日本食品化学学会誌
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21 巻, 2 号
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論文
  • 吉田 朝美, 栗原 誠, 緒方 英博, Min-Jie Cao, 長富 潔, 原 研治
    原稿種別: 本文
    2014 年 21 巻 2 号 p. 107-114
    発行日: 2014/08/26
    公開日: 2017/01/27
    ジャーナル フリー
    魚筋肉構成タンパク質の分解は、魚の死後の魚肉軟化現象の一因として知られている。本研究では、魚肉軟化現象に関与する筋肉内在性プロテアーゼを明らかにするために、生きたマダイのキュヴィエ氏管よりプロテアーゼ阻害剤を注入し、生理条件下に近い状態で種々の内在性プロテアーゼ活性を特異的に阻害した。その後、安楽死させた魚を25℃で保存し、筋原線維構成タンパク質の分解に対するプロテアーゼ阻害剤の影響をウェスタンブロット法により確認した。ミオシン重鎖とβ-コネクチンの分解は、ロイペプチン、ジイソプロピルフルオロリン酸(DFP)、及びo-フェナントロリンにより顕著に抑制された。α-アクチニンの分解はE-64により抑制された。トロポニンIの分解はロイペプチン、DFP、o-フェナントロリン、及びE-64により抑制された。トロポミオシンの限定分解は、DFP及びo-フェナントロリンにより抑制された。以上の結果より、マダイ筋肉の保存中において、ミオシン重鎖、β-コネクチン、トロポニンI、トロポミオシンのような大部分の筋原線維構成タンパク質の分解には内在性セリンプロテアーゼ及びメタロプロテアーゼが関与するのに対し、α-アクチニンの分解についてはシステインプロテアーゼが主に関与することが示唆された。
  • 北野 文理, 冨岡 華代, 北田 善三
    原稿種別: 本文
    2014 年 21 巻 2 号 p. 115-120
    発行日: 2014/08/26
    公開日: 2017/01/27
    ジャーナル フリー
    A rapid and simple method for the simultaneous determination of the dipeptide type sweetners, those are aspartame (APM), neotame (NE) and advantame (AD), in various foods by high performance liquid chromatography (HPLC) and liquid chromatography/mass spectrometry (LC/MS) was developed. The sweetners were extracted from foods with 0.01 mol/L hydrochloric acid in ultrasonic bath, and the extract was loaded on a strata-X-C, cation-exchange and reverse-phase cartridge. The HPLC separation was performed on a Inertsil ODS-4 column (5 μm, 4 mm i.d. × 150 mm) with ultraviolet detection, using 0.01 mol/L phosphate buffer (pH3.5)-acetonitrile as a mobile phase. The LC/MS separation was performed on a InertSustain C18 column (3 μm, 2.1 mm i.d. × 50 mm) with a mobile phase of 0.01 mol/L ammonium formate-formic acid buffer (pH3.5)-methanol, and MS detection with positive ion electrospray ionization. In HPLC, the quantification limit of three sweetners was 0.001 g/kg. In LC/MS, the limit of APM was 0.005 g/kg, and that of AD and NE was 0.001 g/kg. The mean recoveries from foods fortified at the levels of 0.02 and 0.20 g/kg were 87.8-106.3% in HPLC, and 64.0-128.9% in LC/MS.
  • 良永(加藤) 裕子, 北岡 千佳, 品川 明
    原稿種別: 本文
    2014 年 21 巻 2 号 p. 121-126
    発行日: 2014/08/26
    公開日: 2017/01/27
    ジャーナル フリー
    長崎県諌早湾の小長井地区ではマガキの生産が盛んで、わが国の一般的な垂下法のほかにシングルシード法による養殖が行われている。一般にシングルシードの方が、通常垂下によるマガキより外観がよく美味であるとされるが、両養殖法の違いによる味への影響を直接比較した研究はない。そこでわれわれは、長崎県小長井地区において2012年12月および2013年3月に水揚げされたマガキシングルシードと通常垂下法による養殖マガキのアミノ酸組成を分析し、養殖方法の味への影響を調べるとともに、小長井地区における冬ガキと春ガキの成分を比較した。その結果、総アミノ酸量は両時期でマガキシングルシードが通常垂下のマガキより多く含まれ、特に2012年12月のマガキでは、シングルシードが通常垂下によるマガキに比べ約36%有意に高かった。うま味を示すグルタミン酸量は、通常垂下法のマガキよりシングルシードの方が2012年12月で約70%、また2013年3月で約81%、ともに有意に多かった。また、甘味に関連があるとされるセリン、グリシン、アラニン、β-アラニンは通常垂下法よりシングルシード法によるマガキの方に両時期で多く含まれた。特に2012年12月はトレオニン、セリン、アラニンおよびβ-アラニンがそれぞれ約139%、167%、78%および81%有意に多く、また2013年3月はグリシンおよびβ-アラニンがそれぞれ約26%および32%有意に多かった。これらの実験結果から、通常垂下マガキよりもマガキシングルシードの方がうま味と甘味は強いことが示された。一方、小長井の同じ収穫シーズンの中で12月と3月では、通常垂下法およびシングルシード法のどちらの養殖方法でも、3月のマガキの方が総アミノ酸量は多く、またうま味、甘味に関するアミノ酸が多かった。よってこれらの結果は、マガキシングルシードが通常の養殖法によるマガキより味がよく、また春ガキの方が冬ガキより味が濃厚であるとされるマガキの一般的な評価と合致した。
  • 良永(加藤) 裕子, 北岡 千佳, 品川 明, 濱田(佐藤) 奈保子
    原稿種別: 本文
    2014 年 21 巻 2 号 p. 127-134
    発行日: 2014/08/26
    公開日: 2017/01/27
    ジャーナル フリー
    われわれは長崎県諌早湾小長井地区で、シングルシード法によって養殖された飼育期間の異なるマガキCrassostrea gigasの呈味成分について比較した。シングルシード法によるマガキの貝殻は伸長が遅いため商品サイズに満たないことがあり、1年多く飼育することがある。このように、もうひと夏越して2年目の収穫期を迎えたマガキシングルシードと収穫期1年目の通常のマガキシングルシードの味が、飼育年数の違いによって影響を受けるかどうかを調べるため、遊離アミノ酸、核酸関連化合物およびグリコーゲン量を分析した。本研究ではこれら成分変動の環境による影響を少なくするために、試料には2013年の2月と12月、2014年の1月と2月の計4回の異なった時期に水揚げされたマガキシングルシードで収穫期1年目および2年目を迎えた各2群の試料を用い、4回の比較結果を解析した。統計処理には繰返しのある二元配置分散分析を全群間に施した。また、1年目と2年目のマガキ2群間の比較を目的として、t-検定を独立して行った。その結果、収穫期2年目のマガキは通常の1年目に比べ軟体部重量が有意に高かったが、2年目のマガキは身入りが1年目より有意に低かった。また遊離アミノ酸では、甘みに関するセリン、アラニンおよびグリシンに関して、2年目のマガキは1年目のマガキより有意に低かった。さらに、2014年1月に水揚げされたマガキシングルシードで、グリコーゲン量とATP関連化合物の含量を測定したところ、飼育期間による有意な差はいずれにも見られなかった。このとき、加熱試料における官能評価を行ったが、コクと旨みに関して収穫期2年もののマガキに1年もののマガキより得点が大きくなる傾向が見られたものの、全体として収穫期の違いによる嗜好の増減に有意な差は認められなかった。これらの結果から、収穫期2年目を迎えたマガキシングルシードは、1年目のマガキよりサイズは大きいものの、遊離アミノ酸分析の結果から甘みはやや劣る可能性がある。一方、AMP、イノシン酸、グリコーゲン量および官能評価の結果で両者に有意差がないことから、飼育期間によるマガキシングルシードの味の違いはほとんどないと推察された。
ノート
  • 若菜 大悟, 丸山 卓郎, 在間 一将, 武田 尚, 杉村 康司, 安食 菜穂子, 飯田 修, 川原 信夫, 合田 幸広, 細江 智夫
    原稿種別: 本文
    2014 年 21 巻 2 号 p. 135-138
    発行日: 2014/08/26
    公開日: 2017/01/27
    ジャーナル フリー
    Ginger (Zingiber officinale) is well-known spice and cultured on a temperate region. We attempted to standardize the ginger using 1H-NMR-metabolomics because the standardization of the ginger has been provided by the quantity of one or a small number of compounds detected in ginger. The score plot of principal component analysis (PCA) using 1H-NMR of the ginger aqueous extract showed some outliers. The results of conducting PCA to the ginger extract except the outliers showed that there are differences between Kintoki species and Amami native species, and between China L5 species and Sanshu Kochi species, China L4 species. Furthermore, we tried to OPLS-DA to evaluate the varietal variation in chemical components. The results showed that sucrose, glucose, alanine, arginine, asparagine, malic acid and gingerol are important factors for the classification of the ginger.
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