情報メディア研究
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10 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
論文
  • ―教員研修機関の調査から―
    須藤 崇夫, 平久江 祐司
    2011 年 10 巻 1 号 p. 1-22
    発行日: 2011/07/15
    公開日: 2011/07/15
    ジャーナル フリー
    本研究は,教員研修機関の研修担当者を対象に行った調査をもとに情報教育および教科「情報」の教員研修の現状と課題を明らかにし,授業担当教員の人材育成の在り方について考察することを目的とした.調査結果は,「企画」「実施」「評価・フィードバック」の段階について(1)研修機関の中心的活動,(2)研修機関と外部の機関との連携,さらに(3)教科「情報」の独立教科としての意義や重要性,(4)実際の教員研修における各学習内容の生徒への指導の必要度という4つの観点から分析した.その結果,研修機関の研修効果を把握する取組が少ないとともに研修の評価は十分に行なわれていないこと,評価改善のサイクルと関係機関との連携の機能が十分に働いていないこと,教員研修の内容が生徒の学習内容の重要度に応じていないことなどが明らかになった.
  • ―基礎情報学によるアプローチ―
    大井 奈美
    2011 年 10 巻 1 号 p. 23-34
    発行日: 2011/07/15
    公開日: 2011/07/15
    ジャーナル フリー
    本稿では,明治期に近代文学として革新された俳句の成立メカニズムを,ネオ・サイバネティクスすなわち構成主義システム論にもとづいて考察する.具体的には基礎情報学の理論的枠組を用い,俳人,俳句結社,俳句マスメディアなどを「階層的自律コミュニケーション・システム(HACS)」と位置づけて分析をおこなう.この結果,19世紀末に封建的日本社会が機能的分化社会へと移行するなかで,各種のシステムが共進化をつうじて誕生する過程として俳句革新を捉えなおすことが可能になる.分析の際,システム同士の関係性についてもくわしくとりあげる.
  • 元木 章博, 丸山 有紀子, 金沢 みどり
    2011 年 10 巻 1 号 p. 35-43
    発行日: 2011/08/24
    公開日: 2011/08/24
    ジャーナル フリー
    アメリカ合衆国における公共図書館の児童向けWeb版OPACについて,検索機能および利用者への応答や説明などの観点から,評価基準FREDに基づき現状を調査した.加えて,アメリカ合衆国の学校図書館Web版OPACの既存の調査結果との比較を行い,両者の差異について考察した.その結果,公共図書館の児童向けWeb版OPACは,学校図書館Web版OPACと比べて,Response(検索システムから児童への応答)に関しては優れているが,Diversity(検索システムの機能の多様性)に関しては劣っており,児童の発達段階に応じた多様な検索機能が充分に備わっているとは言えないことが明らかになった.さらに,Web版OPACのキーワード検索や件名検索の機能については,公共図書館の児童向けWeb版OPACおよび学校図書館Web版OPACの両方で,Web版OPACに不慣れな児童を支援するのに充分な機能が備わっているとは言えず,児童の情報活用能力の育成支援の観点から,今後の改善が必要である.
  • ―メタ理論としての情報学と生命論の表裏一体性―
    西田 洋平
    2011 年 10 巻 1 号 p. 63-74
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    本稿は,情報学の哲学的前提に接近することで,情報学の今後の方向性を探ろうとするものである.まず,情報検索研究におけるアプローチ転換を例に,情報学の哲学的前提に関わる問題の析出を試みる.次いで,そうした問題に接近する一種のメタ理論としての情報学をいくつか概観し,情報学の哲学的前提に関する議論と生命観の問題とが一体化していることを指摘する.一方で,生物学ないし生命論の深層にも同様の哲学的前提の問題が潜在しており,情報観の問題をその中心に見いだすことができる.したがって,情報学と生命論は,その深層における相互参照の構図の中で表裏一体となっているのであり,擬人化の問題のような共通の課題に共に取り組む必要がある.
  • 間部 志保, 岩澤 まり子, 緑川 信之
    2011 年 10 巻 1 号 p. 75-87
    発行日: 2011/12/22
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    W3C勧告として公開されたSKOS(Simple Knowledge Organization System)は,既存の知識組織化体系を再構築せずに共有し,ウェブを介してリンクすることを目的とした共通データモデルかつ言語である.しかし,シソーラス等の用語体系への適用に比べ,分類体系への適用に関する論議は十分ではなく,有用性が実証されているとはいいがたい.本稿では,デューイ十進分類法を例として取り上げ,SKOSの字句ラベルに着目し,分類体系の適切な表現方法を検証した.その結果,用語体系と分類体系におけるSKOS概念および字句ラベルの表現方法に差異は認められず,分類体系の基本的な要素の表現にも対応可能であり,既存のいかなる知識組織化体系へも適用の可能性を有していることが明らかになった.
研究ノート
  • 間部 豊
    2011 年 10 巻 1 号 p. 45-61
    発行日: 2011/09/13
    公開日: 2011/09/13
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は電子書籍の「出版・流通・利用」に関するこれまでの動向と,電子書籍に対する図書館の対応として電子図書館の動向を俯瞰し明らかにすることである.電子書籍の動向においては,電子書籍端末の動向,電子書籍フォーマットの動向,電子書籍出版の動向,電子書籍の著作権に関する動向の4つについて分析を行った.また図書館における電子図書館の動向においては,国立国会図書館・大学図書館・公立図書館の館種別に分析を行った.分析の結果,電子図書館プラットフォームの構築において(1)電子書籍コンテンツの著作権管理と(2)電子書籍の資料管理方法が大きな検討課題となることが明らかになった.
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