〔目的〕:セーフコミュニティ(SC)認証に関わった市民ボランティアが,安全安心に暮らせるまちを目指し,行政との協働のもと外傷予防プログラムを展開してきた,その現状と施策化に向けての課題を明らかにする。
〔方法〕:SC活動に関わった住民に,グループインタビューを実施した。逐語録から「SC活動の課題と必要な社会支援システム」に関する文脈を抽出しアイテムとした。これらのアイテムをプリシード・プロシードの因子にそって複合分析を行った。
〔結果〕:対象者の年齢は49歳~72歳で,8名全員が女性であった。SC活動に参画した市民は,行政の外傷データに触れる機会が多く,外傷予防活動への動機づけがなされ,その活動を通して行政職員との繋がりが強化されていた。また,統計データに表れない外傷に関する地域の課題にも意識が向けられ外傷予防プログラムについてアイディアが提言された。
〔考察〕:市民ボランティアを巻き込んだSC活動では,外傷データの背景にある原因に市民が興味を持ち,自分たちの問題として課題を共有し,行政とともに政策に取り組む意識や態度の形成が見られていた。SCの施策化の課題は,外傷データをわかりやすく市民に公開しSCに取り組む市民の意識の向上を図ること,および新しい市民ボランティアが参入しやすい環境整備であった。
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