シイタケの収穫後の生理・化学的特性の基礎資料を得るべく, 低分子ならびに高分子炭水化物の各貯蔵温度区 (-20, 0, 5, 10, 20, 30℃) における経時的変化および乾燥工程 (熱風乾燥および真空凍結乾燥) に伴う変化を菌傘部と菌柄部の両部位より検討した。
(1) 鮮度評価試験ならびに表面色の測定試験の結果よりシイタケの品質保持期間は, 0℃で20~24日, 5℃で15日前後, 10℃で6~8日, 20℃で3~4日, 30℃で2~3日であった。
(2) 菌傘部, 菌柄部よりアラビトール, マンニトール, トレハロース, グルコースおよびフルクトースが検出され, 主要成分はアラビトール, マンニトール, トレハロースの3成分であり, アラビトールは主要な呼吸基質であることが示唆された。各貯蔵温度区における各種遊離糖, 遊離糖アルコール含量の消長は貯蔵温度の低下に伴い緩慢となり, 低温貯蔵法はシイタケの有効な鮮度保持法であることが示唆された。
(3) 熱風乾燥工程および真空凍結乾燥工程に伴う遊離糖, 遊離糖アルコール含量には顕著な差異はなく, これら乾燥法は有効な品質保持法であることが知られた。
(4) 酢酸可溶多糖含量は貯蔵日数の経過に伴い減少し, その消長も貯蔵温度の低下に伴い緩慢となり, 貯蔵炭水化物であることが示唆された。他の5種の多糖成分は細胞壁構成成分の役割を担っていることが示唆された。
(5) 熱風乾燥工程, 真空凍結乾燥工程に伴う各種多糖成分含量には顕著な差異はなかった。
抄録全体を表示