情報メディア研究
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12 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
論文
  • -論文出版への可能性-
    山西 (増井) 史子
    2013 年 12 巻 1 号 p. 1-
    発行日: 2013/05/27
    公開日: 2013/05/30
    ジャーナル フリー
    本研究は,日本文学と日本語学分野の学会発表を追跡調査し,それにより当該分野の研究における学会発表の現状を明らかにすることを目的としている.調査対象は,日本文学と日本語学の主要 6 学会で 2000 年 ~ 2009 年の 10 年間に行われた学会発表 1,421 件である.調査項目は,学会発表の後に同内容の論文が出版された割合,論文が出版された場合の掲載メディア,論文が出版された場合のタイムラグの 3 点である.結果は,学会発表を行った後に同じ学会の学会誌に論文を掲載していたのは 23% であった.また,4% は学会発表を行った学会以外の学会誌など注目度の高いメディアに掲載されていた.学会発表後に同内容の論文の出版が確認出来たのは全体の 38% であった.これらの結果から,学会発表の内容を論文として出版することの難しさが明らかになった.
  • -高齢者の身体・心理的特性から想定される問題への対応に関して-
    三波 千穂美, 射場 翔平, 中山 伸一
    2013 年 12 巻 1 号 p. 14-
    発行日: 2013/06/28
    公開日: 2013/06/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,高齢者向け携帯電話のマニュアルの現状と課題を調査するため,高齢者の具体的な身体・心理的特性によりマニュアル利用時に起きる状況に対応するには,マニュアルがどうあるべきか想定し,そのためには,マニュアルの構成要素がどのようであるべきかを考えた.そして実際に,高齢者向け携帯電話のマニュアルの構成要素の状況を調査し,対応状況について検討した.その結果,視機能の変化による視力低下,老眼と,神経・脳の老化による認識力の低下による問題に対しては対応がほぼ実現されているが,視機能の変化による色覚の変化に対する対応,経験・判断力の低下による集中力・注意力の持続性低下に対する対応および神経・脳の老化による記憶低下に対する対応は実現途上であることがわかった.同時に,メーカーにより,対応状況が異なることも明らかになった.また,高齢者の身体・心理的特性を整理し,問題を想定し,それに対応するマニュアルの構成要素の組み合わせと状況を想定するという具体的なプロセスが,マニュアル作成において有効である可能性が示唆された.
  • 天野 晃, 児玉 閲, 柴田 大輔, 小野寺 夏生
    2013 年 12 巻 1 号 p. 28-41
    発行日: 2013/08/16
    公開日: 2013/08/16
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究では,自然科学領域における各分野間の影響関係を,大きな粒度の分野分類に基づいて探る.ここでの自然科学領域とは,工学,医学,農学等の応用分野も含む.本研究で用いる分類では,分野間の引用が全体の引用の 3 割程度であり,本研究では,この分野間の引用関係について詳細な分析を行うことにより,自然科学領域の研究構造の理解を深めることを目的とする.データ: 本研究での対象は,Journal Citation Reports (JCR) 2004 Science Edition CD-ROM 版に収録されている雑誌の収載論文の引用データを,分野間の被引用/引用行列に編集しなおしたデータである. 該当する雑誌は,2000 年から 2004 年に出版され,2004 年に少なくとも 1 回の引用を受けた論文を含む雑誌 5964 誌となる.方法: まず,既存の 22 分野の分類を修正し、21 分野の区分を作成した.これは,既存の分類では非常に小さな分野が存在したためである.21 分野の区分をもとに,分野間の被引用/引用行列を作成し,このデータを次の分析の対象とした.1. 各分野の他分野引用/被引用の程度.2. 分野間の階層クラスタ関係.3. 分野間の影響関係(分野間の相互結合と非対称的な影響関係).4. 各分野が他の分野に及ぼす全体的な影響強度(Eigenfactor の手法を応用した全領域における影響度指標を用いた分析). 結果: 論文数規模は,医学生物学関連の分野が大きく,さらに,論文あたり被引用数との Spearman 順位相関の分析等から,論文数規模と影響度の相乗効果が認められた.また,論文数規模と自分野引用を除いた被引用/引用比の間にはわずかに相関が認められた.各分野の被引用傾向に基づいた分野間階層クラスタ関係からは,分析化学が農学に近いなどの,物理系,化学系というような従来型の関係とはやや異なる様相が確認できた.それぞれの分野間の相互結合の強さも,概ね,階層クラスタ関係を支持する結果となったが,物性物理-化学は,階層クラスタ関係では近い位置にあるが,相互結合としては強いものではないなど,やや異なる傾向も見られた.Eigenfactor の手法を応用した影響強度の分析では,論文数の寄与と引用の寄与を調節するいわゆるαを変動させたが,これによる順位変動が見られ,分野という大きな区分を用いても,このパラメーターの影響を受けることが解った.
  • 常川 真央, 松村 敦, 宇陀 則彦
    2013 年 12 巻 1 号 p. 42-51
    発行日: 2013/10/16
    公開日: 2013/10/16
    ジャーナル フリー
    近年,ウェブ上で読書状況を公開し,他人と感想などを伝え合う読書支援ウェブサービスが盛んになっている.読書支援ウェブサービスでは,読者同士のコミュニケーションを支援するために,興味が類似したユーザとの出会いを支援する機能が不可欠である.そこで本研究では,類似の読書傾向を持つ読者を発見する手法として"NDC ツリープロファイリング"を提案する.NDC ツリープロファイリングは,日本十進分類法 (NDC) に基づいてユーザの読書傾向からツリー状のユーザプロファイルを作成する.そして,ユーザ同士のプロファイルを比較することにより,読書傾向の類似したユーザを発見する.評価実験を行った結果,ランダム推薦方式に対して本手法が統計的に有意に精度が向上した.一方,共通書籍冊数による手法と TF-IDF によるベクトル空間モデルを利用した手法に対しても精度は高かったものの,統計的に優位な差はなかった.十分な精度向上はできなかったものの,本研究で提案した NDC ツリープロファイリングは,階層構造を持ち,階層毎の重みを調節することでより繊細にユーザの関心を捉えられる可能性を持っている.さらなる調整を行なうことでより有効な類似読者発見を実現できる可能性がある.
研究ノート
  • - 図書館と書店のイメージ比較 -
    長谷川 幸代
    2014 年 12 巻 1 号 p. 52-61
    発行日: 2014/02/14
    公開日: 2014/02/14
    ジャーナル フリー
    本研究は,人々が公共図書館と書店にもつイメージについて調査,分析,考察することを目的としたものである.図書館情報学をコースとして選択している大学生と,実際に公共図書館を利用している人を対象に,公共図書館と書店について抱いているイメージの内容についてのアンケート調査を行い,その結果を分析,比較した.大学生は,書店のイメージの方が図書館に比べてややポジティブなイメージをもつ項目が多いことが判明した.実際に公共図書館を利用している人にも同様の質問を行ったところ,公共図書館と書店のイメージの差が学生の場合よりも小さく,公共図書館と書店のどちらに対しても比較的ポジティブなイメージをもつ傾向があることが分かった.また,書店は気軽に立ち寄れる場というイメージがあることがわかった.
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