ジオシンセティックス論文集
Online ISSN : 1883-146X
Print ISSN : 1344-6193
ISSN-L : 1344-6193
27 巻
選択された号の論文の28件中1~28を表示しています
特別講演
  • 古関 潤一
    2012 年 27 巻 p. 1-
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    ジオテキスタイルをフィルター材として土中の排水工に敷設した場合,土粒子の侵入・捕捉に伴った目詰まりによる垂直方向透水性能の低下が予想される.これまで,著者の研究グループは,ジオテキスタイルをフィルター材として用いたときの垂直方向透水性を検討することを目的として,ジオテキスタイルを試料土層と礫層の間に挟んだ供試体に,動水勾配i = 1 及び 4 として,定水位透水試験を実施し,ジオテキスタイルに生じる目詰まり量を単位体積目詰まり量として算出した値を用いて,ジオテキスタイルフィルターの垂直方向透水性について比較・検討してきた。本稿では,目詰まり特性を評価するための試験方法や目詰まり特性に密接に関係するジオテキスタイルの見かけの開孔径試験方法の妥当性の検討,さらに,これまで実施してきた定水位透水試験の結果に基づいてジオテキスタイルフィルターの目詰まり特性について論じる.
論文
  • 平川 大貴, 宮田 喜壽
    2012 年 27 巻 p. 11-18
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    降雨や地震という作用力に対して,斜面上で集水地形にある谷埋め盛土は安定性が高くない.近年では,巨大地震で崩壊した谷埋め盛土をジオシンセティックス(GSY)補強土擁壁で機能を強化して復旧する事例が増えている.この様な復旧によって盛土は耐震性能だけでなく降雨時安定性も向上しているものと考えられるが,その効果は未解明である.本研究では,谷埋め地形にジオシンセティックス補強土擁壁を適用する事による降雨時安定性の変化を室内模型実験により検討した.また,盛土内への雨水浸透に対して速やかに排水することの重要性を示し,構造物の長期耐用年数を勘案してメンテナンス可能な水平排水管を併用することを提案してその効果を実験的に調べた.その結果,法先をGSY 補強土擁壁で押さえつつ,水平排水管を設置することで斜面上盛土の降雨時安定性を強化することができることを確認した.
  • Luky HANDOKO, 安福 規之, Harya DANANJAYA
    2012 年 27 巻 p. 19-24
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    本研究は,ジオテキスタイルを用いたキャピラリーバリヤーシステムに関連して,ジオテキスタイルの不飽和状態から飽和状態における水分保持曲線を精度よく求めるための試験方法を新たに提示し,その結果について検討したものである. 具体的には,まず,乾燥過程と浸潤過程における不織布の水分保持曲線を求めるための新たな試験方法として,従来の毛管上昇試験を傾斜させて行う方法を提案し,その妥当性を議論している. また,水分保持特性から不織布の不飽和透水係数を評価する方法について考察している. そして最後に不織布を水平に挿入した1 次元のカラム実験を行い,不織布を挿入することによるキャピラリィー効果(水の浸透を遅らせる効果)を調べている.
  • 梅崎 健夫, 河村 隆, 西田 健吾, 早川 典, 石井 大悟, 志賀 信彦
    2012 年 27 巻 p. 25-30
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    湖沼や河川などの富栄養化対策や福島第一原発事故による放射性セシウムの除染対策などとして,ゼオライト機能紙とジオシンセティックスを用いた浄化システムを提案し、その概要および適用例に示した.ゼオライト機能紙は,パルプに天然ゼオライト(粒径0.5mm未満)を250g/m2担持させたものである.提案したシステムの有効性を検証するための端緒として,ゼオライト機能紙のアンモニア態窒素およびセシウム(安定同位体)イオンを含む水溶液に対する吸着試験を実施した.その結果,ゼオライト機能紙への吸着は短時間で生じ、同じ粒径の天然ゼオライトと同等の吸着性能を有していること,一旦吸着すると容易に剥離しないこと,不織布による被覆によって天然ゼオライトの脱落を防止できることを明らかにした.
  • 梅崎 健夫, 河村 隆, 河崎 彰, 大寺 正志, 西田 健吾
    2012 年 27 巻 p. 31-38
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    高含水比土の脱水減容化の濁水のろ過処理における簡易で移設可能な低コストの処理方法として,マルチドレーン真空脱水法を提案し,その概要および特徴について論じた.また,諏訪湖において浚渫した底泥を脱水減容化する実証実験を実施した.そして,同時に実施された4MPaの高圧フィルタープレスとの比較も行った.さらに,濁水の室内ろ過実験を実施した.それらの結果,小規模で簡易な設備による1時間以内の作業工程によって易姓限界程度まで脱水できること,同じろ過面積及び浚渫土量に換算した場合には4MPaの高圧フィルタープレスの約3.3バイ以上の処理能力をゆうすること,ドレーン表面に付着した土粒子がフィルターの役目となり,排出水の透明度を向上させ,濁水処理においても有効であることを明らかにした.
  • Angelica NAKA, 勝見 武, 太田 岳洋, FLORES Giancarlo, 乾 徹, 高井 敦史
    2012 年 27 巻 p. 39-46
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    シンセティッククレイライナー(GCLs)には重金属の固化効果が期待できるため,これまで廃棄物処理場の底部遮水ライナーや,酸性廃水(ARD)を生じる可能性のある掘削ずりの封じ込め等に用いられてきた.しかしARD中の有害物質の一つである砒素は陰イオンとして存在することから,陽イオンとの親和性があるGCLs中のベントナイトに吸着されにくい.本研究では,既往研究で著者らが実施したベントナイトへの膨潤試験,吸着試験,GCLsの透水試験の結果をとりまとめ,鉄の存在が砒素のベントナイトへの固化効果,GCLsの遮水性能に与える影響について考察を行った.その結果約4500mg/Lの鉄イオン等,高濃度で金属イオンが存在する場合にはベントナイトの膨潤量が低下しGCLsの透水係数が上昇することが明らかとなった.GCLSの透水係数は条件にかかわらず透水試験実施期間を通して低い透水係数を示したものの,透水溶液にARDを用いた場合,5.0×10^-10m/sであり,水を用いた場合の1.4×10^-11m/sと比較して1オーダー高い値を示した.単一金属イオン溶液を用いた吸着量が増加することがわかった.異なる希釈濃度のARDを用いた場合には、AARD濃度が高く金属イオン濃度が高くなるほど砒素の吸着量も増加することがわかった.これらの結果からGCLsそのものの砒素吸着能は低いものの鉄の存在かでは砒素が吸着されうると言え,底部遮水層として砒素の吸着を見込む場合においては鉄を含有する層を複合的に設置する必要があると考えられる.しかしARD中に鉄が存在する場合にはそれが砒素の固化に寄与するためふようであると考えられる
  • 西村 正樹, 赤井 智幸, 嘉門 雅史
    2012 年 27 巻 p. 47-54
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    埋め立ての終了した廃棄物最終処分場では,閉鎖時に最終カバー層が設置される.この最終カバー層に用いるキャッピング材料として,筆者らは,ガス透過性と遮水性を併せ持つ微多孔膜と,微多孔膜を保護し施工耐性を付与する不織布から構成されるガス透過性防水シートを開発し,その適用性を評価してきた.本研究では,勾配1:2.0の盛土斜面内で50 cm覆土下に埋設され,3年が経過したガス透過性防水シートについて,土中での経年耐久性を評価した.また,熱融着接合部の性能評価を行った.その結果,斜面施工後3年が経過した状態でも,ガス透過性防水シートの基本性能である遮水性,ガス透過性,力学特性が初期性能を維持していることが確認された.さらに,このガス透過性防水シートは,接合部の遮水性を保持しつつ現場での熱融着接合を可能にするために,工場製造段階であらかじめ端部に加熱圧縮処理を施すが,この処理により,100 cmの水頭圧に対しても接合部の遮水性が確保できることがわかった.
  • 島岡 隆行, 中山 裕文, 勝見 武, 上田 滋夫, 平井 貴雄, 弘中 淳市
    2012 年 27 巻 p. 55-60
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    廃棄物最終処分場は,一般的に供用期間15年を目安に設計されているが,廃止基準に達するまでの期間は30~50年とされている.この様に,長期に亘って供用される遮水工の耐久性を評価するための適切な試験方法と結果の評価手法の確立が急務となっている.また,廃棄物最終処分場に用いられている遮水シートの長期耐久性について公開されている情報は限られており,少ないのが現状である.そこで,IGS日本支部 ジオメンブレン技術委員会第Ⅳステージでは,遮水シートが施工されて一定期間が経過した埋立地において遮水シートを採取し,その特性の経年変化を調査した.本論文では,採取した遮水シートの室内引張試験結果および検討結果に基づいて遮水シートの耐久性評価方法を提案する.
  • 山口 晋平, 柳沢 舞美, 川邉 翔平, 龍岡 文夫, 二瓶 泰雄
    2012 年 27 巻 p. 61-68
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    2011年東日本大震災では,多くの場所で防潮堤の盛土が越流津波によって浸食されて崩壊し,機能を完全に喪失した.これは,従来形式の防潮堤が被覆工で三面張りしてあるが,盛土が無補強である事が原因と考えられる.そのため,越流津波によって被覆工が剥ぎ取られて盛土が浸食されて壊滅してしまった.これを克服するために,盛土をジオシンセティックで補強し補強材と被覆工を連結させることによって盛土と被覆工が一体となり高い耐震性を持ち越流津波に粘り強く抵抗できるGRS防潮堤を提案する.このGRS防潮堤と従来形式の防潮堤等を用いて系統的な小型模型実験を実施した.越流津波を再現するために段波を発生させ,模型の残存率を比較する事によってそれぞれの模型の安定性を評価した.その結果,GRS防潮堤は越流津波に対する安定性が高い事が示された.
  • 安原 一哉, 薄井 隆義
    2012 年 27 巻 p. 69-76
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    本文は,2011年3月11日東日本大震災で地盤沈降を起こした沿岸域の一地域を例に取り上げ,そこにおける地盤沈下影響の実情と今後の対応策について考察した.当該地域は,地盤沈降によって,約1m沈下を受けている.現在は,応急復旧として,土のう敷設と矢板打設で応急的に浸水対策を講じている.この土のうとさらにやや高品質のジオシンセティックスを併用することによって,応急的復旧よりは,やや耐久性のあり,靭性のある本復旧や強化復旧対策になりうる可能性を示唆した.また,この地域に限ったことではないが,現在もすでに,海面上昇の影響を受けていることから,地盤と海面の長期的モニタリングの必要性とともに,海面上昇も考慮したジオテキスタイル利用による長期的適応策の必要性と可能性についても併せて強調した.
  • 藤田 智弘, 小橋 秀俊, 藪 雅行, 中根 淳, 宮田 喜壽
    2012 年 27 巻 p. 77-83
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    2011東北地方太平洋沖地震によって,1995年より挙動観測を継続してきた高さ8mのジオグリッド補強土壁に被害が生じた.著者らは補強土壁に作用した地震波形分析と被害調査を行った.これらの結果を,補強土壁の構築条件,施工中・施工後の挙動と合わせて分析することは,信頼性ベースの限界状態設計法確立の設計モデル,部分安全係数の設定のために有益である.本論文では,調査対象の補強土壁に作用した地震作用,基礎地盤と壁面変形に関する被害調査結果,土木研究センターマニュアルによる地震時安定解析結果を報告する.
  • 岡村 昭彦, 倉田 正博, 佐伯 博之, 杉本 昌由, 村井 信康
    2012 年 27 巻 p. 85-88
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    東日本大震災において,東北地方沿岸部は甚大な津波被害を受けた.大量の瓦礫が津波により,海に流される一方で,大量の海砂を含む海水や土砂が,田畑や水路に運び込まれ,堆積している.水田における一般的な除塩方法として,大量の真水で洗い流す方法が農水省の除塩マニュアルにも示されているが,水路自体が堆積土砂で閉塞している場合もあり,早急な浚渫が必要とされている.一般に,浚渫土砂は処分場に運び適切な処置が施されるが,被災地には処理できない大量の瓦礫が山積みされており,浚渫土を受け入れる施設が十分に確保されていないのが実情である.エコチューブは浚渫土をジオテキスタイルの袋に詰めて,脱水後は移動して盛土として利用でき浚渫土の有効利用が可能になる.このエコチューブは土木研究所と民間会社が開発した工法で,ため池や港湾に堆積した底質をポンプ等で袋に詰めて,ジオテキスタイルの透水性を利用して高含水比の粘性土や河川・湖沼などに堆積している軟弱な土を充填して脱水・減量化すると共にジオテキスタイルの張力を利用して積み重ねて盛土等に有効利用することができる.特に袋の内側に形成されるフィルター層により,土粒子や浮遊物質に強く吸着している汚染物質を土粒子と共に袋内に封じ込めることができ,脱水時の排出水をきれいにすることができる.2011年7月と9月に石巻市内において,エコチューブの施工を行い,袋を地盤沈下した冠水地域に運搬して利用することで,浚渫土の有効な利用を行うことができた.
  • 辻 慎一朗, 竜田 尚希, 石垣 勉, 太田 秀樹
    2012 年 27 巻 p. 89-92
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    アスファルト舗装の地震対策型段差抑制工法は,粒状材料(粒度調整砕石)による粒状層に,ジオグリッドを層状に敷設して,拘束部材で拘束した構造であり,路床の上部に設置される.地震対策型段差抑制工法に対して,大規模地震動の発生時に,構造物と土工部との不同沈下によって路面に生じる段差を抑制する効果を確認するための実物大現場実験を行った.その結果,構造物と土工部の間に不同沈下が生じたとしても,車両の走行性が確保できる程度に,路面に発生する段差の発生を抑制できることを確認した.本論文では,地震対策型段差抑制工法の構造と,現場実験で確認されたアスファルト舗装の段差抑制効果とそのメカニズムについて報告する.
  • 野中 隆博, 小島 謙一, 米澤 豊司, 佐藤 貴史, 森野 達也, 青木 一二三
    2012 年 27 巻 p. 93-100
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    新幹線盛土のような高性能盛土の盛土材として適さない建設発生土の有効利用を図るために,盛土内に地盤改良杭を打設し,それによりコンクリート路盤を支持する新しい盛土構造(パイルスラブ式盛土)の開発を行っている.これまで,1/10スケールの振動実験等によりその効果の確認を行ってきた.その結果,地震時において無対策時と比較しコンクリート路盤の沈下が大幅に抑制されることが確認された.しかし,杭頭部とコンクリート路盤間の砕石の抜け出しにより,コンクリート路盤が想定よりも沈下していることが確認された.本論文では,砕石の抜け出しを防止するために考案した改良杭頭部ジオテキスタイル土のうについて,載荷試験結果より得られた特性について述べるものである.
  • 佐藤 恭兵, 小峯 秀雄, 村上 哲, 安原 一哉, 菅野 将人
    2012 年 27 巻 p. 101-108
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    ベトナム北部紅河流域では,堤防の各所で浸透破壊が発生しており,破堤被害が頻発している.そのため,補強対策を行う必要がある.また,紅河流域では,稲作が盛んであり,藁などの自然由来の繊維材が低コストで入手可能なことから,自然由来の繊維材を用いた補強対策が有効であると考えられる.そこで,本研究では,自然由来の繊維材を用いた短繊維混合土の浸透破壊抵抗性を調査し,補強効果を実験的に評価することを目的とした.紅河流域における土質材料が入手困難なため,粒度組成を模擬した材料を作製し,短繊維混合および無混合の供試体の浸透破壊抵抗性の差異を実験的に調査した.その結果,砂分含有率が68%以上の土質材料では補強効果が認められた
  • 加賀 宗彦, 佐々木 隆
    2012 年 27 巻 p. 109-112
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    突起付き 3 軸ネット補強材が開発された.この補強材は滑動抵抗の強化と補強範囲の増加に特徴がある.本研究はこの突起の引抜き補強効果について基本的な調査をした.実験は 3 軸ネット補強材をモデル化した鉄製の補強材を作製して突起の本数を変えた引抜き試験を行った.結果として突起付補強材の引抜き抵抗は突起のないプレート補強材に比較して大きな引抜き力を示した.また引抜き力は載荷応力の大きさにも比例した.これらの結果から,突起の補強効果をプレートアンカーの補強メカニズムを参考に突起係数を導入して検討してみた.この突起係数は受動土圧係数と類似の係数となった.この突起係数に突起の断面積と土被り圧を乗じることで突起による引抜き力または滑動抵抗の増加力を予測できることが検討できた.
  • 渡辺 健治, 栗山 亮介
    2012 年 27 巻 p. 113-120
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    本研究ではジオシンセティックス補強土一体橋梁の設計法の確立のために,粒度調整砕石中に敷設したジオグリッドの引抜き試験を行った.引抜き試験では特に補強材の引抜き剛性に及ぼす拘束圧の影響,補強材料の影響に着目した.拘束圧を変化させた試験では拘束圧が高いほど引抜き剛性は高い結果が得られた.これは拘束圧の増加に伴い,粒度調整砕石-補強材間の摩擦抵抗が増加しただけでなく,補強材の伸縮領域が減少したことに起因していた.また,同一の拘束圧でも剛性の高い補強材を用いた場合,粒度調整砕石内での補強材の伸びひずみ量が小さくなるため,粒度調整砕石-補強材間での相対変位が小さく,有効な摩擦抵抗力が広域で発揮されやすくなることが分かった.
  • 山中 光一, 峯岸 邦夫, 下邊 悟
    2012 年 27 巻 p. 121-126
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    通常の地盤材料に超軽量なジオフォーム(以下,発泡ビーズと呼称)を混入させ新たな機能を付与する発泡ビーズ混入軽量化土がある.この発泡ビーズ混入軽量化土は,母材として建設発生土を用いることができるため,建設発生土再利用の一手段にもつながる.しかし,路床土への適用性は確認されているが,その上に構築される舗装を設計する際の設計定数に関する研究は進んでいないのが現状である.本研究は,舗装下の路床土として発泡ビーズ混入軽量化土を用いた場合の設計定数,その推定式を明らかにさせる一連の研究のうち,設計定数であるCBRと弾性係数に及ぼす発泡ビーズ混入率と固化材混入率の影響の把握を目的に行った.供試体は作製後,7日間養生後に,CBR試験,レジリエントモデュラス試験を行い試験結果の考察を行った.
  • 野添 重晃, 葛西 祥男, 金子 賢治, 松井 和己, 熊谷 浩二
    2012 年 27 巻 p. 127-132
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    短繊維混合補強土とは,土または安定処理土にポリエステルやポリプロピレンなどの短繊維を混合したもので,強度・靭性(ねばり強さ)などの力学的特性の向上や,降雨・流水などに対する耐浸食性の向上,植生の引抜き抵抗の向上といった効果を持つ新しい地盤材料である.本研究では,硅砂5号と硅砂6号に短繊維を混合した短繊維混合補強砂について,三軸圧縮試験(CD試験)を行い,強度・変形特性に対する補強効果について検討を行った.特に,短繊維の混合率と強度特性・変形特性の関係に着目して考察した.その結果,強度については,2種類の材料ともに明確に最適な混合率が存在し,混合率を増やしすぎると強度が低下することがわかった.また,変形特性については,混合率が増加するほど初期勾配が低下することや混合率が増加するほど正のダイレイタンシーが小さくなることなどがわかった.
  • 小竹 望, 裏山 昌平, 松原 三郎
    2012 年 27 巻 p. 133-140
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    繊維補強固化処理土は,固化改良に加えて繊維補強を施す複合的な効果により,脆性を示す固化処理土に靭性を与えた土質材料である.筆者らは、繊維補強固化処理土によって造成される面状の改良体を検討対象として,遮水工としての構造安定性や土構造物の耐震補強材としての適用性を検討している.本研究では、一連の一軸圧縮試験、曲げ試験、引張試験を実施して、繊維補強固化処理土の強度変形特性を把握した.実験における供試体破壊状況の観察に基づき、梁状部材の応力分布モデルとして,はりの中立軸が圧縮側に移動しながら引張側と圧縮側が降伏していく曲げ応力分布モデルを提案した.
  • 龍岡 文夫, 黒田 哲也, 山口 晋平, 川辺 翔平, 舘山 勝, 渡辺 健治
    2012 年 27 巻 p. 141-148
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    従来形式の橋梁の各種問題を解決するために,GRS 一体橋梁(新設)と NRS 一体化橋梁(既設橋梁の補強)を開発した.前者は,ジオシンセティック盛土を建設してから剛な一体壁面工を建設した後,桁を壁面工と一体的に建設する.後者では,既設橋台に連結した太径ネイルで盛土を補強して桁を橋台と一体化する.その結果,温度変化に伴う桁の伸縮による橋台の繰返し水平変位によって生じる盛土の沈下と土圧増加による損傷を抑制できる.また,1)初期剛性が増加して 2)動的載荷による剛性低下が遅くなり,強震時に共振しにくくなる.また, 3)減衰比が大きくなるので応答加速度は低くなる.以上から,応答加速度の設計値を小さく設定できる.また,4)破壊が開始する応答加速度(動的強度)は高くなる.これら四つの要因によって,高い耐震性を発揮できる.
  • 栗山 亮介, 小島 謙一, 森野 達也, 渡辺 和之, 青木 一二三, 山田 康裕
    2012 年 27 巻 p. 149-156
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    著者らは橋桁と橋台を一体化させた一体橋梁において,気温変化により上床版の膨張・収縮に伴って生じる背面盛土の沈下,および側壁に作用する土圧増加の課題を解決する工法として,一体橋梁と補強土構造を一体化させた補強盛土一体橋梁の開発を行ってきた 1) 2).北海道新幹線で補強盛土一体橋梁が施工されており,上記の問題に対して効果を確認するため施工時および長期動態計測を実施している.その結果,ジオテキスタイルを介して補強盛土と一体橋梁が一体として挙動していることから,橋桁の熱伸縮に伴う背面盛土の沈下の課題を解決できるものと考えられる.また,補強盛土一体橋梁の施工完了(2011 年 12 月)から現在(2012 年 5 月)まで,構造物に大きな変形は生じていないことを確認した.
  • 須賀 基晃, 野中 隆博, 栗山 亮介, 小島 謙一, 神田 政幸
    2012 年 27 巻 p. 157-164
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    上・下部工を一体化しラーメン構造としたインテグラル橋梁は,断面形状のスリム化および支承の省略が可能であり,欧米で道路橋として広く用いられている.しかし,気温の季節変動による上床版伸縮に伴う背面盛土の沈下や土圧増加に伴い側壁が損傷する問題がある.著者らはこの問題を解決する新しい構造形式としてインテグラル橋梁の背面を補強土体とした補強盛土一体橋梁(GRS 一体橋梁)を提案している.今回,L2 地震時や温度変化における補強盛土一体橋梁の挙動や損傷を確認するため,実大規模試験橋梁で水平載荷試験を実施した.結果,温度変化による水平載荷試験では背面盛土の沈下および土圧増加はほとんどなく,本構造の安定性を確認した.また,L2 地震相当の水平力に対して大きな損傷はなく,高い耐震性を有していることが解った
  • 許 晋碩, 澁谷 啓
    2012 年 27 巻 p. 165-172
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    近年,地盤内構造物の建設技術が飛躍的に進展し,我が国のような狭い国土においても立体的で効率的な土地利用が可能となってきた.例として,宅地,道路あるいは鉄道の既存盛土構造物中に,周辺環境や交通をそれ程阻害することなくコンクリートボックスを挿入する工法,比較的薄いプレキャストコンクリートアーチカルバートを補強盛土内に設置する低コストなトンネル工法,等が注目されてきており,施工実績も着実に増加している.このようなコンクリートカルバートの設計では,地盤工学だけでなく構造工学の知識が要求される.一方,盛土のような地盤構造物の設計においては,施工に伴う基礎地盤や盛土の変形を陽な形で取り入れた性能設計法の導入は未だ不十分な状況にある.本研究では,アーチカルバートの新設工事中に発生した亀裂・変形トラブルに対してその原因を究明し,工事再開のために採用した対策工について記述している.
  • 近藤 誠二, 寺田 成人, 白柳 龍太郎, 弘中 淳市
    2012 年 27 巻 p. 173-176
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    高強度ジオグリッドをマットレス状に組み立て,中に中詰め石を充填して設置する長尺マットレス工法は,重機による吊り上げ施工によって短期施工および水中施工が可能であること,フレキシブル構造により地表面形状に追従し易いこと,合成樹脂製であるために錆びの心配がないことから,堤防や砂浜の侵食防止,河床の洗掘防止などに適用されている.また近年では災害対策用として備蓄され,災害時には早急な復旧対策に活用されている.本報では,本工法の概要と特徴を示し,その適用事例について報告する.
  • 原 隆史, 辻 慎一朗, 吉田 眞輝
    2012 年 27 巻 p. 177-182
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    本研究は,RC構造物と同程度の規模の独立した補強土擁壁を実現し,建設事業におけるCO2 排出量削減とコスト縮減に資することを目的としている. これまでの研究では,実物大規模の静的水平載荷試験や衝撃載荷試 験,および動的遠心模型実験などからその実用性を確認してきた.本論文では,これらの実験結果を再現し得る簡易な外的安定照査手法を提案しているので報告する.
  • 伊藤 修二, 竜田 尚希, 辻 慎一朗
    2012 年 27 巻 p. 183-188
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    二重壁構造を持つジオテキスタイル補強土壁は,ジオテキスタイルで補強された補強盛土体と壁面材(コンクリートパネル)の間に,排水層を設けた二重壁構造をもつ構造である.この補強土壁に対して,多くの現場で動態観測を行い,常時の安定性の確認を行ってきた.その結果,本補強土壁が安定した工法であることを確認した.さらに,本補強土壁の完成後の安定性を確認するため,動態観測と併せて数値解析を行った.本論文では,最大高さ14.2mの補強土壁に,高さ25mの上載盛土が構築された高盛土に対する動態観測と数値解析を行い,本補強土壁の常時の安定性を確認した結果を示す
  • 佐藤 厚子, 鈴木 輝之, 久保 哲也, 西本 聡
    2012 年 27 巻 p. 189-192
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/21
    ジャーナル フリー
    寒冷地では,ジオテキスタイルを用いた壁面緑化タイプの補強土壁が凍上により変形する事例が報告されている.これまでの検討の結果,凍上性の低い材料である礫による置換が凍上による変形を最も抑制できることがわかった.そこで盛土の凍結深さを抑制する試みとして,断熱効果が期待される堆肥を礫材に混合して盛土の凍結深さの低減を図った.その結果,礫材に堆肥を混合することにより,凍結深さが小さくなり,若干ではあるが,凍上量が低減し,礫材との混合土に緑化できた
feedback
Top