生物の培養実験では, 35℃-24hr, 40℃-4hr, 45℃-4hrで, 明らかに真菌類の繁殖が抑制される現象が観察され, 果実の腐敗の傾向と一致した。
3. 貯蔵中の果実硬度の低下は30℃-24hr処理によって大きくなった。35℃-24hrおよび45℃-4hr処理では明らかに軟化が抑制された。
4. 全ペクチン含量は各処理区とも減少する傾向を示したが, 腐敗がひどかった無処理区と30℃-24hr処理区では, この減少が特に早かった。
5. 果実のアントシアニンに由来する吸光度は1℃貯蔵の初期に増加したが, 貯蔵後期に腐敗果が発生しなかった35℃-24hrと45℃-4hr区を除いて, 他の処理区では減少した。
以上の結果から, 加温処理の条件をさらに検討すれば, イチゴ果実の腐敗の防止や貯蔵期間の延長に利用できる可能性があるものと推論した。
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