教育・社会心理学研究
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9 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 休止前試行数の関数としてのレミニッセンス
    三隅 二不二, 佐藤 静一, 吉田 正敏
    1970 年 9 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究は, PM式指導条件が, 知覚-運動学習におけるパフォーマンスとレミニッセンスに及ぼす効果を吟味することを目的としたものである。とくに本研究においては, 休止前試行数を異にする集中学習条件下において上述の実験的検討をおこないHull (1943) -Kimble (1949 a) らの提起する制止理論について批判検討をおこなわんとしたものである。
    課題は逆ひらがな書記課題。休止時間は10分, 休止前試行数10試行, 20試行, 30試行, 40試行 (何れも1試行30秒) の条件である。休止後はいずれも5試行である。作業は連続集中作業, 被験者は, 女子高校生。PM式指導類型は, PM, P, Mそしてpmの4類型である。
    結果は次の通りである。
    休止前試行及び休止後試行におけるパフォーマンス増加量は, PM類型を最高に, P類型, pm類型そしてM類型の順位であった。
    レミニッセンスは, 休止前試行数の何れの条件下においても, PM類型において有意に高いレミニッセンスが見出された。PM類型に次いで高いレミニッセンス値を示したのがP類型であり, 続いてM類型そして最低はpm類型であった。但し, P類型の場合には, 休止前20試行と休止前40試行, M類型の場合には休止前20試行の条件下で有意なレミニジセンスが見出され, 他の休止前試行の条件下及びpm類型下では何れも有意なレミニッセンスが得られなかった。
    また, PM類型の場合, レミニッセンスは休止前試行数の関数として増大する傾向を示したのに対し, P, Mそしてpm類型下におけるレミニッセンスは横ばいか低下する傾向を示している。
    以上の諸結果は, レミニッセンス現象を反応性制止説のみで解釈することの限界を示す。のである。すなわち, 上述のレミニッセンス効果は, 休止前試行におけるパフォーマンス水準の高・低を通じて間接的に規定されるというよりも, PM式指導条件効果がモーチベーションの差を通じて, 直接にレミニッセンスを規定する。のとして考察される。しかして, 被指導者のモーチベーションを最高度に高める指導類型は, P的機能に, M的機能が相乗された場合であり, かかる相乗作用は, 生活体に顕著な積極的, 内発的な動機づけを喚起する。のとして解釈される。
  • VI. 集団集中訓練とその問題点
    成瀬 悟策
    1970 年 9 巻 1 号 p. 17-38
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
  • 脳性マヒ児の発声に関する呼吸運動 (1)
    松本 蕃
    1970 年 9 巻 1 号 p. 39-49
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
  • 好意的感情をよせる他者に関して
    浜名 外喜男
    1970 年 9 巻 1 号 p. 51-60
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, パーソナリティ認知過程における“仮定された自己志向性現象”の生起機制を実験的に解明することである。第1実験においては, “自己のパーソナリティ認知 (S-S'順位) ”の内容に対して実験的操作による上昇変動・下降変動を誘導し, それに伴う当該特性に関するその後の“他者による判断の認知 (S O'順位) ”内容の変動を分析し, また第2実験においては, 逆にS O'順位の内容に対して誘導された実験的変動に伴う当該特性に関するS-S'順位の変動を分析した。被験者は高校1年生であり, 第1実験では49名 (男子22名・女子27名), 第2実験では46名 (男子23名・女子23名) である。なお, 実験は“仮定された自己志向性現象”が最も顕著に認められやすいと予想される, “個人が最も好意的感情をよせる他者”とのあいだで行なったものである。
    おもな結果はつぎのとおりである。
    1. パーソナリティ認知過程における“仮定された自己志向性現象”が生起する過程には, “他者による判断の認知”を“自己のパーソナリティ認知”に近づけて認知することにより2つの認知内容が一致する投射的一致機制と, 逆に, “自己のパーソナリティ認知”を“他者による判断の認知”へ近づけて認知することによりその一致にいたる投入的一致機制の, 方向において異なる2つの一致過程が存在する。
    2. いずれの一致過程をとって“仮定された自己志向性現象”が生起する場合でも, その生起過程は, 個々のパーソナリティ特性に関して個人が認知する社会的望ましさの要因による影響とは無関係である。
  • 情報統合モデルに関する基礎的分析
    高橋 超
    1970 年 9 巻 1 号 p. 61-69
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究は, 印象形成過程における情報統合モデルとしての加算 (summation) -平均 (averaging) モデルの比較検討を行なったものである。
    被験者は, 市内の女子短期大学生68名で, 各Ssは, つぎの8 setの刺激情報を, 好意度の面から2つの20点評定尺度で判断した。
    (1) HH (2) LL (3) M+M+ (4) M-M- (5) HHM+M+ (6) LLM-M- (7) HHHH (8) LLLL
    得られた主な結果は, つぎのごとくである。
    1) HH-HHM+M+, LL-LLM-M-の各評定値の差を検討した結果, それぞれの差は有意でなかった。すなわち, 極性化した特性に, 中位に極性化した特性を加えても, 反応は増加せず, 平均モデルと一致した結果である。
    2) HH-HHHH, LL-LLLLの各評定値の差は, 後者についてのみ有意であった。すなわち, 刺激が増加すると, 反応も大となるset-size効果がみられる。
    3) 平均モデルの公式〔4〕に基づいて, HHHH, LLLLの予測値を求めて, 実測値と比較したが, ともに有意なずれはみられない。
    以上の結果は, いずれも平均モデルを支持するものであるが, 本研究では, 情報の質の差による統合化の差も伺がわれ, 今後, さらに綿密な分析が必要とされる。
  • 創造性と情報理論
    井上 務
    1970 年 9 巻 1 号 p. 71-78
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本論は, 課題の‘あいまいさ’を測定するのに, 情報理論の導入を試みたものである。情報理論の概念に基き, 測定した値を課題の構造度と考えた。ただ, 測定には, 集合論との結合を進めている。本論では認知された構造度を数量的に評定する試論を提示した。今後の研究で思考の事象空間をある程度予測し得る, と考える。
    また, PM式指導条件の一つの分析として, 十分興味をそそるものである。リーダーシップとの関連において, 新しいアイディア, 独創的思考における効果的構造度 (課題へのアプローチ法) を実験的, 実証的に検討すれば, 創造的生産の技術として有効となるであろう。
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