教育・社会心理学研究
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5 巻, 2 号
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  • 牛島 義友, 湯川 礼子
    1966 年 5 巻 2 号 p. 95-133
    発行日: 1966年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
  • 白樫 三四郎
    1966 年 5 巻 2 号 p. 135-147
    発行日: 1966年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    リーダーシップ測定のための2つの新しい指標の妥当性を検討するため, 本研究が行なわれた. その2つの指標は (1) リーダーシップ強度 (監督者が部下をどの程度積極的に指導しているか) (2) リーダーシップ方向 (監督者が課題遂行P的か, 集団維持M的か, そのバランスがとれている状態か) である.
    妥当性を検討するための外部基準は, 監督者, 作業集団, 仕事などに対する部下の態度である. 調査対象は某企業体職員184名である.
    結果を要約すると次のとおりである.
    1. 監督者のリーダーシップ強度指数と部下の満足度とは, ほぼ一次函数的関係である. すなわちリーダーシップ強度が大であるほど, 部下の満足度は高くなる.
    2. 監督者のリーダーシップ方向指数と部下の満足度とは, ほぼ二次函数的関係である. すなわち, リーダーの監督方式が (PとMとの機能に関して) バランスのとれているとき, 部下の満足度は, もっとも高く, 課題遂行 (P), 集団維持 (M), いずれかの方向に傾けば, それに応じて部下の満足度は下がる.
  • 河津 雄介
    1966 年 5 巻 2 号 p. 149-159
    発行日: 1966年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究では実験社会心理学的な方法で広告の効果性のテストが試みられた.
    そのために3つの形式の鉛筆に対する広告コピーが用意された. つまり, 形式I, その鉛筆の有用性を純粋に客観的科学的に表現するもの. 形式II, その鉛筆の有用性を感情的な表現でうったえ, それを客観的資料によって補強するもの. 形式III, その鉛筆の有用性を感情的な表現でうったえるもの. 以上の3つである.
    一方中学一年生男女46名が3つのグループにわけられ, 上記の広告コピーのうさの形式Iを第1グループに, 形式IIを第2グループに, 形式IIIを第3グループに, それぞれこんど新発売される “ラロ” という鉛筆の説明資料だとして渡された. 次にその資料 (広告コピー) をもとにして宣伝文句を作成する作業をさせられた.
    作業の際に接した資料によるアピール度のちがいが, 謝礼として2本の “ラロ” を取るか5本の三菱かトンボをとるかの選択行動と, ラロはどれぐらいいと思うかという質問による5段階評定及びセマスティクディファレンシヤル法によるイメージのちがいの3種のデーターにより, グループごとに分析された.
    結果は, 謝礼として5本の三菱やトンボよりも2本のラロをもらった被験者のパーセンテージという行動的次元でみた場合形式IIが1番, 次に形式III, 形式Iの順. 質問紙による認知的な次元で, ラロはいい鉛筆であると答えた被験者のパーセンテージでみた場合, やはり形式IIが1番, 形式IIIが2番, 形式Iが3番. イメージの次元でポジテイブなイメージをもたれたのは形式IIIが1番, 次に形式II, 形式Iの順であった.
    さらに付加的な資料として形式IIを与えられたグループが仕事がうまくやれたと答えたものが多かった. このデーターは広告の送り手の側からの働きかけだけでなく受手の側からも何らかの意味で働きかけがあり, むしろ広告の効果性というものはより相互作用的な結果であるということを暗示しているのではないかと解釈された.
  • 言話と身振りの効果の差異
    横田 澄司
    1966 年 5 巻 2 号 p. 161-187
    発行日: 1966年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本実験は, self-other patternを社会的強化の観点から行なわれた. 被験者は, 小学校5年生の男女生徒で, 実験者がTaffel, C. の文章完成法にもとずき, 提示される刺激動詞は, 筆者がBales, R. F. の社会的相互作用過程分析に使用ざれたカテゴリーに準拠し, そこから60語が作成された. さらに, 側に掲示してある6つの代名詞 (わたしは, あなたは, かれは, かのじょは, わたしたちは, かれらは) の中から1つを選択して, 先の刺激語と結合し, 一つの文章を完成させていくことであった. 被験者80名は, 強化期間に実験操作するため, AV群 (言語による承認群), AP群 (身振りによる承認群), DV群 (言語による否認群), DP群 (身振りによる否認群) と, どのような操作も加えられないコントロール群, それぞれ16名にわけられ, オペラント期間, 強化期間, 第1消去期間, 第2消去期間における 「わたしは」 「わたしたちは」 と結びつけた文 (自己関与の口述) の頻度と, 実験終了後の質問紙の結果と, 各期間毎に提示された刺激語の想起頻度を検討していった.
    1) まず, 「自己関与の口述頻度」 については, オペラント期間ではどの群間にも有意差はなく, 強化期間では承認およば否認の操作に関してのみ有意であり (F=4. 48, P<. 05), 第1消去期間でもその傾向が認められ, 第2消去期間においても承認およば否認に関して差が認められた (F=10. 46, P<. 01). なお言語であれ, 身振りであれ, その評価方法間による差は認められなかった.
    2) 質問紙の結果による 「評価過程における自己関与の定着」 については, 「最初に浮んだ文章をのべたか」 に関して, AV群が 「その通りだ」 ともっとも高く, コントール群との差があり, 6つの代名詞をどのように選択したのかに関して, AV群とDP群に無解答が多く, その他の群の解答者を含めて承認群 (AV, AP群) は 「文章表現上の反応」 が中心であった. 否認群は 「自信のなさ」 「他者への責任の転嫁」 が認められ, 6つの代名詞の使用頻度にもとづく順位は, どの群も 「わたしは」 を第1位に順位づけられたが, 特にAP群とDV群は一致度が高く, その理由についての自由記述では薄検討すべき問題点が残されている.
    3) 提示されに刺激語の想起については, オペラント期間および第1消去期間, 第2消去期間では, どの群にも有意差が認められず, 強化期間にわいて, コントロール群 (X=3. 56) とDP群 (X=1. 88) の平均想起の頻度において, またDV群 (X=3. 31) とDP群において有意差が認められた. またpositiveな刺激語, negativeな刺激語について, それぞれ各群のXX2検定 (2×2分割表) では, 両方の刺激語に対する想起が第一消去時間のみ有意差が認められ, その中でもAV群がもっとも高いことが認められた.
  • 生産水準規範に及ぼす課題遂行方式の効果に関する実験的研究
    佐々木 薫
    1966 年 5 巻 2 号 p. 189-199
    発行日: 1966年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    1. 「生産抑制の規範」 (production-restricting norm) の名で知られている生産水準に関する集団規範を, より一般化した形で実験室的に創り出し, この規範の構造特性と集団の課題遂行方式との関係を明らかにしようと試みた.
    2. 小学校4年生を被験者とする4~5人集団8班をランダムに2分し, それぞれ個別作業の条件および協同作業の条件下で, 色紙から円盤を切り抜き定められた順序に従って台紙に貼付する作業を毎日15分ずつ5日間行なわせ, 最終日の作業終了後質問紙法を用いて各集団の凝集性, 作業への動機づけおよび生産水準規範を測定した.
    3. 測定の結果, 個別・協同両作業条件間に, 集団の凝集性および作業への動機づけの点で差異のなかったことが確認され, さらに作業実績 (生産高) にも有意な差のないことが確かめられた.
    4. 生産水準に関する集団の規範は, JacksonのReturn Potential Modelを用いてその構造的特性が数量化された. 一般に個別作業の条件下では, 協同作業の条件下に比し, 相対的に高水準に位置する ‘最大Returnの点’ , 巾広い ‘許容範囲’ , 高い ‘結晶度’ をもった規範の形成されていることが観察された.
    5. これらの結果は, それぞれの課題遂行方式から要請される成員間の相互依存性の大小および現実認識の不可避性の高低とに関連づけて解釈された.
  • 向井 泰彦
    1966 年 5 巻 2 号 p. 201-213
    発行日: 1966年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究に於いては, 独立的行動に向かわしめる媒介変数としての「課題への帰属」 (investmentin the issue) 」 の概念に注目し, これを規定する要因を抽出することによって, 同調行動のタイプ弁別に役立てることを目的とした.
    中学二年生男子5人グループについて, 公的, 私的同調, 及びこれらの同調差に及ぼす, 課題の重要性, 外的圧力の強度の効果が検討された. 結果は次の如くであった.
    (1) 全ての条件群に於いて同調行動がみられた.
  • 特に類似-非類似の問題を中心にして
    出井 康子
    1966 年 5 巻 2 号 p. 215-230
    発行日: 1966年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    集団形成の条件は, 雛の類似か非類似かという問題について分析した. その結果, 類似, 非類似は決定的な要因ではなく, その奥に共通してみられる社会的支持の知覚が, より根本的な要因となるであろうと考え, 社会的支持の知覚が可能となる条件を分析した, そして, 望ましい特性で類似しているとき, あるいは, 非類似で, 欲求の相補性がみたされるときが, そのような条件であり, このとき, attractionが発生して, 集団が形成されるのではないかと推論した. このような文脈たって, 能力についての類似-非類似と, 相手が優秀か劣等かについての2×2 factoriadesignで実験を行なった. 被験者は中学一年生61名. 課題は, 互いに未知な者から成る2人グループでの, グループ対抗の的あてゲーム. (玩具の鉄砲を用いた.) 目隠しをして, 偽りの点数を知らせることにより, 次のような実験条件群をつくった.
    (1) 望ましい雛 (能力が優秀) で類似しているグループ ((+) +群)
    (2) 望ましくない特性 (能力が劣等) で類似しているグループ ((-) -群)
    (3) 自己が優秀で, 相手が劣っているグループ ((+) -群)
    (4) 相手が優秀で, 自己が劣っているグループ ((-) +群)
    従殿数は, 一般的, 情緒的な, social companionとしてのattractionと, ゲームのパートナーとしての課題指向的な面からのattraction. それぞれのattraction scoreを, 各実験条件群ごとに集計して, 類似-非類似と, 相手が優秀か劣等かについて, 二要因の分散分析をしたところ, 次のような結果を得た. すなわち, 一般的, 情緒的なattractionは, 相手が自分 (の能力) と類以している方が強く, また, 相手の能力が劣っている方が, 優秀な場合よりも強い. ところが, ゲームの時に, 一緒にコンビになりたいという, task面からみたattractionでは, 能力の優秀な相手に対するattractionは, 能力の劣っている相手に対するそれよりも強く, 類似-非類似にはまったく関係がない.
  • 他者からの働きかけに対する反応を規定する要因として
    梶田 叡一
    1966 年 5 巻 2 号 p. 231-238
    発行日: 1966年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    2者関係において, 相手から受容されたり受容されなかったりする際, 自己評価のレベルによって相手に対する反応がどのように異なるか, という問題について実験が行なわれ, その結果の解釈について若干の考察がなされた, そして, 自己評価のレベルは状況の受取り方の枠組を形作っているものとする考え方が示された.
    実験結果は次の通りである.
    (1) 操作された受容, 非受容と被験者の自己評価のレベルがどちらも相手に感じる魅力の程度に対して効果を持つ. すなわち, 受容された場合は相手に魅力を感じ, 又自己評価の高い人の方が相手に魅力を感じやすい. 尚, 両要因間の相互作用の効果は見られなかった.
    (2) 受容されたと感じるかどうかという受取り方は自己評価のレベルによって影響を受ける. すなわち, 自己評価の高い人は受容されたと感じやすい.
    (3) 自己評価のレベルに関係なく, 受容されたと感じた人は相手に対して魅力を感じやすい.
  • 大野 博之
    1966 年 5 巻 2 号 p. 239-247
    発行日: 1966年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究は類幻覚経験と被暗示性の高進を指標としてSD現象における初期過程の特徴を明らかにしようと試みたものである.
    類幻覚経験はSD条件IとIIで, 被暗示性はSD条件IIでそれぞれ検討した. 実験時間は条件Iでは2時間, 条件IIでは30分である. 結果を要約すれば次の通りである.
    (1) SD条件1では全被験者の47%, 条件IIでは70%が何らかの類幻覚経験を報告, その割合は面接時の報告を加えるとさらに大きくなる. (SD条件IとIIのパーセンテージは被験者の年令差, 教示の違いなどで直接比較できない.)
    (2) 教示としてSD条件Iでは偽薬プラス暗示, 条件IIでは肯定的教示と否定的教示を行ったが, その結果類幻覚経験の現われるプロセスの型, 報告回数, 報告内容の複雑さのいずれもその影響がみられることがわかった.
    (3) 自動運動・後倒暗示でSDにおける被暗示性の高進が確かめられた.
    (4) SD中の類幻覚経験が教示や暗示で影響を受けるが, それはSD中に発生する被暗示性高進に基づくことが推論された.
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