【目的】本研究の目的は地域で活動している保健推進員(CHVs)と同じ地域に在住する住民のソーシャルキャピタル(Social Capital:以下SC)と近隣の地域環境の質の特徴を把握し、健康な地域づくりを増進するための示唆を得ることである。
【方法】2020年A県B市に在住し地域で活動しているCHVsと中学1~3年生の保護者(以下、一般住民)に対して調査を実施した。調査内容は属性、社会的環境として健康関連ソーシャルキャピタル指標、地域環境の質を測定する尺度を参考にした。分析方法は、SCと地域環境の質についてSpearmanの順位相関係数を算出し検討した。
【結果】SCの「市民参加」は有意にCHVsが高かった。地域環境の質はCHVsが「利便性と施設・サービスの充実」、「近隣の人間関係の結束」が有意に高かった。SCと地域環境の質では、一般住民はSCの「市民参加」と「近隣の人間関係の結束」、「社会的凝集性」と「利便性と施設・サービスの充実」、「近隣の人間関係の結束」、「憩いやスペースの場」、「自発的な地域活動」において弱い相関がみられた。CHVsはSCの「社会的凝集性」と「近隣の人間関係の結束」、「憩いやスペースの場」、「互酬性」と「美観と静謐さ」が中等度から弱い相関がみられた。
【結論】健康的な地域づくりを増進するために、同じ地域で生活している一般住民とCHVsにおいてSCと地域環境の質について調査した。その結果、誰でも参加することができる場づくりなど地域の環境を整備することがSCの向上につながる可能性が示唆された。
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