熱傷
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追悼
原著
  • 北野 大希, 櫻井 敦, 北川 敬之, 谷口 智哉, 仲宗根 美佳, 國重 千佳, 畑 憲幸, 高橋 晃, 佐野 秀, 当麻 美樹
    2020 年 46 巻 3 号 p. 78-84
    発行日: 2020/09/15
    公開日: 2020/09/15
    ジャーナル 認証あり
     【目的】広範囲熱傷において, 効率的に採皮するための工夫 (以下, ガーゼ法) について報告する.
     【方法】術前に1辺約15cmの正方形のガーゼを生理食塩水に浸漬して創部に貼付し, 使用した枚数から潰瘍面積 (Sraw), および1.5倍・3倍メッシュ加工した植皮を予定する部位の面積 (S1.5・S3) を算出した (Sraw=S1.5+S3). 得られた数値にメッシュ加工倍率の逆数 (1.5倍なら2/3, 3倍なら1/3) を掛け, 予定採皮面積 (eSg) を計算した (eSg=S1.5×2/3+S3×1/3). 手術に際し, 実際に採皮された分層植皮片の面積 (rSg) を計測し, eSgと比較した.
     【結果】6患者 (平均年齢69.9歳, TBSA 23.8%) に対し, 合計8回の手術でガーゼ法を施行した. いずれの場合も腋窩や膝窩など, 関節面を含む立体的に複雑な部位に対して用いた. 各項目の平均値は, Sraw 1177.0 cm², eSg 558.8cm², rSg 571.3cm²であり, eSgとrSgの間に統計学的な有意差は認められなかった (p=0.62, paired t test). 平均手術時間は197.0分で, 全例でデブリードマンと採皮が並行して行われたが, 同一術中に追加採皮を要した症例はなかった.
     【考察】ガーゼ法の利点として, ①特殊な器具は不要であり手技も容易であること, ②用いたガーゼの枚数により面積を数値化できること, ③腋窩など立体的に複雑な部位でも正確な計測が可能であること, があげられた. また, 追加の採皮を要しなかった結果, 採皮創のコンタミネーション予防や手術時間の短縮に繋がるなどの有益性も示唆された.
  • 松浦 裕司, 片山 祐介, 塩崎 忠彦, 小倉 裕司, 嶋津 岳士
    2020 年 46 巻 3 号 p. 85-91
    発行日: 2020/09/15
    公開日: 2020/09/15
    ジャーナル 認証あり
     【背景】当科は1967年に日本で初めて重症救急患者を専門に診療する施設として大阪市内に開設され, これまで熱傷の診療および研究を積極的に行ってきた. 今回, 50年間の熱傷診療について後方視的に検討を行ったので報告する.
     【方法】1968年から2017年の50年間に入院した熱傷患者を症例台帳および診療記録から抽出し, 年齢, 性別, 熱傷面積, 在院日数, 転帰 (生存or死亡) について年ごとに表記した. つぎに熱傷面積20%以上の患者について前半と後半の25年ずつに分け, 比較検討を行った. また, 転帰 (死亡) を目的変数とし, 年齢, 性別, 熱傷面積, 入院年度を説明変数としたロジスティック回帰分析を行い, その調整オッズ比と95%信頼区間の評価を行った.
     【結果】熱傷患者数は徐々に減少し, 入院治療を行った全救急症例に対する熱傷患者の割合も10%程度から1%まで低下した. この間, 患者の熱傷面積は徐々に減少し, 死亡率も低下していた. 熱傷面積20%以上の患者を前半と後半で比較すると65歳以上の患者の割合の上昇 (15.6%→29.3%) と12歳以下の小児患者の割合の低下 (32.1%→15.5%) がみられた. 死亡転帰におけるロジスティック回帰分析での調整オッズ比 (95%信頼区間) は, 10単位変化あたり年齢は1.77 (1.58–2.01), 入院年度は0.49 (0.37–0.63) , 熱傷面積は2.09 (1.87–2.36) であった.
     【結語】当科における50年間の熱傷診療について後方視的に検討した. 症例数および重症度が経時的に顕著に低下しており, 今後の熱傷診療および教育, 研究のために症例の集約化を行うことは一つの方法となりうると考えられた.
症例
  • -RENASYS®コットンフィラーを用いて-
    三谷 寛子, 桒水流 健二, 谷口 智哉, 櫻井 敦, 國重 千佳, 当麻 美樹
    2020 年 46 巻 3 号 p. 92-97
    発行日: 2020/09/15
    公開日: 2020/09/15
    ジャーナル 認証あり
     手部は可動部位であるとともに形態的特徴として多数の関節,腱,指間などの構造をもち, 複雑な形状を有するため, 植皮片の圧迫固定に工夫を要する部位の1つである. 手部へ植皮片を固定する方法としては, 従来から用いられているbulky dressingに加え, フォームフィラーによる局所陰圧閉鎖療法 (negative pressure wound therapy ; 以下NPWT) を使用した症例の報告などが散見される. 当施設では手部へ分層植皮術を行う際, RENASYS®コットンフィラー (以下, コットンフィラー) を用いたNPWTを使用して良好な結果を得ているため, 本稿ではその手技につき報告する. われわれが好んで用いているコットンフィラーは, 形状の自由度が高く, 追従性に優れるため, 凹凸面や指間への充填が容易であり, 本法は手部へ植皮片を固定する際, 選択肢の1つとして有用と思われた. 植皮片をNPWTで固定する際, 最適な陰圧設定値に関しては議論の余地があるが, 本法を用いる際は圧が減衰する可能性を考慮したうえで, 症例に応じて陰圧値を設定することが望ましいと考えられる.
  • 山本 優子, 黒柳 美里, 梅田 龍, 春成 伸之, 竹内 一郎
    2020 年 46 巻 3 号 p. 98-101
    発行日: 2020/09/15
    公開日: 2020/09/15
    ジャーナル 認証あり
     Erosive pustular dermatosis (以下EPD) はおもに頭皮に膿疱, 痂皮, びらんを生じる皮膚疾患である. 今回われわれは, 体幹, 四肢の熱傷瘢痕に生じたEPDの1例を経験したので報告する.
     症例は55歳, 男性, 浴室内でガスに引火しTBSA 60%の火炎熱傷を受傷した. デブリードマン, 植皮術を施行し, 受傷後3ヵ月で転院した. 半年後再診し, 体幹, 四肢の熱傷瘢痕に多発する潰瘍, 黒色痂皮を認め再入院となった.
     皮膚感染症としての治療は無効で, ステロイド外用により創部の改善を認めた. 臨床経過, 病理組織学的所見からEPDと診断した. 熱傷瘢痕に多発する膿疱, 痂皮を伴うびらんを認めた際には細菌感染症に加えてEPDも鑑別にあげる必要がある.
  • 外薗 寿典, 高木 信介, 佐々木 彩乃, 門松 香一, 三川 信之
    2020 年 46 巻 3 号 p. 102-108
    発行日: 2020/09/15
    公開日: 2020/09/15
    ジャーナル 認証あり
     電撃傷は生体内で発生するジュール熱により, 深部損傷を伴い進行性壊死を認めることがある. 今回電柱での塗装作業中に電撃傷を受傷し, 腰背部に進行性壊死を生じ治療に難渋した1例を経験した. 症例は37歳, 男性, 左胸ポケットに入れたカッターが電線に接触し66,000Vの通電による電撃傷を受傷した. Ⅲ度8%TBSAの熱傷を左前胸部・腰背部・両手掌・左右外踝部・右下腿外側部に認めた. 腰背部は5%TBSAと最も広範囲に及んでいた. 第14病日にデブリードマンと植皮術を施行したが, 腰背部では植皮片は脱落し進行性壊死を認めた. 連日洗浄し創部のデブリードマンを行った. 第28病日に造影CTにて腰背部周囲の壊死部位と正常部位との境界を確認し, 壊死の進行は認めないと判断した. 第35病日に有茎広背筋弁にて創部閉鎖にいたった. 進行性壊死を伴う電撃傷の治療には, 連日の適切なデブリードマンと画像による創部の評価が必要と思われた.
  • 能登 まり子, 今井 啓介, 矢永 博子
    2020 年 46 巻 3 号 p. 109-114
    発行日: 2020/09/15
    公開日: 2020/09/15
    ジャーナル 認証あり
     症例は6歳, 男児. 4歳時熱湯の風呂に転落し, 腰部から下肢にかけて深達性Ⅱ度熱傷 (DDB) ~Ⅲ度熱傷 (DB) を受傷した. 前医にて保存的加療ののち, 拘縮が高度であった左膝部に右臀部からの自家遊離分層植皮術を受けた. 膝部の機能は改善されたが, 採皮部は著明な肥厚性瘢痕を残した. 当院初診時, 腰部から大腿部にかけて痛みを伴う瘢痕のため, 座位をとることにも不自由であった. 前回手術時の採皮部に著明な肥厚性瘢痕と拘縮を認めたため, 新たに分層採皮を行うことを患者自身と家族が拒否した. このため, 倫理委員会承認のもと, 母親からの同種皮膚移植と自家培養表皮移植の併用を行った.
     瘢痕を切除して拘縮を解除し, 生じた皮膚全層欠損部に対して, 患者の母親の下腹部から皮膚移植を施行した. 同種移植施行後16日目, 自家培養表皮を移植した. 術後3年を経過したが拘縮は認めず, 整容的に問題となるような陥凹も認めていない. 母親からの同種皮膚移植と自家培養表皮移植の併用は有用と考えられた.
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