日本在宅医療連合学会誌
Online ISSN : 2435-4007
3 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
論文
原著
  • ―今後の在宅医療支援に向けて―
    飯田 英和, 林 伸宇, 夏堀 龍暢, 坂本 亜樹子, 内田 直樹, 武藤 真祐
    2022 年 3 巻 4 号 p. 1-9
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/19
    ジャーナル フリー

    COVID-19 は社会,在宅医療の現場に大きな影響を及ぼしている.今回,在宅医療従事者に対し,COVID-19 による物理的・心理的問題とその経時的変化をインターネット上のアンケート調査を用いて 4 カ月ごとに計 4 回調査した.最大 141 人から回答があり,COVID-19 に対する不安感 6.6 点 (10 点中 ),精神的ストレス 6.6 点で相互に高い相関関係を認めた.職種としては看護師で不安感,精神的ストレスが強く,初期には医療資源の不足や不十分な情報,患者家族とのコミュニケーション不足,医療体制への不安など多岐に渡った.回答数が少なかったが,経時的には不安や精神的なストレスが高い状態を持続した.

  • 石原 美和, 徳永 幸之
    2022 年 3 巻 4 号 p. 10-17
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/19
    ジャーナル フリー

    療養通所介護は 2006 年に通所介護の一類型として創設され,その後,定員上限の引き上げ,障害児等通所支援の弾力的実施などの制度改正が行われてきたが,開設事業所数は伸び悩んでいる.本研究の目的は,療養通所介護事業所の開設状況について明らかにするとともに,制度改正が,療養通所介護事業所の普及に効果があったのかを考察することである.全国の 83 事業所を対象に,開設状況や利用状況について,郵送法による自記式質問票調査を行った.その結果,制度改正が事業所数の増加につながったとの評価は得られなかった.また,廃止した事業所に対するフォローアップ調査では,経営的な困難を理由に廃止していたことが明らかになった.

  • 山田 純也, 伊藤 浩光, 小畑 正孝, 力石 辰也, 野口 拓哉
    2022 年 3 巻 4 号 p. 18-27
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/19
    ジャーナル フリー

    新型コロナワクチンの安全性は一般的には証明されてきているが,在宅医療を受ける患者の調査はない.ワクチンが在宅医療を受ける患者の生活に実際に及ぼす影響の調査は,ワクチン接種適応の指標となると考えられる.在宅医療を受ける患者を対象に,新型コロナワクチンの副反応が日常生活に及ぼす影響をアンケートおよびカルテ情報の抽出によって調査した.日常生活に影響があったと答えたのは 1 回目,2 回目接種後とも 5%前後で,いずれも特別な処置を必要としなかった.ワクチンを 2 回接種できなかった場合や,アンケート前に診療が終了となった症例には入院や死亡例もあったが,ワクチンとの明らかな関係はみられなかった.

  • 西岡 大輔, 上田 まゆら, 西出 真悟, 岡村 紀宏, 坂本 はと恵, 梅木 秀俊, 早坂 由美子
    2022 年 3 巻 4 号 p. 28-36
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/19
    ジャーナル フリー

    【目的】在宅療養支援診療所の相談支援・連携業務担当者(以下,担当者)の業務の多面性と社会福祉専門職の役割を検討することを目的とした.

    【方法】「在宅療養支援診療所相談支援・連携業務の実態に関する調査」で収集された担当者の業務に関する 35 問の回答データを二次利用し,因子分析により業務を分類・抽出し,取り組み状況を社会福祉専門職の有無で比較した.

    【結果】担当者の業務は地域活動,連携,スペシフィックな支援,医事の 4 つに分類され,前者 3 つは担当者が社会福祉専門職である場合に多く取り組まれていた.

    【考察】社会福祉専門職を在宅療養支援診療所に配置することは,地域福祉への貢献につながる可能性があった.

症例報告
  • 遠藤 光史, 高橋 善美, 長濱 久美
    2022 年 3 巻 4 号 p. 37-40
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/19
    ジャーナル フリー

    【はじめに】がん終末期の療養の場の選択に看護小規模多機能型居宅介護サービス(以下,看多機)を活用した症例を報告する.

    【症例】症例①は膵がん 70 歳代女性,自宅での療養継続が不可能で看多機へ緊急入所し永眠した.症例②は肝細胞がん70 歳代男性,状態に応じて看多機を活用した.症例③は悪性脳腫瘍 70 歳代女性,自宅への退院は不安で看多機を利用して永眠した.

    【考察】看多機は介護と医療を統合し,在宅生活支援や看取りなどの医療ニーズの高い患者でも対応する.またデイサービスなどを通じて日常性が得やすくがん終末期でも有用であった.今後症例を重ねて,看多機の有用な活用および連携の在り方を確立していきたい.

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