【背景】熱傷患者の予後推定指数として海外においてはBaux score, revised Baux score, abbreviated burn severity index (ABSI), Belgian outcome in burn injury (BOBI) などが用いられ, 本邦ではprognostic burn index (PBI) が最もよく用いられている. 近年, 本邦の症例についても気道熱傷を指数計算に含むrevised Baux scoreの有用性が報告されている. 一方, PBIの算定には気道熱傷が考慮されておらず, PBIに気道熱傷の因子を加えた新たな熱傷予後指数とその有用性について検討した.
【方法】2008年から15年間に当院に入院した熱傷患者 (気道熱傷単独症例, 来院時心肺停止症例をのぞく) を対象とし後方視的に検討した.
【結果】対象患者252人. その中央値は年齢54歳, 男性の比率は58%, 総熱傷面積15%, Ⅱ度熱傷面積9%, Ⅲ度熱傷面積0%, 気道熱傷を合併した症例は104例 (41%), PBI 73, 死亡例は42例 (17%) であった.
生存群と死亡群の比較では年齢, 総熱傷面積, Ⅱ度熱傷面積, Ⅲ度熱傷面積, 気道熱傷合併有無について2群間で有意差を認めた. 多変量解析では年齢, burn index (BI), 気道熱傷合併有無が独立して予後に影響を及ぼしていた. 気道熱傷合併有無はBIの19.4倍相当の寄与度であり, 新たな熱傷予後指数 (new PBI) として, 気道熱傷がある場合には従来のPBIに20を加えた値をnew PBIと定義した. 熱傷予後指数のarea under curve (AUC) 値は, BI 0.891, PBI 0.919, Baux score 0.923, revised Baux score 0.941, ABSI 0.931, BOBI 0.912, new PBI 0.955であった. New PBIのカットオフ値を100とすると感度100%, 特異度85.0%であった.
【結論】熱傷患者の予後推定因子として, new PBIは有用である.
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