DMABを還元剤としマロン酸を錯化剤とする無電解ニッケルめっき浴中の, 浴成分および錯化剤の存在形態をFTIR ATR法によりモニタリングする方法について検討した。基本浴の組成は, NiSO
4・6H
2O 0.1mol/L, CH
2 (COOH)
2 0.3mol/L, DMAB 0.12mol/L, pH6.0である。浴中のDMAB, マロン酸塩, 硫酸塩および還元剤の酸化に伴い副生するDMA, ホウ酸塩の濃度とそれぞれの特性吸収帯の吸光度との間に直線的関係が得られた。連続使用により硫酸塩が蓄積した浴では, 硫酸塩のATRスペクトルとDMAB, DMAのATRスペクトルが重なり合う。このような場合においても, カーブフィティングにより各成分を精度よく分離定量することができた。浴中のニッケルイオン濃度は, 全カルボキシレート (2 [NiL] +2 [L
2-] + [HL
-] ) と遊離のカルボキシレート (2 [L
2-] + [HL
-] ) の特性吸収帯の吸光度の比より, 間接的に定量することができた。本法は, 希釈, 分離などの前処理をすることなく, 簡便に迅速に無電解ニッケルめっき浴をモニタリングすることができ, 分析結果も申し分ない。
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