教育・社会心理学研究
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4 巻, 2 号
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  • 機能に関する実験的研究
    三隅 二不二, 白樫 三四郎
    1963 年 4 巻 2 号 p. 115-127
    発行日: 1963年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究では, 組織体における第一線監督者と第二線監督者の二段構造を実験室的に構成した. さらに目標達成機能としてのP型と過程維持機能としてのM型, およびその両者を兼備したPM型という三つの監督類型を操作的に導入した. つまり, 第一線および第二線監督者のそれぞれに, P, M, PM型の組み合わせをつくり, これらの監督者の行動類型の下で, IBMカードの穿孔数を数える単純作業を3人の作業者に行なわせた. 作業者としての被験者は, 郵政研修所研修員, 平均年令22才男子, 15名. 第一線監督者は心理学専攻の助手および大学院学生, 5名. 第二線監督者は実在せず, その指令は紙に書かれたものであった. 作業は1回50分. 13回連続して作業を行なった. その結果を要約すれば次の如くなる.
    本実験の条件下において
    1. 第一線監督者の行動類型, P, M, PM型は, 被験者の認知結果と行動観察によって確証された.
    2. 第二線監督者の行動類型, P, M, PM型に対する被験者の認知結果に有意差は見出されなかった.
    3. 第一線監督者の行動類型PM型の条件下でもっとも生産性が高く, 第2位はP型, 最低がM型であった.
    4. 作業の面白さの程度については, 第一線監督者の行動類型PM型が, P型, M型より有意に大であった.
    5. 集団の凝集性ないし誘引性, 疲労感に関しては, 第一線監督者の行動類型PM型, P型, M型相互間に有意差は見出されなかった.
    6. 第一線監督者に対する被験者たる作業者の好意度は, PM型がP型より有意に大であった. M型とPM型との間に有意差はなかったが, PM型はM型より好意的である傾向が見出された.
    7. P型, M型を比較した場合, 監督者への好意度は, 第一線監督者, 第二線監督者ともに有意差はなかったが, M型の方が, P型より好意度が大であった.
    8. 本実験条件下で, 生産性とモラール増大に関する最適度の刺戟状況は, M的機能がP的機能に相乗して, M的機能が, P的機能に対して触媒的効果を生ずる状況である.
    9. 第一線監督者の行動類型PM型の場合, 第二線監督者の行動類型がP型よりも, PM型の方が, より生産的であった.
  • 文献的考察
    佐藤 静一
    1963 年 4 巻 2 号 p. 129-142
    発行日: 1963年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
  • 主として基督教的立場から
    安藤 延男
    1963 年 4 巻 2 号 p. 143-155
    発行日: 1963年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本稿は, 特定宗教の価値体系が個人に内面化されることによって形成される信仰的構えを宗教的情操と定義し, それに関する測定尺度の標準化につき報告しようとするものである.
    (1) まず宗教的情操尺度は, 先の研究 (2, 4) によって得られた4因子にもとづく4個の下位尺度からなり, それぞれ「神の愛への絶対的信頼」 (F尺度), 「神の義と審きに対する畏れの感情」 (M尺度), 「神への絶対依属感情」 (A尺度), 「信仰による平安」 (E尺度) とよばれるものである.
    各下位尺度は, 主として因子負荷量に準拠して選定され, 9ないし8項目を有し, それぞれ5段階の回答肢を付し, 基督教の信仰内容に近いものから順に5から1までの整数値が与えられ, 下位尺度粗点は項目得点の加算によってえられる (Table 1). 総合点は, 各下位尺度粗点の合計で示される.
    (2) 標準化の母集団は, 基督教主義の中学校・高等学校とし, それらを代表する標本学校を選定し, 本尺度を実施した. 標本の大きさは, 中学校1206名, 高等学校1491名である (Table 2).
    (3) 標準化は, 中学校と高等学校でそれぞれ別個に行われた. 下位尺度・総合点ともに, 粗点の分布状態はほぼ正規型を示し, 得点範囲も6標準偏差以上にわたっており, 満足すべき弁別力を有する. 尺度粗点は, 5段階点と偏差値 (公式1にによる) に変換して診断・評価に用いることができる (Table5, Table 6).
    (4) 下位尺度相互間の相関係数のマトリックスから, 二次因子の抽出を行い, 尺度の因子的妥当性を吟味した (Table 7). 基督教主義学校と非基督教主義学校の比較では, 中学校・高等学校のいずれにおいても, 基督教主義学校の方が高い値を示した (Table 8). さらに, 同じ基督教主義学校内においても, 基督教入信者群が未信者群より, 一般に高得点を示す傾向が見出された (Table 9). なお松宮 (6) による基督教への態度尺度 (Thurstone法による) 得点との相関をみると, 下位尺度はいずれもr=. 4程度の値がみとめられた. これは, 宗教的情操尺度が, 「基督教への態度」とは必らずしも同一でない, 他の次元を測定するものであることを示唆するものと考察された (Table 10).
    (6) 本尺度の信頼性を検討するため, 7カ月の間隔をおいて同一尺度を実施しその相関係数 (再検査信頼度係数) を求めたところ, 総合点ではr=. 831できわめて高く, 下位尺度でも,. 598≦r≦. 654というかなり満足すべき値がえられた (Table 11).
    (7) 標本, ならびに下位尺度の相互独立性に関する若干の考察が行なわれた.
  • その実験的考究
    鈴木 康平
    1963 年 4 巻 2 号 p. 157-168
    発行日: 1963年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    示唆の受容・拒否について, 実験的考察を試みる一連の研究のうち, とくに, 源と伝達者の関係の点に焦点を合わせて検討したところを報告した. 源と介在者が存在する事態で, 源に対する信頼感の形成が行なわれる時, 介在者は, 源とは独立に存在して, 信頼感は, 源そのものに対して形成されることと, 源からの示唆が, 示唆される側の予期を越えた範囲・方向を示すものである場合, 信頼感の程度の高低に合致した傾向での受容・拒否は必ずしもあらわれず, 源と示唆との分離によって, 信頼感を高い程度にもっている群では受容傾向の減少をきたし, 信頼感の低い群では拒否傾向の減少をきたすこと, この2点に主眼を置き, 「目測」 を実験手続上導入し, これらの検証につとめた. 被験者は中学2年生であり, 源には, 抽象的な人物が設定され, 伝達者は筆者がこれにあたった.
    信頼形成過程, 形成された信頼感の程度, 示唆の受容・拒否, それにともなう示唆と源との分離, 「源-伝達者」 の関係等について資料を整理検討した.
    信頼感の高い群では, 受容傾向の減少がみられたが, 信頼感の低い群では拒否傾向の減少は顕著にはみられず, 受容傾向の増加が一部にみられた. これに対するさらに深い追及と, 伝達者の側の方の巾広い検討などが今後の解明をまつ点として存在している.
  • 原岡 一馬
    1963 年 4 巻 2 号 p. 169-178
    発行日: 1963年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    意見変容を, 個人と話題との関連性という観点から分析しようとするものである. 関連性として, 次の2つの次元が導入された.
    (1) 話題に対する関心度 (concern)
    (2) 話題に対する自我関与度 (ego-involvement)
    被験者は, 大学生であり, 次のような結果が得られた.
    (1) 自我関与を示す話題に対しては, 関心度が高く, 自我関与を示さない話題に対しては, 関心度が低いという一貫した傾向がみられた.
    (2) 話題に対して高い関心を示すものの中, 自我関与を示す被験者と自我関与を示さない被験者との比較において, 唱導された方向に意見を変える率が異った, 自我関与を示す被験者は, 示さない被験者に比べて, 唱導方向への変化が少く, 逆方向の変化が大であった.
    (3) 関心度が高く, 自我関与を示す被験者は, 自分の意見に対する確信度が低くなり, 自我関与を示さない被験者は, 自分の意見に対する確信度が高くなる傾向を示した.
    (4) 話題に対して, 自我関与を示さない被験者中で, 関心度の高いものは低いものより, 唱導方向に自己の意見を変容する傾向があり, 確信度については, 強める傾向があった.
    (5) 唱導方向と反対の意見を持つ被験者は, 唱導方向に意見を変容し易いが, 自分の意見に対する確信度は弱まった. また, 唱導方向と同一か, 中庸の意見をもつ被験者は, 唱導方向への意見の変容は少いが, 自分の意見に対する確信度は強まった.
    (6) これまで行われてきた諸研究に, 2つの傾向が見出されたが, これらの矛盾する結果が, 自我関与度と関心度の2つの次元から解釈された.
  • 若干の問題点をめぐって
    横田 澄司
    1963 年 4 巻 2 号 p. 179-192
    発行日: 1963年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
  • 篠原 しのぶ, 梁井 迪子
    1963 年 4 巻 2 号 p. 193-203
    発行日: 1963年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    4年制大学学生の生活環境並びに意識と比較検討する前段階として, 女子短期大学学生の生活実態を捉えるため, 質問紙による調査を実施した.
    女子短大生の社会, 経済的環境は比較的恵まれたものである.
    短大入学の目的は, 親子ともに, 教養を深めるためとするものが多く, 特に家政科の方は, 結婚準備のためと思われる面が多い.
    学生生活における不安や悩みは, 将来のこと, 自らの性格のこと, 学業に関すること等が多く, 相談相手には, 両親が多く選ばれている.
    親友は, 中・高校時代から続いているものが多く, 親しくなった理由も, ただ漠然と中・高校時代に同じクラスだったからとするものが多い. 親友との話題は学生生活の悩みとおよそ一致している.
    短大生は時間的に忙しく, サークル活動等もあまり活発ではなく, 短大生活における人格的ふれあいというものはその機会が少いように思われる.
    卒業後の進路に関しては, 英文科の方が, 専問的職業, 学問的研究に結びつけて考えるものが多く, 両親の希望ともほぼ一致している.
    女性の職業に対する態度も, 英文科の方が, 肯定的, 積極的態度をとるものが多く, 専攻学科選択共に, 両親の影響をかなり強く受けているということが出来る.
  • 河津 雄介
    1963 年 4 巻 2 号 p. 205-213
    発行日: 1963年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    1. 10秒ごとの合図で文字を小さく書く, アルファベット逆文字書きのテストが, 4つの条件で92名の新制中学生男女に与えられた. 時間条件は, (60-30), (60-5), (30-30), (30-5) である (cyclical-motor learing).
    2. 作業時間が短いことの効果 (30-30) - (60-30) はレミニセンスによるものであることが示された.
    3. 休止時間が長いことの効果 (30-30) - (30-5) はIR消失 (レミニセンス) と知覚運動体制そう失の2つの過程によるものであることが, 代用的に示された.
    4. このため, 作業遂行量は各群とも10秒ごとにプロットされ, 各試行の過程がよりくわしく分析され.
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