日本食品低温保蔵学会誌
Online ISSN : 2186-1269
Print ISSN : 0914-7675
ISSN-L : 0914-7675
13 巻, 3 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 泉 秀実, 辰巳 保夫, 邨田 卓夫, 吉田 保治
    1987 年 13 巻 3 号 p. 77-83
    発行日: 1987/09/18
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    数種そ菜類について, 種々の温度下での呼吸量, 脱水素酵素活性および組織切片からのK+漏出速度をアレニウス式で解析し, 低温耐性の強弱とこれらのアレニウスプロットとの関係について考察した。
    1) 低温感受性のキュウリ, ナス, サヤインゲン・セイヨウカボチャ, ニホンカボチャおよびサツマイモの無傷そ菜の呼吸のアレニウスプロットには, すべて6.7-10℃の低温でbreakがみられた。これらのbfeak温度は, いずれも低温障害発生の臨界温度にほぼ近かった.アレニウスプロットの形は, そ菜類の種類, 品種により異なった。
    一方, 低温耐性が強いとされるジャガイモの呼吸のアレニウスプロットにも, 低温感受性のものとは形が異なるが, 10℃付近にbreakがみられた。
    2) 低温感受性のキュウリ, トマト (未熟果, 熟果) の組織切片の呼吸のアレニウスプロットはいずれも低温でbreakを示し, break温度は低温障害発生の臨界温度にほぼ近かった。アレニウスプロットの形はそれぞれ異なった。一方, 低温耐性のニンジン, ダイロンの組織切片の呼吸のアレニウスプロットは, ニンジンが一本の直線になるのに対し, ダイコンでは低温でbreakがみられた。
    3) サツマイモとジャガイモの組織切片の脱水素酵素活性のアレニウスプロットは, いずれも10℃付近にbreakがみられた。breakの形は異なるが, 両者共低温下での脱水素酵素活性に変曲を示した。
    4) 低温感受性のキュウリ, ナス, サヤインゲン, トマト, セイヨウカボチャ, ニホンカボチャおよびサツマイモの組織切片からのK+漏出速度のアレニウスプロットは, すべて6.7-12.5℃の低温でbreakがみられた。break温度は, カボチャでは低温障害の臨界温度より2-3℃高かったが, それ以外はすべて低温障害発生の温度とほぼ一致した。
    いずれのそ菜類もbreak温度以下では, bfeakより上の温度範囲のものと比較してK+漏出量の割合が増加した.一方, 低温耐性が強いとされるジャガイモ (18.5℃), ニンジン (10℃), ダイコン (19℃) の組織切片からのK+漏出速度のアレニウスプロットにもbreakが認められた。
  • 吉田 博, 菅原 龍幸, 林 淳三
    1987 年 13 巻 3 号 p. 84-91
    発行日: 1987/09/18
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    ヒラタケの収穫後の生理・化学的特性の基礎資料を得るべく, 低分子ならびに高分子炭水化物の6貯蔵温度区 (-20, 0, 5, 10, 20, 30℃) における経時的変化および真空凍結乾燥工程に伴う変化を菌傘部, 菌柄部, 菌柄部基部より検討した。
    (1) 鮮度評価試験の結果によるヒラタケの品質保持期間は, 0℃で18-22日, 5℃で12-13日, 10℃で6-8日, 20℃で3-4日, 30℃で2-3日であった。
    (2) 菌傘部, 菌柄部, 菌柄部基部よりトレハロース, グルコース, フルクトース, マンニトール, アラビトールが検出され, 主要成分はトレハロースとマンニトールの2成分であり, トレハロースは主要な呼吸基質であることが示唆された。各貯蔵温度区における各種遊離糖, 遊離糖アルコール含量の消長は貯蔵温度の低下に伴い緩慢となり, 低温貯蔵法はヒラタケの有効な鮮度保持法であることが知られた。
    (3) 真空凍結乾燥工程に伴う遊離糖, 遊離糖アルコール含量には顕著な差異はなく, 真空凍結乾燥法はヒラタケの有効な品質保持法であることが知られた。
    (4) 酢酸可溶多糖含量は貯蔵日数の経過に伴い減少し, その消長も貯蔵温度の低下に伴い緩慢となり, 貯蔵炭水化物であることが示唆された。他の5種の多糖成分は細胞壁構成成分の役割を担っていることが示唆された。
    (5) 真空凍結乾燥工程に伴う多糖成分含量には顕著な差異はなかった。
  • 菅原 渉, 河野 澄夫, 椎名 武夫, 太田 英明
    1987 年 13 巻 3 号 p. 92-98
    発行日: 1987/09/18
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    夏期における一次加工野菜生産工場の冷蔵庫, 配送車および店舗内冷蔵庫を通してカットレタスの温度管理の実態を測定した。同時に, 1, 5, 10およ、び20℃におけるナイロン/ポリエチレン60μm小袋に脱気包装されたカットレタスの品質変化について検討を加えるとともに, 砕氷, 蓄冷剤および発泡スチロール箱を用いた簡易・迅速な低温配送方法を開発した。
    結果は以下の通りである。
    (1) 夏期におけるカットレタス製造後の保管流通温度 (庫内温度) は512℃であった。この温度条件下でのカットレタスのシャルフライフは3日以内であった。
    (2) 実験室規模のモデル試験では, カットレタスの貯蔵安定性は, 1℃で14日間, 5℃で57日間, 10℃で35日間, 20℃で13日間であった。本条件下での品質低下は, 嫌気呼吸に伴う異臭の発生が主であり, 主要成分としてエチルアルコールが検出され高温貯蔵温度区ほど発生量が増大した。
    (3) 発泡スチロール箱による簡易低温貯蔵方法では, 貯蔵前にカットレタス品温をできる限り速やかに低下させることが重要であった。冷却方法としては, 品温低下の点で砕氷が有効であると考えられた。
    これらの結果に基づいて, 発泡スチロール, 砕氷からなるカットレタスの貯蔵・流通法を設定した。
  • 森 光國
    1987 年 13 巻 3 号 p. 99-107
    発行日: 1987/09/18
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
feedback
Top