可視アルゴンレーザ光による走査記録材料として必要な, 高い感光特性を有し, しかも保存安定性に優れるアルカリ現像型プリント回路基板用ドライフィルムレジストを開発することを目的とし, 新規な光重合開始系を用いたフォトポリマーに関し, その記録特性に重点を置いて検討を行った。
その結果, バインダーポリマーにアルカリ可溶性アクリラート系樹脂, 重合性モノマーにペンタエリスリトールトリアクリラート, 複合型光重合開始系には増感色素としてケトクマリン系色素, ラジカル発生剤として, 有機過酸化物3, 3', 4, 4'-テトラキス (
t-ブチルジオキシカルボニル) ベンゾフェノンからなる感光系は, 330nmの紫外域から540nmの可視域にまで分光感度を有しており, アルゴンレーザの可視発振線 (488nm) をカバーしていた。薄膜 (1μm) 状態では25μJ/cm
2の高い感度を示し, また厚膜 (40μm) においても, 最適開始剤組成で10mJ/cm
2という高い感度が得られ, 高速レーザ走査露光による記録が可能であり, 25μmラインの再現が可能であった。熱的な保存安定性にも優れることから, 実用的可視レーザ直描用ドライフィルムレジストとしての可能性τ持っていると考えられる。
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