ジオシンセティックス論文集
Online ISSN : 1883-146X
Print ISSN : 1344-6193
ISSN-L : 1344-6193
35 巻
選択された号の論文の31件中1~31を表示しています
論文
  • 石藏 良平, 安福 規之, 横田 善弘, 辻 慎一朗
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 1-6
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    軟弱地盤対策の一つとして,マットレス補強工法が適用されている.著者らは,本工法の更なる支持力改善を目的として,盛土直下のマットレスの両端に大型土のうを設置した新たな構造形式を提案している.本論文では,アルミ棒積層体を用いた載荷試験により,マットレスの両端に土のうを模した壁式の突起を設けることによる支持力改善効果を検証した.また,近年,狭隘な土地でのマットレス補強工法の適用が求められており,載荷幅に対する最適なマットレス幅の決定方法が,実務上重要な課題となっている.そこで,本研究で提案する新たな構造形式にも適用できる評価方法の確立に向け,同一の載荷試験装置を用いて,載荷幅とマットレス幅の関係に着目した一連の模型実験を実施した.実験結果に基づき,所定のマットレス幅に対して支持力の改善を期待できる最適な載荷幅を決定するための方法について検討を行った.
  • 山中 光一, 峯岸 邦夫, 橋本 凌
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 7-14
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    ジオセルを用いた工法は,セル内に充填する地盤材料を拘束することによる支持力増加や版状に形成されたジオセルによる応力分散効果が期待できることから,近年では様々な場所への利用が検討されている.しかし,ジオセルによる補強効果は,ジオセルの材料条件(セル高さやセル面積等)により発揮できる効果は異なる.設計方法等を検討していくためにも,ジオセルの材料条件が補強効果に及ぼす影響やその影響度を把握することは重要である.そこで本研究では,ジオセルの高さ,セル面積,展開面積を変化させた模型地盤を作製し,室内載荷試験により得られた結果から補強効果に関する推定式を求め,各材料条件が補強効果に及ぼす影響度について考察を行った.
  • 篠田 昌弘, 髙倉 太希, 宮田 喜壽
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 15-22
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    補強土擁壁は盛土内に配置した補強材の効果により粘り強くレジリエンス性能が高い構造物である.これまで補強土擁壁の耐震性に関する加振実験は多数実施されてきたが,レジリエンス性能に着目した加振実験は実施例が少ない.本研究では,永久磁石式振動台を用いて,無補強擁壁と補強土擁壁の長時間加振実験を実施して,レジリエンス性能の比較を実施した.計測項目として,擁壁と盛土の加速度と変位,擁壁内部に埋め込まれた土圧計で縦壁とフーチング底面に作用する土圧,補強材張力を計測した.無補強擁壁は,支持地盤の降伏により比較的小さい加振エネルギーで崩壊したが,補強土擁壁は比較的大きい加振エネルギーを与えても崩壊せず,高いレジリエンス性能を示すことが確認できた.
  • 小山 真輝, 川尻 峻三, 倉上 由貴, 佐名川 太亮, 森山 晃行
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 23-28
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    近年,洪水規模の拡大によって旧型式の鉄道橋りょうの橋台背面盛土において,侵食および流失被害が発生している.しかし,河川増水時の鉄道盛土の侵食・流失過程の基本的なメカニズムは明らかとなっていない.そのため,河川増水に対するRRR-B工法による強化復旧工の実績は少ない.そこで本研究では,旧型式の鉄道橋台を再現した模型橋台背面盛土を作製し,開水路実験を行った.この実験から鉄道橋の橋台背面盛土特有の侵食・流出メカニズムと,RRR-B工法による対策効果の検証を行った.その結果,翼壁と腰土留め背面にRRR-B工法による強化復旧工を行った場合には,盛土内にジオグリッドが敷設されるため,盛土内部の侵食・吸出しおよび盛土のり面陥没・崩壊の発生が抑制された.
  • 土屋 海渡, 井塲 道夫, 中山 裕文, 島岡 隆行
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 29-36
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    本研究では,施工後20年以上が経過した3ヶ所の一般廃棄物最終処分場において,日光に直接暴露された遮水 シート,遮光性保護マット下の遮水シート,廃棄物に埋没した遮水シートを対象とし,引張試験,表面観察,粗さ 測定のデータを基に,法面の日光の向きや暴露状態が劣化の進行に及ぼす影響を検討した.その結果,日光に直 接暴露された遮水シートと比較して,保護マット施工部と廃棄物埋没部の遮水シートは,シート表面に発生した 亀裂が小さく,力学特性についても初期の性能を維持していることが分かった.また,直接暴露部,保護マット施 工部,廃棄物埋没部で遮水シート表面温度は異なり,それらと総日射量を考慮した指標を算出したところ,力学 特性との間に負の相関があることが分かった.
  • 劉 爽, 川口 貴之, 川尻 峻三, 中村 大, 小笠原 明信
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 37-44
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    現在の設計指針や各種マニュアルには,凍上対策として壁面の背後に凍上抑制層や断熱材を設置することが明記されているが,これ以前に構築された補強土壁も存在する.このような補強土壁に関して,維持管理の中で変状の危険性を把握するためには,周辺土の凍上が補強材に与える影響について詳細に検討することが重要である.そこで本研究では,補強材に作用する鉛直応力や補強材周辺の凍結領域をコントロールできる試験装置を新たに開発し,これを用いた幾つかの実験を行った.その結果,補強材に作用する鉛直応力や盛土材の凍上性や凍結領域によって,補強材に生じるひずみの大きさや分布に変化が生じることが分かった.
  • 橋本 功, 住山 琢哉, 古市 謙次, 横山 美憲, 西村 正樹, 山崎 智弘, 勝見 武
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 45-52
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    管理型廃棄物海面処分場の護岸法面に敷設される遮水シートの両面には保護マットが一体化加工され,上下には砕石(粒径60 mm以下)が配置されるが,砕石が波浪により洗堀されて法面出来形が設計形状を満足しないことが懸念される.対策として,洗堀されない大きさの下地石材上に遮水シートを敷設する構造が検討されている.本研究では,室内貫入実験および数値解析により,最下層の保護マットに基布を内挿した単位面積質量1500 g/m2の長繊維不織布を用い,遮水シートと保護マットを交互に配置した5層シートの貫入抵抗を検証した.さらに室内石積み実験および現地計測により法面表面の石材が成す凹凸形状を計測し,下地石材から5層シートに作用する貫入荷重を推定した.
  • 北村 拓海, 佐藤 研一, 藤川 拓朗, 古賀 千佳嗣, 若林 祐一郎, 島崎 勝, 磯部 有作, 弘中 淳市
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 53-58
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    アスファルト舗装は,供用年数にともなってひび割れ,わだち掘れ,平坦性のサービス機能が低下する.特に,ひび割れからの雨水浸入よる路盤の支持力の低下は,舗装寿命に大きな影響を与えるとされている.一方,アスファルト舗装は,長期にわたる機能維持と管理費の抑制が求められている.そこで本研究では,路盤内にジオテキスタイルを敷設し,アスファルト舗装の支持力の向上を図るとともに,ひび割れによる雨水浸透対策の検討を行った.本報告では,小型土槽を用いた載荷試験を行い,ジオテキスタイルを敷設した地盤の支持力・変形特性に及ぼす雨水浸透の影響について検討行った.その結果,雨水浸透を伴う路盤の支持力低下は,ジオテキスタイルの敷設により抑えられ,舗装の耐久性に効果的に働くことが明らかになった.
  • 片山 隆, 楠戸 一正, 小島 謙一, 矢口 直幸, 植木 茂夫, 青木 一二三
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 59-66
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    トンネル等の地下構造物の防水工に,コンクリートとの化学接着性を有する防水シートが適用されている.本防水シートは高い接着性を有するため,躯体等のコンクリートに発生したひび割れや打継ぎ目の開口部にゼロスパン現象が生じる.これまでに,模型実験による本防水シートのゼロスパン状態における耐水圧性能の検討が行われ,比較的大きな開口幅5mmにおいても1.5MPa以上の耐水圧性能を有していることが確認されている.本研究では,これまでに実施した模型実験(開口幅5mm,10mm)における本防水シートの変形挙動および耐水圧性能を有限要素解析で検討し,解析手法の確立を行った.さらに本手法を用いてゼロスパン状態における本防水シートの有限要素解析を行い,開口幅の違いに対する本防水シートの耐水圧性能の評価を実施した.
  • 宮本 慎太郎, 宮田 喜壽
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 67-74
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    補強材密度が短繊維混合補強土の力学挙動に及ぼす影響を解明するため,短繊維を模した補強材を鉛直方向に配置した供試体に対して一面せん断試験を行った.実験には側壁が透明アクリル版のせん断試験装置を用い,土および補強材の挙動を可視化した.補強材配置が疎の条件では,補強材が引抜けて終局状態に達し,せん断抵抗のピーク値は補強材密度が大きくなるほど増加した.補強材配置が密の条件では,土と補強材が一体に挙動し,今回の試験のせん断変位の範囲において,供試体は終局状態に至らなかった.そして,補強材密度に応じたせん断抵抗の増加は少なくなり,補強材密度によるせん断抵抗の増加には限界がある傾向が認められた.
  • 丁 經凡, 白 濟民, 澁谷 啓, 浦部 朋子, 石田 正利, 池田 博之
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 75-80
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    本論文は,遮水シート工法により改修された堤高14.9mのため池堤体を対象に実施した耐震性照査結果につ いて述べている.現地調査および室内試験結果に基づいた数値解析を実施し,レベル1地震動およびレベル2地 震動に対する耐震性を評価した.まず,レベル1地震動に対しては,浸透流解析を行って堤体内の浸潤線を推 定した上で,極限つり合い法(震度法)を用いて堤体の地震時の円弧すべり破壊安全率を評価した.その結果, 当該ため池の地震時の安全率は基準安全率1.2を上回ることが確認できた.つぎに,レベル2設計地震動を用い て2次元動的応答解析を実施した結果,地震により堤体の天端に近いほど応答加速度が大きく,天端で0.81mの 沈下が発生したが,許容沈下量以下であるが確認できた.
  • 古矢 達也, 川口 貴之, 中村 大, 川尻 峻三, 平井 泰輔, 原田 道幸
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 81-88
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    本研究では,中詰め材が異なる2層のジオセルで構成されるのり面保護工に関して,浸透抑制効果を定量的に評価することを目的とした散水模型実験を行った.本保護工では砕石を充填したジオセルの上に,不織布と砂質土を充填したジオセルを設置することで,雨水や融雪水に対する浸透抑制を期待している.また,砂質土層を基盤として緑化させることで雨滴侵食を抑制し,浸透水や湧水による凍結融解作用を受けたのり面極表層の侵食は砕石によって抑制することを期待している.この結果,55 mm/h 程度の散水量であれば,回収した総水量の30 %程度しか模型盛土に浸透していないことや,のり尻の排水性を高めることで更に浸透水量を抑制できること等を確認した.
  • 横田 善弘, 辻 慎一朗, 和田 崇良, 小嶋 啓介
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 89-94
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    液状化の発生が予測される地盤上の盛土構造物を対象とし,模型地盤の重力場における加振実験を行うとと もに残留変形解析を実施した.液状化被害を効果的に軽減する工法として,ジオテキスタイルを用いたマット レス工法と大型土のうを併用した新しい形状を検証した.砕石置換によるマットレス工法を基本とし,厚さを 変化させた場合の効果とマットレスの両端部に大型土のうで突起を設けた場合の比較評価を試みた.その結果, マットレス両端部に大型土のうで突起を形成するタイプは,置換厚さを大きくしたマットレスの場合とほぼ同 等の効果が得られ,砕石量が軽減できコストダウンが図れるなどの知見を得た.
  • 加藤 卓彦, 澁谷 啓, 片岡 沙都紀, 中澤 博志, 中西 典明, 歳藤 修一, 石田 正利, 伊藤 修二, 片山 政和, 由井 洋和, ...
    原稿種別: 論文集
    2020 年 35 巻 p. 95-102
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    沢埋めの道路盛土には耐震性が低いものがあり,効率的で経済的な耐震補強工法の開発が求められている. このような背景から,筆者らは土のう構造体を用いた盛土法先補強工法を提案し設計法の策定を目指している. 初段の研究として2016年に大型振動台盛土加振試験(盛土高さ4m)を実施した.その結果,盛土の応答加速度 を抑制する効果を確認したが,土のう構造体にせん断変形が確認され,その剛性を高める方策が必要との認識 に至った.これより2017年には,土のう構造体の剛性保持に必要なプレストレスを土のう構造体の加振試験に より検討した.また土のう構造体のせん断強度を把握するため土のう同士の一面せん断試験により摩擦特性を 調べた.本稿は,これらの一連の研究成果に基づき本工法の設計法に係る基本方針を提案するものである.
  • 京川 裕之, Zain Maqsood, 古関 潤一
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 103-108
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    地震などの過去に受けた荷重履歴によってEPS盛土が潜在的なダメージを受けても,そのまま供用継続できたり,あるいは少なくとも本復旧までの期間は暫定供用できることが望ましい.そのため,EPS等軽量化材料の荷重・変状履歴に対する復元性能を把握することは重要である.本研究では,緩衝特性および復元特性に優れているとされる発泡ポリプロピレン(EPP)ブロックについて,載荷ひずみ速度,ひずみ履歴,除荷後のクリープ期間を変えた一軸圧縮試験によりその強度・変形特性の検証を行った.実験結果より,EPPブロックの応力ひずみ関係は弾粘塑性挙動を示し,除荷後の残留ひずみは時間とともに減少,つまりクリープ膨張し,同時に再載荷剛性も増加することが確認された.
  • Pradeep POKHREL, 桑野 二郎, 伊豫 大智, 平野 裕
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 109-114
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    近年,陥没孔や内部空洞の崩壊が道路舗装で広く見られる. 東京湾岸部の舗装における地盤内空洞の数は,2011 年東日本大震災の後に増加した.本研究では,地震時の空洞の安定性を検討するために,振動台実験を実施した.ジオシンセティックスを敷設した,あるいは敷設しない模型地盤を作製し,空洞の耐震性におけるその効果を調べた.さらに地盤内水位の影響を考えるため,空洞生成時に完全排水条件と不完全排水条件を適用した.地盤内空洞は,土槽底部からの給排水を繰返すことで形成した.その結果,地表面沈下は残留水位に強く影響されること,さらにジオシンセティックスの設置により地盤内空洞の安定性が増加することが分かった.
  • Kamal Prasad REGMI, 桑野 二郎, 山登 泰希
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 115-120
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    近年,先進国では道路陥没の問題が顕在化しており,その主な原因は路面下空洞の形成と拡大であることがわかっている.本研究では,ジオグリッドを用いて路面下空洞がある地盤を安定化させるための室内模型実験を行った.模型地盤内に円柱状の空洞を作製し,載荷試験を行うことで地盤表面の沈下を測定した.得られた結果を比較することで,空洞のある地盤におけるジオグリッドの補強効果を調べた.補強なしの場合,ある荷重で急激な地盤崩壊が生じた.しかし,補強ありの場合,表面沈下は徐々に進み,地盤崩壊が見られることはなかった.このことから,路面下空洞のある地盤内におけるジオシンセティックスの補強効果が確認された.また,空洞の直径が大きいほど,地盤表面の沈下が大きくなったことから,空洞の幅が地盤の安定性に影響していることがわかった.
  • 松本 日和, 川口 貴之, 川尻 峻三, 館林 雅治, 安達 謙二, 林 豪人, 小浪 岳治
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 121-128
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    補強土壁が変状する要因の一つに,不適切な盛土材料の使用と締固め不足がある.このような状況は土取り 場の変更や,降雨等による急な土質の変化によって起こりやすいと考えられるが,現行の品質管理方法だけで は見過ごされる可能性もある.そこで本研究では,このような変状を防ぐことを最終的な目標として,アンカ ー補強土壁に装備されているターンバックル回転時のトルクに着目し,無線送信機能を備えた市販のデジタル トルクレンチとクラウドストレージを活用することで,高い頻度での盛土材料の適否確認ができ,施工地に不 在の発注者やメーカーも計測結果をリアルタイムで確認できる品質管理システムの構築を試みた.
  • 野々山 栄人, 宮田 喜壽, 福本 一真
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 129-134
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    ジオグリッド補強基礎の支持力メカニズムを把握するために,透明土を用いた可視化模型実験を実施した.透明土には石英ガラスとミネラルオイル混合液を用い,ジオグリッドにはポリエチレンネットを用いた.またCCDカメラを用いて帯基礎荷重下での地盤とジオグリッドの変形挙動を撮影し,PTV画像解析を適用した.開発した可視化実験装置で,無補強地盤と補強基礎地盤の両方に対し,荷重作用時の地盤とジオグリッドの変形の可視化の検証を行った.可視化結果に基づいて,ジオグリッドの補強効果を,上載圧の効果として評価できる解析法を検討した.その結果,提案した評価法は実験値を概ね再現できることが明らかになった.精度の良い結果を得るためにはジオグリッドの張力や剛性の効果を考慮する必要があると考えられる.
  • 石森 洋行, 本條 貴之, 中川 美加子, 石垣 智基, 山田 正人
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 135-140
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    最終処分場の底部遮水層で用いられる遮水シートは,これまで疎水性で低分子量の有機化合物を対象に研究がなされてきた.疎水性が遮水シートを通過するか否かを判断するための有効な指標であるとされている.一方で,近年ではビスフェノールAや1,4-ジオキサン,残留性有機汚染物質のような親水性をあわせもち,高分子量の有機化合物等の環境影響評価も重要視されてきていることから,これらの有機化合物にも対応可能な遮水シートの遮蔽性能の考え方を本論文では議論した.具体的には,遮蔽性能のひとつである細孔径を分子動力学の観点から推定した.有機化合物を有限個の球状分子から成ると仮定し,各分子に作用するブラウン運動,流体力,分子間力を外力とした運動方程式を解くことで,遮水シートの細孔を通過する際の拡散係数を推定した.
  • 神山 惇, 末次 大輔, 福林 良典, 三田部 均
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 141-148
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    近年の技術者不足や高額な維持管理費用のために,橋梁の維持管理の脆弱化が課題となっている.筆者らは,老朽化橋梁の維持管理技術の一つとして,橋梁の下部空間に軽量盛土材である発泡ウレタン(以降、ウレタン)を吹付け充填し,老朽化橋梁を軽量盛土に更新する工法の確立を目指している.本研究では,ウレタンの接着力を明らかにすることを目的とし,ウレタンとコンクリートとの境界面において一面せん断試験を行い,その境界面のせん断強度特性を調べた.その結果,ウレタンとコンクリートの接着面においては,初めにウレタンがせん断箱で圧縮せん断され,せん断変位が30mm付近に到達するとウレタンがコンクリートから剥離した.ウレタンとコンクリートの境界面のせん断強度は,垂直応力の影響を受けることがわかった.
  • 松下 功志郎, 川尻 峻三, 橋本 聖, 小笠原 明信, 川口 貴之, 中村 大
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 149-156
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    帯鋼補強土壁の変状事例では,施工時の締固め度は規定値を満足しているものの,変状後に実施した調査では盛土材料の細粒分含有率が大きいことや盛土材料が細粒化していたことが指摘されている.しかし,実大規模の補強土壁において盛土材料の物性や締固め度が,補強土壁の挙動や引抜き抵抗力に与える影響について検討した事例は無い.本研究では,盛土材料の細粒分含有率を変化させた3つの盛土材料で実大試験補強土壁を構築し,壁面パネルの変位,補強材のひずみ,引抜き抵抗力などの力学挙動に与える細粒分含有率と締固め度の影響について検討した.動態観測の結果から,壁面パネルの変位や補強材の引張ひずみの増減は,細粒分含有率の大小と調和的であった.
  • 井塲 道夫, 土屋 海渡, 中山 裕文, 島岡 隆行
    原稿種別: 事例報告
    2020 年 35 巻 p. 157-162
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    2009年にIGS日本支部 ジオメンブレン技術委員会(以下,GM技術委員会という.)より発刊された「廃棄物最終処分場における遮水シートの耐久性評価ハンドブック」において,遮水シートが施工されて一定期間が経過した埋立地より採取した遮水シートの引張試験およびその解析結果に基づき遮水シートの耐久性評価方法が提案されている.2009年の研究時7施設から経過年数平均14.8年66サンプルを採取していたが,2018年からのGM技術委員会 第Ⅺステージにおいて,使用期間が長いサンプル採取を目的とし,10施設から経過年数平均23.5年55サンプル採取を実施した.本論文では,現在まで採取したサンプルのデータ,解析結果の内容について報告する.
  • ―芳賀・宇都宮LRT整備事業での土留め構造物―
    小俣 哲平, 岡本 正広, 安野 誠
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 163-170
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    剛な一体壁面工を持つジオテキスタイル補強土擁壁(GRS擁壁)の工法(RRR-B工法)の概要に引き続き,芳賀・宇都宮LRT整備事業の概要とその事業に伴う土留め構造物の建設工事の概要を報告している.本事業は,わが国初の既存路線の延伸・改良を伴わない全線新設工事であり,その土留め構造物としてRRR-B工法によるGRS擁壁が採用された.本工事は,多工区に分割されているため,工区分割の対策として,工区境での前工区の補強盛土の端末壁面を溶接金網をジオテキスタイル補強材で巻き込んで建設し,安定な状態を保持した.さらに軟弱地盤上に延長が長いRRR-GRS擁壁を工区分割して施工する対策として,軟弱地盤を地盤改良して隣接する次工区の盛土建設による沈下を抑制して,次工区の工事の影響を受けないようにした.
  • 王 経緯, 佐藤 研一, 藤川 拓朗, 古賀 千佳嗣
    原稿種別: 事例報告論文
    2020 年 35 巻 p. 171-174
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    著者らは,短繊維材料混合による液状化抑制効果について実験的な検討し,その有効性の確認を進めている.今回は,特に短繊維の太さ,長さ及び混合率が液状化挙動に及ぼす影響について,非排水繰返し三軸試験により検討を行った.その結果,同じ混合率であれば,繊維径が細く,繊維長が長くなるほど,液状化抑制効果が高くなる傾向が見られた.また,液状化抑制において,最適な繊維混合の状態が存在することも示された.
  • 松本 七保子, 田中 宏明, 安河内 勇人, 中島 健一郎
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 175-178
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    ガス用ポリエチレン管は1979年にJISが制定され,1995年の兵庫県南部地震での耐震性が実証されたことや施 工性の向上により急速に普及し,同時に埋設管への他工事における事故対策として適切な防護措置を施す必要 性が高まっている.ジオシンセティックスによる防護材は,2008年に開発され柔軟性や耐衝撃性を有すること から全国に普及しつつあるが,更なる防護性能や施工性の向上を目的として製品改良を実施した. 本報では, ジオシンセティックスの素材や構成の違いが防護性能に及ぼす影響を確認した.その結果を報告する.
  • 戸田 茉優, 宮崎 礼丈, 澤田 豊, 河端 俊典
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 179-184
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    パイプライン敷設時,土留めを行う矢板施工では,埋戻し後の矢板引抜きによる埋設管への影響により,埋設管の変形や損傷等の被害が問題となっている.施工コスト削減を目的として,近年ジオグリッドを用いてパイプラインを浅く埋設することがあるが,施工時の埋設管への影響については未解明な点が多い.本研究では,パイプラインが浅く埋設された場合に矢板引抜きがたわみ性管に与える影響を解明するために,模型実験を行った.実験結果より,ジオグリッドと砕石を用いたケースでは,管側部の水平土圧が保たれることにより埋設管の変形が抑制されることが明らかとなった.しかしながら,矢板引抜きによって埋設管の支持角が減少し,管底に土圧が集中する可能性があることがわかった.
  • 河村 隆, 梅崎 健夫, 田中 幹宏
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 185-192
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    所定のサイズ(40×40 mm)に切断した400枚の不織布の初期状態を測定し,単位面積質量μA*,初期厚さh0*および初期間隙比e0*に基づいて,材料の不均一性を評価した.そして,μA*およびh0*の値が平均値付近,平均値よりも大きい場合,小さい場合の異なる3つのグループから初期状態が近い供試体を抽出し,各載荷段階における載荷時間t=24 hの短期圧縮クリープ試験,段階載荷圧縮試験を実施した.e~logp関係,圧縮指数Ccおよびe~logt関係の傾きCαは,圧縮応力がp=100 kN/m2よりも小さい範囲においては不均一性の影響を受け,p=100kN/m2以上では不均一性の影響は小さくなることを示した.さらに,載荷時間t=360~684 hの長期圧縮クリープ試験も実施し,t=24 h以降も圧縮に伴う間隙比の減少が継続して進行することも示した.
  • 弘中 淳市, 松本 七保子, 近藤 誠二, 影井 良雄
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 193-198
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    高強度ジオグリッドをマットレス状に組み立て,中に中詰め石を充填して設置する長尺マットレス工法は,重機による吊り上げ施工によって短期施工および水中施工が可能であること,フレキシブル構造により地表面形状に追従し易いこと,合成樹脂製であるために錆びの心配がないことから,河川護岸や砂浜の侵食防止,河床の洗掘防止,災害対策用としての備蓄として適用されている.本報では,本工法の概要と特徴を示し,その適用事例と設置後の状況,屋外暴露試験による長期耐候性,吊り上げ試験による施工時耐久性について評価した.その結果,紫外線や風雨による劣化が10年間ほとんどないこと,吊り上げ試験後の吊り上げ部安全率は4以上を確保していることを確認した.
  • 平井 泰輔, 川口 貴之, 中村 大, 川尻 峻三, 古矢 達也, 原田 道幸
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 199-206
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    凍結融解作用に起因する寒冷地特有の斜面崩壊対策にとって必要となる侵食防止や排水促進に関する機能に 加え,雨水や融雪水の浸透を抑制し,緑化も可能とすることを目的として,砕石と砂質土を中詰め材とした2 層のジオセルで構成される新たなのり面保護工を考案した.本研究では,道路のり面で比較的多く用いられる 1割5分と1割2分の勾配を持った実大のり面に対してこの保護工を施工し,のり面勾配がのり面上での滑動力や 浸透抑制機能などに与える影響について検討した.その結果,いずれの勾配においても浸透抑制機能が発揮さ れ,のり面に打設するアンカーバーの削減による省力化も実現できることが分かった.
  • 館林 雅治, 川口 貴之, 渡邊 達也, 古矢 達也, 川尻 峻三, 中村 大, 原田 道幸
    原稿種別: 論文
    2020 年 35 巻 p. 207-214
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/06
    ジャーナル フリー
    平成30年9月の北海道胆振東部地震において,札幌市では清田区での液状化現象を主たる要因とした地盤沈 下や土砂流出の他に,盛土部分が圧縮・流動することで,切土部分との境界に生じた段差による交通障害も発 生した.既にジオシンセティックスを用いた効果的な段差抑制工が提案されているが,生活道路では埋設管工 事の際に撤去や再構築が容易であるといった機能も必要である.そこで本研究では,展開するとハニカム構造 の立体補強材となるジオセルに着目し,模型試験と実大実験によってジオセルを用いた舗装路の段差抑制工に 関する検討を行った.
feedback
Top