教育・社会心理学研究
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1 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 関 計夫
    1960 年1 巻2 号 p. 109-118
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
  • 三隅 二不二, 中野 繁喜
    1960 年1 巻2 号 p. 119-135
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究は, Lippitt, R., & White, R. 等による。いわゆる “専制的” “民主的” “自由放任的” 指導方式の効果を第1研究と同様, 社会-歴史的条件を異にするわが国でさらに検証することを意図したものであるが, とくに, 上述の指導方式の効果を, 課題差との関連において分析を試みたのが主たるねらいであった。被験者は, 福岡市警固小学校5年生の男子36名女子36名 (10才~11才) で12の等質な実験集団を編成した。2つの課題を設定した。すなわち鯉のぼりの絵をかくこと (容易な課題) 小学校の模型作成 (困難な課題)。実験は, 同一の指導方式で6日間 (1日60分), そのうち前半と後半各々3日間で, 上述の二つの集団的課題解決を遂行したのである。
    本実験の条件下においては,
    (1) 民主的, 専制的, 自由放任的指導タイプが集団の生産性に及ぼす効果を, 課題差の特性をはなれて, 一義的に見出すことはできなかった。
    (2) 集団に与えられた課題の難易によって, 同一指導タイプが集団の生産性に及ぼす効果に相異が見出された。
    (3) 難課題においては, 専制的集団の生産性が, 民主, 自由放任の集団よりも優れ, 易課題では, 民主的集団の生産性が, 専制, 自由放任の集団よりも優れた。
    (4) 集団内の指導者に対する成員の反応は, 難易二つの課題状況を通じて, (a) 専制的集団では, 他の二集団よりも指導者への依存度が著しく高い。
    (b) 民主的集団においては, 他の二集団よりも男子集団において友好的信頼的反応頻度 「知識を求める」 「知識を与える」 頻度が著しく高い。
    (c) 自由放任集団は, 多くのカテゴリーにおける対指導者への反応が, 全体として他の二集団より低位であった。
    (5) 集団内の成員相互間の対人行動においては, 難易二つの課題状を通じて, (a) 専制的集団では, 他の二集団に比較して多くのカテゴリーにおける反応頻度が, 全体傾向として最低位であった。
    (b) 民主的集団では, 自由放任集団と並んで, 専制的集団より広範囲のカテゴリーにおいて反応があらわれ, 且つその頻度も高かった。
    (c) 同僚への依存性 (男子集団において) 批判的不満の頻度については, 自由放任集団が民主的集団よりも有意に高かった。
    (6) 要するに, 集団内において顕示された相互作用は, 民主的集団において, 課題差, 性差に拘らず最大であった。
    (7) 課題差の条件に即して考察すれば, 課題の相異が, 集団過程に最も大きな効果差を与えたのは民主的集団であり, 専制的集団はその課題差の影響度が最小であった。民主的集団における困難な課題状況では, 易課題状況に比較して, 集団内にフラストレーションへの徴候があったものと推測される。これらの徴候は, 自由放任集団においてさらに著しく現われている。一方, 専制的集団においては, 課題差にもとずく成員の反応傾向に, 民主, 自由放任集団ほどの差異が見出されなかった。
    (8) 要するに, 専制的, 民主的, 自由放任的指導タイプが集団に与える効果は, 集団の生産性については課題差の条件が著しく影響し, 一方, 集団過程に対しては, 生産性に対する効果差ほど明らかではなく, 課題差に拘らず共通する傾向が考察きれた。しかしながら, 課題差にもとずく集団過程の差異も上述の如くである. 従って, 一般的に結論すれば, 指導タイプの効果は, 課題状況のもつ構造-機能の条件との相対的関係において考察されるべきであろう。
    (9) Lippitt等の実験の被験者の反応傾向を本実験の被験者と比較した結果, 「攻撃的 (aggressive) 」 「注目を引く」 (demands for attention) 反応はLippitt等の被験者において優位であり, 「批判的不満 (critical discontent) 」 「知識を求める (asking information) 」 は本実験の被験者が優位であった。全体的に, 本実験の専制的集団は, Lippitt等における服従的専制型集団の諸反応に類似した。
    (10) 前述の三種の指導タイプが, 集団成員に与える効果の相対差は, 全体的に考察するとき, 課題差及び文化的条件差にもとづく効果を含みながらも, Lippitt等の結果と基本的に相異るものは見出されなかった。むしろ, 条件発生的には類似の傾向であった。
  • 三隅 二不二, 原岡 一馬
    1960 年1 巻2 号 p. 136-153
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本実験は, 第II実験と同様, 2つの課題状況において, 集団決定, 集団討義, 講義決定, 講義の諸方式の実践効果に関する比較研究を試みたのである。課題状況は, (1) 漢字の書取を二者択一のいずれの時間に実施するかを自己決定して, 自己決定した時間に実施すること, (2) 自己決定した時間に, 標準量以上の漢字の書取りをすること, であった。被験者は中学2年生及び小学校6年, 5年, 4年, 3年, 2年生, 計711名。
    実験の結果を要約すれば次の如くである。
    (1) 課題 (A) の状況では, 中学2年及び小学高学年において集団決定, 集団討議, 講義決定, 講義の諸方式間に有意差が見出せなかった。このことは第II研究の結果と同一であった。小学低学年においては講義が他の方法より効果が大であった。
    (2) 課題 (B) の状況では, 中学2年及び小学高学年において, 課題 (A) と同一被験者で, 集団決定, 集団討議, 講義決定, 講義の順位で効果が見出された。この結果は, 従来の諸研究及びわれわれの第II研究の結果と一致する。
    なお, 小学低学年においてはかかる一義的傾向が見出されなかった。
    (3) この結果より, 集団決定や集団討議が講義方式より効果的であるという命題は, 課題状況のもつ特性及び被験者の発達段階等の諸条件と無関係に定立することは出来ない。
    (4) 定められた方向に, グループの意見の一致度が高ければ, その方向に実践度は高くなる。この結果はBennettの結果及びわれわれの第II研究の結果と一致するものである。
    (5) 課題に対する関心度の高低は実践効果に有意な影響はなかった。この結果も第II研究と一致するものである。
    (6) 集団の凝集度の高低も実践効果に有意な差を示さなかった。これも, 第II研究の結果と一致するものである。
    (7) 被験者のパースナリテイの相違も実践効果に有意な差を示さなかった。これも第II研究の結果と一致するものである。
    (8) 知能の相違による効果差は見出されなかった。
  • 小林 さえ子
    1960 年1 巻2 号 p. 154-163
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    同一の被験集団に, 「分離図形」と「単一図形」を交互にあたえて, ぬり絵作業をさせた結果,
    i) 「単一図形」事態では「分離図形」事態におけるより, 社会的言動一般が多く発生した。ii) 社会的言動の類型をみると, 「単一図形」事態では, 集団の成層化を促進する性質をもつ, 優位 (無視) ・服従の型の言動が多く, 「分離図形」事態では, 成層化を抑制する性質をもつ客観型の言動が多かった。
    iii) 「単一図形」事態では「設定リーダー」が, 顕著にリーダーシップをとることが多かったが, 「分離図形」事態では, 設定リーダーは潜在し, 顕著なリーダーとなることはきわめて少なかった。
    以上, 同一の集団はぬり絵の図柄構造の差に応じて, 「構造崩壊」と「再構造化」を交替した。つまり, 交互に「集団性の水準の抵い集団」となったり, 「集団性の水準の高い自立的集団」となったりしたのである。本実験課題のぬり絵図形構造は, 成層化を決定する諸要因 (力学的見地からいうならば諸力といえる) 中の一つである課題要因 (課題自体のもつ力) を証明するものである。
    なお, ついでにいえば, 「分離図形」作業においても, 場面構造も教示など条件をかえることによって, リーダーシップ機能を高揚させることは不可能ではない。しかし, 本実験では, 図形の本来もっている力を問題としたのである。
  • member attractivenessを操作した場合について
    前田 恒, 小嶋 外弘, 野間 健三
    1960 年1 巻2 号 p. 164-173
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
  • 青柳 靖夫, 木下 敏
    1960 年1 巻2 号 p. 174-184
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
  • 狩野 素朗
    1960 年1 巻2 号 p. 185-190
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    20のトビラ式ゲーム, およびトランプゲーム (ともにこの実験で指定されたルールによる問題解決) を行なう集団作業で, 2つの集団を対抗事態において競争させるとき, その作業に関する同一集団成員内のコミュニケーション構造のNcによる強度が大であるほど, 高い解決能力を示した。独立変数として実験に使用した構造強度は, 4人集団において論理的に考え得る11水準から任意の5水準をえらんでテストしたのであるが, この5水準に関するかぎり, 集団作業に関するコミュニケーション構造のNc強度が大となるほど, 集団の問題解決能力は高くなるということができる。この実験では同一のNc強度であって異る構造型のものの効果はみなかったが, それは別の問題として実験を計画する必要があろう。
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