ジオシンセティックス論文集
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17 巻
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  • 熊谷 浩二
    2002 年 17 巻 p. 1-4
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    最終処分場からの浸出水による地下水汚染や土壌汚染を防止する上で,ジオシンセティックスを用いた遮水構造が大きな役割を果たしている.最終処分場の安全性や信頼性を向上させる具体的な事例を設計・施工時を中心に紹介する.また,最終処分場の建設にあたっては、立地計画-調査-設計-施工-維持管理(供用)-跡地利用(閉鎖)と多くの段階がある.各段階で技術的な検討課題が多くあり,全部の段階に関る技術者が必要と考えられる.
  • 斉藤 知哉, 伊藤 秀行, 桑野 二郎, 井沢 淳
    2002 年 17 巻 p. 5-12
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    筆者らは、補強土壁の壁面部分(パネル背面から設計により決まる範囲)に改良土を配置し、ジオグリッドと組み合わせる新しいタイプの補強土工法の開発を進めてきたが、耐震性能に関しては未解明な部分が多く課題となっていた。そこで、本工法の地震時挙動(変形特性)を把握することを目的として、遠心模型振動実験を行った。その結果、改良土のみ配置したケースでは改良土にクラックが発生し、ジオグリッドのみでは変形が大きい結果となった。これに対し改良土とジオグリッドを組み合わせた場合は変形が小さく抑えられ高い安定性を示した。また大きな地震動を加えた場合、改良土にクラックが発生する恐れがあるが、短繊維を混合することにより抑制され、短繊維混合は耐震性能を向上させるのに有効な手段となることが明らかとなった。
  • 井沢 淳, 桑野 二郎, 高橋 章浩
    2002 年 17 巻 p. 13-20
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオグリッドによる補強土工法は,過去の地震時挙動から高い耐震性を有することが知られている.したがって,破壊の有無のみでなく,地震時の変形に対する考慮が重要になってくる.補強土構造物はジオグリッドと土の複合構造物であり,変形量予測には補強材の特性を考慮に入れる必要がある.そこで本研究では,補強材特性の異なる模型補強土壁を用いて遠心振動台実験を実施し,補強材特性が補強土壁の地震時安定性に与える影響を調べた.その結果,補強材の形状,剛性が振動を受ける補強土壁の変形に大きく影響すること分かった.また過去に行った遠心傾斜台実験結果と比較し,破壊時水平震度は大きく異なるが,破壊・変形モードはよく一致するという結果を得た.
  • 間 昭徳, 青山 義人, 浅野 一生, 小山 敦也, 千代田 健
    2002 年 17 巻 p. 21-26
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    急傾斜地や用地制約があるときなどでのEPS工法は、壁面工に直勾配のコンクリートパネルを使用している例が多い。このため緑化は困難である。緑化を目的として壁面工をエキスパンドメタル、溶接金網、ジオグリッドを使用し、壁面に急勾配補強盛土を構築するEPS軽量盛土工法が最近、国内で数ケース施工されている。
    しかしこの工法では、交通荷重などが作用したときの挙動など不明確な点がある。これらの挙動を解明する第一歩として高さ3mの実物大盛土を構築し、振動実験を行った。
    本論では振動実験の結果を報告する。また土圧測定、緑化状況、壁面変位などの調査もあわせて報告する。
  • 加藤 範久, 渡辺 健治, 舘山 勝, 古関 潤一
    2002 年 17 巻 p. 27-32
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    1995年の兵庫県南部地震や1999年の台湾集集地震以降、擁壁構造物の地震時挙動を詳細に検討する研究が、数多く行われるようになったが、擁壁の支持地盤の影響に注目した実験は少ない。筆者らは、支持地盤の特性を変化させることで、補強土擁壁について滑動モード、転倒モードが卓越するような模型を構築し振動台実験を行った。本研究では、補強土擁壁の変位モードの違いが補強材張力などの地震時挙動に及ぼす影響について、既往の研究結果との比較を含め検討した。
  • 半井 健一郎, 渡辺 健治, 舘山 勝, 内村 太郎, 龍岡 文夫
    2002 年 17 巻 p. 33-40
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    Level2地震動にも耐えて経済的でもあり環境負荷が低い橋台をジオテキスタイル補強土で建設する工法を開発する目的で、プレロード・プレストレスを加えた補強土にラチェット機能付きプレストレス維持装置(略称:ラチェット装置)を取り付けて耐震性能を検証した。振動台実験を、より現場条件に近く、また土槽側面と模型の間の摩擦を排除した三次元模型を用いて行った結果、高い耐震性能を確認できた。また、盛土の乾燥密度が高いほど耐震性が向上すること、振動中にプレストレスがかなり低下してもラチェット装置が作動して盛土の膨張を瞬時に拘束できれば十分高い耐震性を維持できることが明らかになった。さらに、小橋台の動的滑り変位をNewmark法によって予測できることが分かった。
  • 古谷 明寿, 半井 健一郎, 内村 太郎, 龍岡 文夫
    2002 年 17 巻 p. 41-48
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    タイロッドを用いてプレロード・プレストレスされたPLPSジオテキスタイル補強盛土は、常時は鉛直荷重に対して高い剛性と安定性を示し、水平繰返し載荷に対しては高い減衰率・柔軟性・靭性を示して過大なせん断変形に対しては硬化する能力がある。本研究ではこの性質に注目して、橋梁基礎構造物・重量電力施設等の重量構造物を想定した模型振動台実験を行うことにより、PLPS補強盛土の重量構造物の免震基礎として利用する可能性を検討した。また加振中の盛土の物性についての詳細な検討を行い、免震構造物としてのシステムの動特性が及ぼす影響についても考察した。
  • 勝見 武, 小河 篤史, 沼田 修吾, 深川 良一, Craig H. BENSON, Dale C. KOLSTAD, Ho-Young ...
    2002 年 17 巻 p. 49-54
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    廃棄物処分場の遮水工としてジオシンセティッククレイライナー (GCL) の適用が注目されているが, GCLの遮水性能はベントナイトの性能に依存しており, 化学物質を含む溶液に対してはスメクタイト鉱物の層間膨潤が阻害されるため, 廃棄物浸出水に対する遮水性能の検討が必要となる. 本研究では,塩化ナトリウムあるいは塩化リチウムと塩化カルシウムの混合溶液に対してGCLの膨潤試験や透水試験を行ったものであり, 遮水性能には1価よりも2価カチオンの影響が著しいこと,膨潤力と透水係数には相関関係がみられたこと, 顆粒状よりも粉末状のベントナイトを用いたGCLのほうが遮水性能に優れていること, 等が示された。
  • 星野 實, 佐藤 道明, 水野 克己, 岡田 朋子, 本郷 隆夫, 福田 光治, 藤原 照幸, 嘉門 雅史
    2002 年 17 巻 p. 55-62
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    内陸型管理型最終処分場のゴミ埋立て期間は,おおよそ15年間と長期間であるが,法面部の遮水構造として用いられるジオメンブレンは,ジオテキスタイルだけで保護されているのが現状である.これは,ゴミ埋立て時の重機作業等の物理的要因から起因するジオメンブレン損傷などのリスクを抱えている.著者らは,土質系材料によるジオメンブレン保護の必要を重視し,最終処分場建設地周辺の自然環境との調和を目的として,ハニカムフレームを用いて緑化する研究を行った.本論では実証実験と施工事例をもとにその結果を報告する.
  • 許 四法, 今泉 繁良
    2002 年 17 巻 p. 63-70
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    廃棄物処分場に設置される遮水シートは合成樹脂や合成ゴムを主成分とする典型的な粘弾塑性体である。一定のひずみが与えられた状態で放置されると、時間とともに応力緩和が生じる。本研究において使用した遮水シートはHDPE、FPA、TPOで、厚さはいずれも1.5mmである。実験装置は試験片を取り付けるクランプとクランプ移動ねじ、鉄製フレーム及び張力を計測する荷重計で構成される。本研究では、定ひずみで30日間放置する応力緩和実験と定ひずみを7日間放置してひずみを段階的に増大させる応力緩和実験を行った。さらに3要素粘弾性モデルによる応力緩和傾向の予測式を提出し、計算値と実験結果との比較を行った。
  • 小竹 望, 山崎 智弘, 北浦 良樹, 近藤 三樹郎
    2002 年 17 巻 p. 71-78
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    管理型廃棄物海面処分場の表面遮水工として2重遮水シートを用いる場合、遮水シート(ジオメンブレン)と保護マット(ジオテキスタイル:不織布)から成る多層ライナー構造が必要とされている。この廃棄物護岸の背面に位置する側面遮水工の斜面安定に対して、各構成材料間のせん断抵抗あるいは摩擦抵抗が支配的な要因となる。本研究では、斜面の安定検討に用いるせん断抵抗に関する基本特性を把握するため、気中状態と水浸状態における各構成材料間の一面せん断試験を実施した。その結果、緩い状態の粗粒材~不織布のせん断強度は水浸状態の方が気中状態より小さく、遮水シート~不織布のせん断強度は水浸と気中状態による差異がほとんどないことが認められた。また、実験に用いた長繊維・短繊維不織布、PVC製軟質・超軟質シートなどの材質に係わるせん断特性や、せん断試験方法に関して考察した。
  • 小竹 望, 山崎 智弘, 北浦 良樹, 近藤 三樹郎
    2002 年 17 巻 p. 79-86
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    管理型廃棄物処分場の法面部表面遮水工に、遮水シート(ジオメンブレン)と保護マット(ジオテキスタイル:不織布)から成るジオシンセティックス多層ライナーを用いる場合、被覆層などの土質材料や埋立廃棄物の自重によって、この多層ライナーにせん断力が作用する。本研究では、多層ライナーの構成材料に生じる引張力を計測できる実験装置を開発し、「土質材料~保護マット~遮水シート~保護マット~土質材料から成る5層構造」のプロトタイプに対して、2層~5層構造の多層ライナー模型の構成材料と最下層の拘束条件をパラメーターとする多層せん断模型実験を実施した。構成材の変位・引張力の測定結果に基づき、各層間のせん断抵抗特性と各構成材料の引張剛性の面から、多層ライナーの荷重伝達特性を評価した。
  • 小竹 望, 山崎 智弘, 北浦 良樹, 松下 正樹, 根岸 聖司, 野々村 千里
    2002 年 17 巻 p. 87-94
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    表面遮水工として「土質材料~不織布~遮水シート~不織布~土質材料」から成る5層構造のジオシンセティックス多層ライナーを用いる管理型海面処分場の側面遮水工を対象として、2次元非線形弾塑性FEM解析によって斜面滑りに対する安定を検討した。多層ライナーにせん断力が作用する際の挙動を、各層間の摩擦特性・各層の引張剛性・土質材料の強度変形特性が支配する土とジオシンセティックスの相互作用問題と考え、側面遮水工全体の挙動を評価するFEM解析手法を示した。まず、一面せん断試験から得られた材料間のせん断特性について数値解析モデルを構築し、これを多層せん断模型実験のFEM解析に適用して多層構造に関する数値解析手法の妥当性を検証した。この解析手法を用いて、極限平衡法による安定解析結果に対する照査として、側面遮水工断面のFEM解析を行った。また、パラメータースタディにより層間摩擦と引張剛性が各構成材の引張力に及ぼす影響を示した。
  • 長束 勇, 渡嘉敷 勝, 森 充広, 岸 智, 大里 一雄, 沼尾 一徳, 佐藤 敦史
    2002 年 17 巻 p. 95-102
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオメンブレン(GM)を用いた貯水池表面遮水工法に関する設計基準では,気象条件や地質条件によりGMの敷設基盤が大きく変形する可能性がある場合は,十分な敷設基盤処理対策をとることとされている.しかし,敷設基盤の変形に対するGMの追随特性を解明し,損傷に対する安全性が確認できれば,敷設基盤処理対策を軽減し,遮水システム全体の設計の合理化が図れる可能性がある.そこで,標高800mの高地寒冷地域に位置する貯水池のGM表面遮水施工事例を取り上げ,現地で想定されている敷設基盤の凍上現象に対するGMの追随特性に関する室内試験を行った。その結果,EPDM系GMを用いれば,一般に採用されている凍結深に見合った深さまでの敷設基盤の砕石等による置き換えは必要なく,施工上必要な厚さとできることが明らかになった.
  • 鴇田 由希, 浦川 智行, 堀井 克己, 青木 一二三, 米澤 豊司, 中村 行雄
    2002 年 17 巻 p. 103-110
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    現行の鉄道におけるジオテキスタイルを用いた補強土擁壁のL2地震時の検討方法は,耐震標準に示されており,内的・外的安定計算で決定した断面に対し,ニューマーク法で変形計算を行うことになっている.しかし,補強土擁壁上に電車線柱があるような,補強土壁頂に大きな荷重が作用する場合における変形計算の詳細は示されていない.そこで本研究では,耐震設計における補強領域の設定方法,地震時電柱荷重の組込み方法などの違いによる比較を行い,電車線柱一体型補強土擁壁の合理的な耐震設計方法についての検討を行った.また,この計算方法でL2地震時において,補強土擁壁の変形が許容変形量以内におさめるために,ジオテキスタイルによる補強がどの程度必要になるかを検討した.
  • 幸原 淳, 青木 一二三, 米澤 豊司, 渡邊 修, 舘山 勝, 龍岡 文夫
    2002 年 17 巻 p. 111-116
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震をはじめとするレベル2地震動に対し,橋台と橋台背面盛土を含めた橋台部全体系の耐震性能の向上が重要な課題となっている.現在、日本鉄道建設公団・鉄道総合技術研究所・東京大学では,共同研究として耐震性能を有する合理的な新しい形式の橋台の研究開発を実施している.本論文は,まずジオテキスタイルで補強されたセメント改良補強盛土からなる橋台(以下「セメント改良補強土橋台」という.)の耐震設計法の考え方を示し,さらに実際に適用が予定されている橋台に対して,セメント改良補強土橋台と従来形式の逆T式橋台の比較設計を行った結果を述べる.比較設計の結果,セメント改良補強土橋台は耐震性のうえでも,また経済性のうえでも従来形式の橋台に比べて優れていることが明らかとなった.
  • 村上 哲, 安原 一哉, 大信 克男
    2002 年 17 巻 p. 117-122
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    本研究では,ジオシンセティックスの1つである軽量地盤材料を壁体構造物の裏込め材料として使用した場合の壁面へ作用する土圧分布について,弾性FEMによる数値計算を行い,土圧低減効果について検討を行った.得られた結果は以下のとおりである.
    (1) 軽量地盤材料のポアソン比が小さいほど壁面土圧は小さくなる.
    (2) 壁面の高い位置ほど土圧は大きくなる.
    (3) 土圧は軽量地盤材料との接合方法に強く影響を受ける.したがって、設計においてはこのことを考慮する必要がある.
  • 田村 恵, 本郷 隆夫, 福田 光治, 長屋 淳一, 松山 裕幸
    2002 年 17 巻 p. 123-127
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    筆者らはこれまでジオシンセティックス材料であるEPS圧縮材を頭部に敷設した時のボックスカルバートを対象にして提案した鉛直土圧係数簡易推定式を中心に,FEM解析結果などと比較しながら鉛直土圧軽減化工法の効果を検討してきた.本論文では,これらの研究成果を整理する目的を兼ねて,圧縮材による鉛直土圧軽減化工法の設計手法について検討した結果を示す.そして設計では安全率が必要であり,その安全率を左右する因子として,盛土材と圧縮材の降伏応力,圧縮材の許容ひずみ,カルバート頂版上における圧縮材の圧縮ひずみ分布等があげられることを示す.しかし,本研究は解析的な研究の域に留まっているため実務的なデータの蓄積が必要である.
  • 平川 大貴, Warat Konkgkitkul, 龍岡 文夫, 内村 太郎
    2002 年 17 巻 p. 129-136
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    高分子補強材の変形特性には粘性的な挙動(材料粘性)があることが知られている。補強材の材質は多様であり、異なる材質の補強材の引張り特性における材料粘性効果を統一的に表現する方法は現在のところ確立されていない。本研究では、4種類の異なる材質の補強材の引張り試験を行い、変形特性における材料粘性の効果を調べた。その結果、補強材の粘性的な変形特性は材質に寄らず、非可逆的ひずみとその速度に依存していることが確認された。また、材質により載荷履歴の影響を一時的に受けるものもあり、これら3つの要因をモデル化することにより材質の異なる補強材の負荷過程における変形特性を統一的に表現することが出来た。
  • 篠田 昌弘, Richard J. BATHURST, 龍岡 文夫, 堀井 克己
    2002 年 17 巻 p. 137-144
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    補強土構造物の設計上の不確実性の1つとして、耐用年数を通した土中での補強材の時間依存変形特性がある。補強材の粘性による時間依存変形特性を把握するために、ポリプロピレン、ポリエステル、高密度ポリエチレンを用いて、34本のクリープ及び応力緩和試験を様々な引張荷重で24時間行い、その後に引張り試験を行い強度を測定した。画像解析により変形を測定した。実験の結果、クリープ変形や応力緩和を経験した後でも、同一の試験条件(ひずみ速度等)の下では補強材の引張強度は低下しておらず、地震時の補強材の設計強度を設定する際にクリープ低減係数を考慮すると補強材の引張強度を過小評価することが分かった。
  • 中村 努, 三田地 利之, 吉澤 耿介
    2002 年 17 巻 p. 145-152
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオグリッドの土中変形挙動を予測するための提案法による計算値と引抜き試験結果との比較検討を行い,その結果から得られる引抜き力-引抜き量関係はジオグリッドにかかる垂直応力に依存することから,補強盛土の変形を軽減するためには土とジオグリッド間の摩擦が十分に発揮されるような施工が必要なことを指摘している.また引抜き試験と土中クリープ試験の結果を比較し,両試験結果ともクリープ載荷荷重に達するまではほぼ一致した引抜き力-引抜き量関係を示すことを確認した.さらに,土中クリープ変形挙動の推定方法を示し,土中クリープ試験結果との比較を行った.その結果に基づいて,盛土全体の変形を含めた設計法を適用するためには,土中クリープ変形挙動の考慮が重要になることを指摘している.
  • 林 雄介, 井沢 淳, 石濱 吉郎, 桑野 二郎, 高橋 章浩
    2002 年 17 巻 p. 153-158
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオグリッドの引抜き特性には,地盤材料の特性が大きく影響すると考えられる.そこで本研究では,粒径の違いに着目し,平均粒径が異なる豊浦砂,ケイ砂5号,ケイ砂3号を用いてジオグリッドの土中引抜き試験を行い,その影響を調べた.その結果,粒径が大きくなるにしたがって引抜きせん断応力が増加し,最大引抜きせん断応力を与える引抜き量は大きくなることが分かった.また,この原因を明らかにするため,ジオグリッド引抜き時の地盤変形を観察した.その結果,粒径が大きくなるにしたがって,地盤の変形領域が広くなっていることが確認できた.より広範囲の変形を起こすには,大きな力が必要となるため,引抜きせん断応力が増加したのだと考えられる.
  • W. Kongkitkul, 平川 大貴, 龍岡 文夫, 内村 太郎
    2002 年 17 巻 p. 159-166
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    本研究では、2種類のジオグリッドの応力制御繰返し載荷試験を行い、異なる荷重レベルにおける残留変形(非可逆的な変形)挙動を系統的に検討を行った。繰返し載荷によって生じる残留変形挙動に与える荷重振幅、周波数、荷重レベルのそれぞれの影響を調べた。さらに、同様な荷重レベルでクリープ載荷を行った。これらの試験の結果を比較して、補強材の繰返し載荷による残留変形に対する材料粘性による載荷速度依存性の影響と、繰返し載荷そのものに起因する非時間依存性の影響を考察した。検討の結果、繰返し載荷によって生じる残留変形は、材料粘性による載荷速度効果が主要因であり、繰返し載荷そのものの影響は無視できることが確認された。
  • 嘉門 雅史, 諏訪 靖二, 福田 光治, 下野段 朋恵
    2002 年 17 巻 p. 167-172
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    プラスチックボードドレーン(PBD)の管理基準がIS-KOCHI(2000.9)で世界的視野で整理され,様々な基準や試験条件が存在することが明らかになった。またこれらの値にはばらつきが大きく,しかも値の導入根拠は必ずしも明らかではないことも分った。本論文では,試験条件として重要項目である動水勾配と,PBDの試料を包むラバーの影響について考察した。ここでは動水勾配を1とした時の通水量を定義し,それを根拠にして基準通水量を定義する。従来の式から求められる通水量を必要通水量と呼び,両者の関係を調べる。さらに芯材の圧縮,フィルターの変形特性に焦点を当て,拘束圧による通水量低減効果を調べる式を提案する。その式によって,フィルターあるいは試料を包むラバーの変形係数が大きく影響していることを示す。
  • 巻内 勝彦, 峯岸 邦夫, 塩野 真康, 増田 貴之
    2002 年 17 巻 p. 173-176
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    浸透水や高含水比粘性土など盛土体内の間隙水の集排水対策として,ジオテキスタイルやジオコンポジットのドレーン材を敷設する場合,土とドレーン材の複合体構造としての水理特性は,地盤材料単体の透水特性とドレーン材の面内方向通水性能および垂直方向(面外方向)透水性能が相互に関連する。今回はジオテキスタイル不織布を粘性土盛土内に水平敷設した場合を想定し,二次元室内モデル土槽を用いて,ジオテキスタイルドレーン材の厚さ,上載荷重,土の締固め度(湿潤密度と透水係数)などの条件を変化させ,土およびジオテキスタイルの各単体の水理特性と複合体のモデル解析の考察を行った結果を報告する。
  • 藤津 卓司, 竹内 敏明, 丸山 深直, 久保 幹男, 小浪 岳治, 川原 秀樹
    2002 年 17 巻 p. 177-182
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    帯状ジオシンセティックは,供用期間中に発生し得る地震時荷重に対して,その時点において有している残留引張り強度を適切に評価して設計に供されることが望まれている.本研究では軟弱地盤上の盛土を安定させるために実際に敷設された帯状ジオシンセティックを盛土から取り出して引張り試験を実施した結果とともに,動態観測の結果も報告する.敷設後数ヵ月~1年半,地中にて張力が作用していた帯状ジオシンセティックの残留引張り強度を敷設前の初期引張り強度と比較した強度保持率は,90%以上であることを確認した.
    このことから,供用期間中の地震時において期待する帯状ジオシンセティックの引張り強度は,クリープ低減係数が支配的となり定まる常時の引張り強度よりも大きく見込めることが示唆できた.
  • 安部 哲生, 緒方 健治, 福島 勇治
    2002 年 17 巻 p. 183-190
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    高強度帯状ジオシンセティックスは,敷金網工法に用いられるひし形金網と同様,軟弱地盤上に盛土を構築するにあたって盛土の安定が確保できない場合に,盛土の下部に敷設することで盛土の補強を図るために用いられる新しい補強材である.近年,日本道路公団の工事現場において,この高強度帯状ジオシンセティックスを用いた盛土補強工法の施工実績が増えつつある.その中で,高強度帯状ジオシンセティックスに発生する張力の実測値が,設計値に比べかなり小さい値を示すことが現場での計測から明らかになってきた.本論文では,高強度帯状ジオシンセティックスによる盛土補強効果を検証するために,大型一面せん断試験機を用いて,土と高強度帯状ジオシンセティックスとの複合体の強度発現機構についての基礎的検討を行ったものである.
  • 巻内 勝彦, 峯岸 邦夫, 星野 郁夫
    2002 年 17 巻 p. 191-194
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    土中にジオシンセティックス短繊維を混合することにより,見掛けの粘着力成分,靭性(粘り強さ、タフネス),極限強度(ピークせん断強さ),残留強度(変形追従性)などの力学的諸特性の向上、降雨や風化による法面侵食防止,植生緑化の促進による環境保全,等々の改善が図れる。また,低強度の建設発生土等の有効活用にも対処でき,広い用途に多機能性を有する工法として期待できる。しかしながら短繊維(一定の有限長)を土粒子の集合体に均一分散させた場合の内的補強メカニズムの解明とその補強現象の包括的把握はまだ確立されていない。本研究では,短繊維の補強効果を顕著に高め,将来的な短繊維リサイクルにも対応可能な横方向枝付きの短繊維補強材を用いて,土のせん断特性に及ぼす枝部の長さの影響と補強効果の定量評価について,大型一面せん断試験と一軸圧縮試験を用いて調べた結果を報告する。
  • 森口 周二, 八嶋 厚, 沢田 和秀, 弓良 知, 前田 英史, 松本 七保子, 間 昭徳
    2002 年 17 巻 p. 195-200
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    近年、多自然型河づくり、河川法の改正等により、自然生態系の保全を考慮した多自然型河川護岸工法が注目されている。本研究では補強土工法の新しい適用例として、「補強土河川護岸工法」を提案し、その設計・施工法の確立を目的とする。平成12年に実河川において、試験堤防(通水実験1号)を構築し、補強土河川護岸の部分的破壊現象およびその形態を確認した。また、同年9月に発生した東海豪雨により、補強土護岸天端部の侵食、盛土壁面部の吸出しを受けたが、補強土全体の破壊は見られず、補強土河川護岸が構造物として耐久性と護岸性能を有することが確認された。
    さらに、通水実験1号で確認された破壊形態をより詳細に把握するために、実大規模の破壊実験を行った。また、現在、通水実験1号および破壊実験の結果をもとに、実河川に通水実験2号を再構築し、長期挙動観測を実施している。
  • 安原 一哉, 村上 哲, 小峯 秀雄, Juan A. RECIO-MOLINA
    2002 年 17 巻 p. 201-206
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    不織布によって補強された水際線盛土護岸が波浪の繰返し作用を受ける際の安定性に関する室内実験を行なった結果、(1) ジオシンセティックス同士を縫合すること、(2) 盛土護岸の前部にモルタル注入して強化すること、によって安定した盛土護岸になりうることを示した.このような実験結果に基づいて、この種の補強護岸の設計法(特に、ジオシンセティックスの敷設間隔と敷設長さ)を提案した.
  • 佐々木 康, 福渡 隆, 坂本 泰正, 加納 誠二, 澤田 俊一, 上熊 秀保
    2002 年 17 巻 p. 207-214
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオシンセティックス技術情報誌2001.11にて「ジオテキスタイルを敷設した堤防の鳥取県西部地震時の沈下」と題して,底部にジオグリッドを敷設した堤防区間の大部分が鳥取県西部地震時に健全であったことを報告した.その後,堤防基礎地盤の再調査,沈下量の比較的大きかった断面での開削調査を行って,地盤状況ならびにジオグリッドの変形状況を調べた.地震時の堤防の変形量に関する記録とこれらの調査結果をもとに,地盤液状化時のジオグリッドによる堤防変形抑制効果について検討した結果を報告する.
  • 竜田 尚希, 伊藤 修二, 水間 優夫, 本村 憲一
    2002 年 17 巻 p. 215-220
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    高速道路本線における盛土で,用地の問題から急勾配盛土を構築する場合,現地発生材の有効利用がはかれることや,自然に調和した構造物が構築できる事から,近年,ジオシンセティックスを使用した補強土壁が多く採用されている.しかし,盛土内のジオシンセティックスが車両の走行による繰り返し荷重により,どのような影響を受けているのか不明確である.ここでは,工事区間の迂回路として3ヶ月間本線として供用された補強土壁を対象に,供用中にジオシンセティックスに発生するひずみ,および車両走行時の繰り返し荷重による動的ひずみを測定した.また,撤去後のジオシンセティックスの強度確認を行い,高速道路本線での補強土壁の安定性についての確認を行った.
  • 内村 太郎, 柴田 芳雄, 平川 大貴, 伊藤 寛倫, 龍岡 文夫, Dong-Hee KO
    2002 年 17 巻 p. 221-226
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオテキスタイル補強土構造物の常時の性能として、上部構造物の荷重と自重による定荷重、および交通荷重などによる繰返し荷重に対する変形性が重要である。このような変形を予測するためには、盛土材の定荷重、繰返し荷重に対する変形特性を知る必要がある。これらの性質について、補強土橋脚の小型模型への載荷試験、盛土材の三軸圧縮試験、および実現場の補強土構造物の長期計測・載荷試験の結果から、考察を行う。
  • ゴーシュ チャンダン, 安原 一哉, 小峯 秀雄, 村上 哲, 榊原 務
    2002 年 17 巻 p. 227-233
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    この論文は、静的鉛直戴荷を受けるジオコンポジット補強砂地盤に関する小型模型試験結果によるジオコンポジットの変形パターンについて述べる。相対密度(Dr=32%,70%,89%)の砂地盤に敷設長と深さを変えた模型実験を行った。条件を変えた試験結果を比較した結果、長さ(L)とジオコンポジットの敷設深さが2.5B(フーチング幅:B)、0.4Bのとき補強効果が得られることが分かった。さらに、補強部分の変形パターンを詳細に観察した結果を用いて、ジオコンポジット層を、あらかじめV字型とお椀型の2種類の形状に敷設をして、実験を行った。その結果、V字型の場合水平に敷設した場合に比べて大きな支持力の増加をもらたすことが分かった。
  • 嵯峨 嘉邦, 間 昭徳, 竹内 則雄, 草深 守人
    2002 年 17 巻 p. 235-240
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    現在、道路盛土において、鋼製壁面材を使用したジオグリッド急勾配補強土壁が急速に普及している。これらで、補強材(ジオグリッド)の配置が千鳥配置にて施工された事例が国内で1,000件以上ある。しかし、現在の設計法では延長方向におけるジオグリッドの敷設配置について明確に示されていない。本論では、延長方向の配置形状設計方法を確立する第一歩として、全面配置と千鳥配置による模型引抜き実験、模型載荷実験を行った。その結果、千鳥配置の安定性を確認した。
  • 吉田 浩一, 横田 善弘, 久保 哲也, 吉田 眞輝
    2002 年 17 巻 p. 241-244
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    近年,ジオグリッドを用いた補強土壁工の法面部の処理方法は,土のうを巻き込む方式から鋼製壁面材を用いた工法に移り替わってきた.鋼製壁面材は,土のうを巻き込む方式と同等以上の壁面効果,拘束効果を発揮することが,数多くの施工により実証されている.それに伴い,剛性の異なるさまざまな鋼製壁面材も数多く施工されている.しかし,実際にはそのような壁面材がどの程度,拘束効果を発揮しているのか明確になっていない.そこで,本研究では,剛性の異なる壁面材を用いた試験盛土を構築し,壁面材の変位及び壁面材付近の締固め度を計測することにより,壁面材背面土塊の拘束効果を確認した.
  • 久保 哲也, 横田 善弘, 吉田 眞輝, 荒井 克彦, 篠原 久雄, 竹内 一介, 和田 秀一
    2002 年 17 巻 p. 245-250
    発行日: 2002/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    狭小な地形条件や大きな落石エネルギーに対応できるジオシンセティックスを用いた落石防護擁壁の研究は,50kNの重錘を高さ20mの高さから鉛直落下させるなどの実験を行い,衝撃吸収性能やメカニズムについて基礎的な研究を実施してきた.その結果,防護機能を十分に発揮し,安全な構造物であることが確認できた.しかし,実際の落石は軌跡や挙動が重錘を鉛直落下させた場合とでは異なると考えられる.そこで,今回の実証実験では,一般国道305号沿線に落石防護擁壁を構築し,形状の異なる岩石を高さ30mの斜面上から落下させ,その衝撃力が防護擁壁に与える影響を確認するとともに,安全な構造物として実証することを目的として行った.実験では,落石防護擁壁の設計時に近い落石衝撃力が計測された.しかし補強土壁の天端付近に生じた鉛直変位および壁面の水平変位は微小であった.ここでは,この実証実験の結果を報告する.
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