【目的】熱傷は感染性合併症が高率であり, 予後に影響する. 今回, 当施設の感染性合併症の特徴や, 重症度のうち感染に関連する危険因子について検討した.
【方法】7日以上入院した症例のうち, 入院48時間以降に発症した感染性合併症について後方視的に検討した.
【結果】入院136例中, 対象は感染群35例と非感染群28例で, 患者背景に差はなかった. Total body surface area (以下TBSA) , burn index (以下BI) , prognostic BI, APACHEⅡスコアは感染群が非感染群に比して有意に高く, 熱傷の重症度を示すスコア (TBSA, BI) のうち最も感染と関連する因子はTBSA (OR=1.242; 95%CI, 1.019 - 1.589; p=0.0482) であった. 入院48時間以内の経腸栄養/経口摂取施行率は感染群で低率であり, 昇圧薬使用率, 腎代替療法施行率, 人工呼吸器装着率は感染群で有意に高率であった. また, 手術施行率も感染群で高率であり, 中心静脈カテーテル (central venous catheter : 以下CVC) 総留置期間は感染群で有意に長かった. 院内死亡率は, 感染群 (17.1%) が非感染群 (0%) に比して有意に高率であった. 入院から1週目, 2~3週目, 4週目以降の各病期の感染部位は創部が最多であったが4週目以降に減少し, 2週目以降はCVCや他部位の感染が増加する傾向であった. 起炎菌は1週目まではmethicillin-susceptible staphylococcus aureusなどグラム陽性菌が多く, 2~3週目からPseudomonas aeruginosaなどグラム陰性桿菌がおもな起炎菌であり, 4週目以降でCandida sp. が増加した.
【結語】熱傷の感染性合併症は集中治療が早期に行われる重症例が多く, 熱傷の重症度を示すスコア (TBSA, BI) のうち, TBSAが最も関連する因子であった. 感染管理として, 感染部位や起炎菌は病期で変化することを考慮する.
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