本研究は,「看護師の技能は,先輩看護師に由来するOJTにより高められる」ことを前提に,看護師の技能とその伝承について一般病棟の看護師の事例を通じて明らかにした。
まず,看護師の技能について,〔患者・家族に対する直接看護能力〕と〔看護を支える能力〕に分類し,それぞれの技能とその段階について検討した。そして,〔看護を支える能力〕のうち,《個人としての力を支える能力》として〈指導・育成〉の技能を,《チームとしての力を支える能力》として〈報告・連絡・情報共有〉の技能に着目した。
調査はナーススティション内における看護師間の言葉のやりとりを中心とした参加観察とインタビューである。
結果,看護師の〈指導・育成〉技能および〈報告・連絡・情報共有〉技能のレベルは,実例により検証された。
さらに,看護師の技能の伝承は,看護師間のかかわりの中に存在し,看護師は看護師間のかかわりによりその技能を向上させていることが明らかになった。
今後,看護師の技能形成促進の為には,看護師間のかかわりによる技能伝承を再認識することが重要である。
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